
2024年5月に成立した改正育児・介護休業法は、男女ともに仕事と育児・介護を両立できるよう支援することを目的としています。改正法は2025年4月1日から段階的に施行され、2025年10月1日に完全施行となります。
参考)https://shacho-no-komon.net/column/ikujikaigokyugyohou-2025
今回の改正の背景には、子育て世代の働き方の多様化や介護離職の深刻化があります。特に、子の年齢に応じてフルタイムで残業をしない等、柔軟な働き方を希望する労働者の割合が高くなっていることを踏まえた内容となっています。
参考)https://note.com/miuraandpartners/n/n701d6c2cc11a
改正により、企業は従来以上に柔軟な働き方の実現が求められ、従業員への制度周知や意向確認も重要視されています。
参考)https://xn--alg-li9dki71toh.com/column/childcare-caregiver-leave-law-amendment/
子の看護休暇制度において、名称が「子の看護等休暇」に変更され、取得事由と対象年齢が大幅に拡大されました。従来は子の病気やけがの世話、予防接種・健康診断の付き添いに限定されていましたが、新たに学級閉鎖時の対応や子どもの行事への参加も取得理由として認められるようになりました。
参考)https://hr-trend-lab.mynavi.jp/column/personnel-system/8452/
対象となる子の年齢も、従来の小学校就学前から小学校3年生まで拡大されています。これにより、共働き世帯がより柔軟に子育てと仕事を両立できる環境が整備されます。
参考)https://www.rakuten-insurance.co.jp/media/article/2025/150/
年間取得可能日数は、子が1人の場合は5日、2人以上の場合は10日と従来と同様です。時間単位での取得も可能で、働く親の多様なニーズに対応しています。
改正により、3歳未満の子を持つ従業員および家族を介護する従業員に対するテレワークの導入が努力義務として位置づけられました。これは現代の働き方改革の流れを受けて、より柔軟な勤務形態を実現するための措置です。
参考)https://www.hitachi-solutions.co.jp/lysithea_job/column/childcare-care-leave-law-2025.html
テレワークは短時間勤務制度の代替措置としても活用でき、特に短時間勤務が困難な業務に従事する労働者にとって重要な選択肢となります。企業は従業員のライフステージに応じた多様な働き方を支援することが求められています。
参考)https://www.obc.co.jp/360/list/post458
導入にあたっては、既に時差出勤やテレワーク環境が整っている企業では比較的取り組みやすいものの、製造業など現場常駐が前提の業態では検討が必要です。
介護に直面した労働者への支援として、個別の周知・意向確認が義務化されました。事業主は、介護に直面した旨の申出をした労働者に対して、介護休業制度等に関する情報を個別に周知し、休業取得や両立支援制度利用の意向確認を行う必要があります。
参考)https://jsite.mhlw.go.jp/wakayama-roudoukyoku/newpage_00634.html
周知すべき内容は、介護休業に関する制度の内容、申出先(人事部など)、介護休業給付に関することなどです。また、取得・利用を控えさせるような個別周知と意向確認は認められていません。
介護離職防止のための雇用環境整備も義務化され、企業は働く環境の整備に積極的に取り組むことが求められています。
参考)https://www.hrpro.co.jp/series_detail.php?t_no=3942
宅建業界においても、改正育児・介護休業法への対応は重要な課題となります。不動産業界は顧客対応や現地案内など、従来の働き方に特有の業務があるため、テレワーク導入や柔軟な働き方の実現には工夫が必要です。
営業職の場合、顧客との面談や物件案内は対面が基本となりますが、事務作業や資料作成、オンライン相談などはテレワークで対応可能です。また、子の看護休暇の拡大により、急な学級閉鎖や子どもの行事参加時にも休暇を取得しやすくなります。
宅建業界では人材確保が課題となっている企業も多く、育児・介護と仕事を両立できる環境整備は優秀な人材の定着率向上にも寄与します。法改正への適切な対応により、従業員満足度の向上と業績向上の両立が期待できます。
参考)https://nsrh.jp/column036.html
企業が取るべき主要な対応策として、まず就業規則の見直しが必要です。改正内容に応じて、子の看護休暇の拡大、残業免除の対象拡大、テレワーク制度の導入などを就業規則に反映させる必要があります。
参考)https://www.lacras.co.jp/column/law-amendment-202510/
2025年10月からは「柔軟な働き方を実現するための措置」として、5つの選択肢から2つ以上を選択して導入することが義務化されます。具体的には、始業・終業時刻の変更、テレワーク、短時間勤務、保育施設の設置・運営、養育両立支援休暇の付与から選択します。
参考)https://www.ieyasu.co/media/pre-preparation-of-obligation-to-take-measures-to-realize-flexible-working-method-implemented-in-october-2025-is-essential/
従業員300人超の企業では、育児休業取得状況の公表も義務となります。これらの対応により、勤怠管理システムの導入や給与計算システムの見直しも必要となる場合があります。
参考)https://www.ctc.jp/column/childcare-leave.html
厚生労働省「育児・介護休業法について」
改正法の詳細な内容と企業向けの指針が掲載されています。
厚生労働省「令和6年改正育児・介護休業法に関するQ&A」
改正法に関する具体的な疑問点について詳しく解説されています。