

公文書等の管理に関する法律第10条第1項に基づく「行政文書の管理に関するガイドライン」では、行政文書の保存期間について詳細な基準が設定されています 。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/53730a9593caf447598018e0223d2a31498632a2
このガイドラインでは、歴史公文書等に該当する行政文書については1年以上の保存期間を定めることが義務付けられています 。さらに、歴史公文書等に該当しないものであっても、意思決定過程や事務及び事業の実績の合理的な跡付けや検証に必要となる行政文書については、原則として1年以上の保存期間を設定することが求められています 。
具体的な保存期間の設定については、各行政機関は別表第1を踏まえて保存期間表を定め、これを公表しなければなりません 。例えば:
保存期間を1年未満とすることができるのは、別途正本が管理されている写し、定型的業務連絡、明白な誤りによる修正前文書などに限定されています 。
レコードスケジュール制度は、公文書管理法の中核となる制度で、「何を」「どこで」「いつまで」保管し、その後「移管」か「廃棄」かを事前に計画する仕組みです 。
参考)https://www.archives.pref.okinawa.jp/recomane/13627
この制度により、保存期間満了前のできる限り早い時期に、当該行政文書ファイル等を国立公文書館等に移管するか廃棄するかをあらかじめ定めることが義務付けられています 。文書管理者は別表第2に基づき、保存期間満了時の措置を定め、総括文書管理者の確認を得る必要があります 。
参考)https://www.city.amagasaki.hyogo.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/025/588/03_siryo3.pdf
重要なのは、総括文書管理者が確認を行う際には国立公文書館の専門的技術的助言を求めることです(ただし保存期間3年以下を除く)。この助言内容に沿って、文書管理者は措置の変更等必要な対応を行います 。
レコードスケジュールの具体例として。
公文書管理法では、行政文書ファイル等の適切な移管・廃棄を確保するため、内閣総理大臣による事前協議・同意制度が設けられています 。
参考)https://www.soumu.go.jp/main_content/000338891.pdf
廃棄については、文書管理者が保存期間満了した行政文書ファイル等を廃棄する場合、あらかじめ総括文書管理者を通じ内閣府に協議し、その同意を得る必要があります 。内閣府の同意が得られない場合は、内閣府と協議の上、新たに保存期間を設定するか国立公文書館に移管することになります 。
移管については、レコードスケジュールで「移管」とされた歴史資料として重要な行政文書ファイル等は、保存期間満了後、すべて国立公文書館等に移管する仕組みとなっています 。
また、保存期間を1年未満とする行政文書ファイル等については、第4-3-(4)、(5)及び(7)に該当しないかを確認した上で廃棄し、一定期間内でどのような類型の文書をいつ廃棄したかを記録し公表することが義務付けられています 。
宅地建物取引業においても、公文書管理法ガイドラインの影響を受ける場面があります。国土交通省や都道府県等の行政機関が宅建業者の免許や監督に関する文書を作成・保存する際、このガイドラインに従って適切な管理が行われています 。
参考)https://biz.moneyforward.com/contract/basic/9535/
具体的には。
参考)https://www.pref.shiga.lg.jp/kensei/download/302871/104068.html
参考)https://www.pref.gifu.lg.jp/uploaded/attachment/453299.pdf
参考)https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000268.html
また、不動産取引に関する調査や紛争処理において、行政機関が保有する関連文書の開示請求が行われる場合があります 。この際、公文書管理法に基づく適切な文書管理により、必要な情報の提供や説明責任の履行が可能となっています。
宅建業者自身も、行政機関との協議や相談記録、指導を受けた際の文書等について、業務の透明性確保の観点から適切な管理を行うことが重要です。
公文書管理法ガイドラインでは、作成又は取得から一定期間が経過した行政文書ファイル等の集中管理が推進されています 。各行政機関は文書の劣化や散逸防止のため、組織体制や書庫の状況等を勘案した集中管理の推進方針を定める必要があります 。
電子化については、法令等により紙媒体での作成・保存が義務付けられている場合等を除き、電子媒体により体系的に管理することを基本としています 。電子文書の保存では以下の措置が求められます:
歴史的緊急事態に対応する文書については、特別な取扱いが規定されています。国民の生命、身体、財産に大規模かつ重大な被害が生じる緊急事態に政府全体として対応する会議等の記録は、将来の教訓として極めて重要であり、保存期間満了時には原則として国立公文書館へ移管する文書として作成・管理されます 。
これらの措置により、現在及び将来の国民に対する説明責務の履行と、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源としての公文書の適切な管理が確保される仕組みとなっています 。