工業専用地域建てられるもの完全解説

工業専用地域建てられるもの

工業専用地域の工場建築規則

工業専用地域は工業の利便を増進することを目的とした特殊な用途地域で、ほぼ全ての種類の工場を建設することができます。この地域では、製造業からプラント施設まで、規模や業種を問わず幅広い工場の建築が認められています。
具体的に建築可能な工場には以下のようなものがあります。

• 製造工場（食品、繊維、化学製品など）
• 重工業施設（鉄鋼、機械製造など）
• プラント施設（石油化学、発電所など）
• 危険物取扱施設（石油・ガス貯蔵施設など）

ただし、卸売市場・ごみ処理施設・火葬場などについては、別途都市計画決定が必要となる場合があります。

工業専用地域の事務所・営業施設規制

工業専用地域では、工場に関連する事務所等の建築が認められています。これには工場の管理運営に必要な施設が含まれます。
建築可能な事務所・営業施設。

• 一般事務所（面積制限なし）
• 運動施設（特記事項がない限り建築可能）
• ガソリンスタンド
• カラオケボックス
• 営業用倉庫（3階以上または床面積300㎡超）
• 自動車車庫（2階以下で床面積300㎡以下）

一方で、物品販売店舗や飲食店は建築できません。これは工業専用地域の性格上、純粋に工業活動を優先するための規制となっています。

工業専用地域の公共・福祉施設制限

工業専用地域では、限定的な公共・福祉施設のみ建築が許可されています。これは工場で働く従業員や地域の最低限のニーズに対応するためです。
建築可能な施設。

• 医療・福祉施設：診療所、保育所、老人福祉センター、児童厚生施設、公衆浴場
• 公共施設：派出所（交番）、公衆電話ボックス、郵便局等
• 宗教施設：神社、寺院、教会等
• 自動車教習所
• 公園内の公衆便所・休憩所

建築できない施設。

• 教育施設：幼稚園、小中学校、高等学校、大学、専門学校等
• 医療施設：病院（診療所は除く）
• 福祉施設：老人ホーム、障害者福祉施設等
• 文化施設：博物館、美術館等

工業専用地域の住宅・宿泊施設禁止規則

工業専用地域の最も重要な特徴は、住宅の建築が完全に禁止されていることです。これは工業活動に専念するための地域であり、居住環境との分離を図っています。
建築禁止の住宅・宿泊関連施設。

• 住宅関連：住宅、共同住宅、宿舎等、兼用住宅
• 宿泊施設：ホテル、旅館
• 娯楽施設：劇場、映画館、ボウリング場、スケート場、スキー場等
• 遊戯施設：マージャン店、パチンコ店等
• 風俗関連：キャバレー、ナイトクラブ、風俗店（ソープランド）等

この規制により、工業専用地域は純粋に工業活動のための空間として機能し、24時間操業や重機の稼働など、住居との両立が困難な活動を可能にしています。

工業専用地域の独自活用アプローチ

工業専用地域では、従来の工場用途以外にも革新的な活用方法が注目されています。特に近年では、再生可能エネルギー施設の立地として活用されるケースが増加しています。
新しい活用事例。

• 太陽光発電施設の大規模展開
• バイオガス施設による地域エネルギー創出
• データセンターの建設（24時間稼働が可能）
• 物流ハブとしての大型倉庫群
• 研究開発施設との複合利用

また、工業専用地域の特性を活かした災害時の防災拠点としての活用も検討されており、広大な敷地を有する工業専用地域が地域の安全確保に貢献する新たな可能性も生まれています。
これらの新しい活用方法は、従来の重工業中心の土地利用から、より多様で持続可能な産業空間への転換を示しており、不動産投資や開発計画において重要な視点となっています。