

住宅金融支援機構のデータによると、住宅ローンの完済予定年齢は平均73歳となり、この20年間で5歳も上昇している現実があります。この背景には借入時の年齢上昇があり、晩婚化の影響で住宅取得時期が高齢化していることが主な要因です。
参考)https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64597190U0A001C2MM8000/
完済年齢の上昇は深刻な問題で、定年退職が65歳の場合、退職後8年間も返済が続くことを意味します。さらに深刻なのは、60歳時点での平均住宅ローン残額が約700万円から1300万円に大幅増加していることです。
参考)https://www.fundex.co.jp/contents/post/25
この状況は老後破産のリスクを大幅に高めており、年金収入だけでは返済が困難になる高齢者が急増しています。住宅ローンが老後破産の最大の要因となっているのが現状です。
参考)https://tk-fp.jp/column/arbitrary-sale/10055/
住宅ローンの平均借入額は2000年頃の1900万円から現在の3100万円へ大幅増加しており、この背景には超低金利政策による住宅価格の上昇があります。低金利により借入しやすくなった結果、住宅需要が増加し価格上昇を招いています。
参考)https://landnet.co.jp/redia/8620/
返済期間も長期化しており、2020年度の平均借入期間は32.7年と過去最長を記録しています。借入時の平均年齢も37-38歳から40.4歳まで上昇し、完済時期の高齢化に拍車をかけています。
参考)https://www.yours-corp.net/diary-detail-519917/
これらの要因が重なり、定年後も住宅ローンが残る世帯が急増しており、老後破産リスクが深刻化している現状があります。従来の「退職金で完済」という計画が困難になっているケースが多発しています。
参考)https://www.starmica.co.jp/sell/urilabo/leaseback/loan/
定年後の収入減少は老後破産の大きな要因となっており、再雇用制度を導入している企業が70.6%を占める中、大半の方の収入が大幅に減少しています。65歳以降の家計は平均的に赤字になる傾向があり、そこに住宅ローン返済が加わると生活が困窮します。
参考)https://jutakuloan-sodanshitsu.or.jp/bankruptcy-in-old-age-due-to-mortgage-burden/
退職金も確実に減少しており、2003年の2499万円から2018年では1788万円と15年間で711万円も減少している現実があります。予想より少ない退職金や年金により住宅ローン返済が困難になるケースが急増しています。
参考)https://life.saisoncard.co.jp/money/post/fd73/
年金収入だけでは毎月11万円などの返済額を継続するのは困難で、老後破産に直結する深刻な問題となっています。住宅ローンに頼った退職金での返済計画は極めて危険な状況です。
住宅ローン返済が困難になった場合の重要な選択肢として「任意売却」があります。任意売却は競売よりも高額で売却できる可能性が高く、住宅ローンの残債解消に有効な手段です。
任意売却を検討する際は、純資産(資産-負債)の状況を正確に把握することが重要です。マイホームの見込み売却額が住宅ローン残債を上回る場合は資産となりますが、下回る場合は負債となるため早急な対策が必要です。
住宅ローン返済に困難を感じた場合は、滞納前に金融機関に相談することが重要で、返済期間延長や返済額減額などのリスケジュールによる解決策も検討できます。
参考)https://www.ichiro-f.net/column/post-303/
リバースモーゲージは老後破産を防ぐ有効な手段として注目されており、自宅を担保に資金を借り入れながら住み続けることができる制度です。住宅金融支援機構の「リ・バース60」などが代表的なサービスです。
参考)https://life.saisoncard.co.jp/money/post/fd74/
リバースモーゲージの最大の特徴は、毎月の返済が利息のみで、元金の返済は契約者死亡時に自宅売却で行う点です。これにより現役時代の住宅ローンの重い負担から解放され、老後の生活費に余裕を持たせることができます。
ただしリバースモーゲージを利用するには、住宅ローンの残債を一括完済する必要があるため、物件の評価額が残債を上回ることが前提条件となります。融資限度額は不動産評価額の50-60%程度に設定されることが一般的です。