消防法危険物一覧完全ガイド:不動産業者必見の保管取扱基準

消防法危険物一覧完全ガイド:不動産業者必見の保管取扱基準

不動産業に従事する方必見の消防法危険物一覧を詳しく解説。第1類から第6類まで各類別の特徴・指定数量・保管基準を分かりやすく説明します。物件管理で押さえるべき法的要件はご存知ですか?

消防法危険物一覧と分類基準

消防法危険物6類別の特徴
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第1類:酸化性固体

他の物質を強く酸化させ、可燃物と混合すると激しい燃焼を起こす

第4類:引火性液体

ガソリン・灯油など不動産業でも頻繁に扱う液体類

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第5類:自己反応性物質

加熱により多量の熱を発生し爆発的反応を示す物質

消防法における危険物は、火災発生の危険性、火災拡大の危険性、消火困難性の3つの要素を基準として分類されています。不動産業従事者として、これらの分類を正確に理解することは、物件管理や賃貸借契約において極めて重要です。
消防法第2条第7項では「別表第1の品名欄に掲げる物品で、同表に定める区分に応じ同表の性質欄に掲げる性状を有するもの」と危険物を定義しており、第1類から第6類まで体系的に分類されています。
各類別の基本的性質は以下の通りです。

  • 第1類(酸化性固体):固体で燃焼はしないが他物質を強く酸化させる
  • 第2類(可燃性固体):火炎により着火しやすく燃焼速度が速い
  • 第3類(自然発火性物質・禁水性物質):空気接触で自然発火、水接触でガス発生
  • 第4類(引火性液体):引火点250℃未満の液体
  • 第5類(自己反応性物質):低温で多量熱発生、爆発的反応
  • 第6類(酸化性液体):液体で他可燃物の燃焼を促進

不動産業では特に第4類の引火性液体(ガソリン、灯油、油性塗料等)の取り扱い機会が多く、テナント誘致や建物管理において重要な知識となります。

消防法危険物第1類:酸化性固体の分類と指定数量

第1類酸化性固体は、そのもの自体は燃焼しませんが、他の物質を強く酸化させる性質を持つ固体です。可燃物と混合した際に、熱・衝撃・摩擦によって分解し、極めて激しい燃焼を起こさせる危険性があります。
主要品目と指定数量

  • 塩素酸塩類(塩素酸カリウム・塩素酸ナトリウム):50kg
  • 過塩素酸塩類(過塩素酸ナトリウム):50kg
  • 硝酸塩類(硝酸アンモニウム):1,000kg
  • 重クロム酸塩類(重クロム酸カリウム):1,000kg
  • 過マンガン酸塩類(過マンガン酸カリウム):50kg

第1類は性質により3つの種別に分かれます。

  • 第1種酸化性固体:指定数量50kg
  • 第2種酸化性固体:指定数量300kg
  • 第3種酸化性固体:指定数量1,000kg

不動産業において、清掃用品や消毒剤の中に第1類危険物が含まれている場合があるため、テナント管理や清掃業者への委託契約時に確認が必要です。

 

消防法危険物第2類:可燃性固体の取扱基準

第2類可燃性固体は、火炎によって着火しやすい固体または比較的低温(40℃未満)で引火しやすい固体です。出火しやすく燃焼速度が速いため、消火が困難という特徴があります。
代表的物質と指定数量

  • 硫化リン:100kg
  • 赤リン:100kg
  • 硫黄:100kg
  • 鉄粉:500kg
  • アルミニウム粉:100kg
  • 引火性固体(固形アルコール・ゴムのり・ラッカーパテ):1,000kg

第2類は以下の種別に分類されます。

  • 第1種可燃性固体:指定数量100kg(アルミニウム粉、亜鉛粉等)
  • 第2種可燃性固体:指定数量500kg(マグネシウム等)
  • 引火性固体:指定数量1,000kg(固形アルコール等)

建設現場や改修工事において、溶接材料や金属粉を扱う機会が多い不動産業では、これらの物質の保管・取扱に関する知識が欠かせません。特にマグネシウムや亜鉛粉は建材加工で使用されることがあります。

 

消防法危険物第3類:自然発火性・禁水性物質の管理要点

第3類は空気にさらされることにより自然に発火する危険性、または水と接触して発火もしくは可燃性ガスを発生する物質です。最も取り扱いに注意を要する類別の一つです。
主要物質と指定数量

  • カリウム・ナトリウム:10kg
  • 黄リン:20kg
  • アルキルアルミニウム・アルキルリチウム:10kg
  • 水素化ナトリウム・水素化リチウム:50kg
  • バリウム・カルシウム:50kg

第3類の種別分類。

  • 第1種自然発火性物質・禁水性物質:指定数量10kg
  • 第2種自然発火性物質・禁水性物質:指定数量50kg
  • 第3種自然発火性物質・禁水性物質:指定数量300kg

不動産業では、古い建物の解体や改修時に、過去に使用された特殊な建材や化学物質に遭遇する可能性があります。特に工場跡地や研究施設の転用時には、残存物質の確認が重要です。

 

水と反応して可燃性ガスを発生するため、消火の際は水系消火剤の使用が禁止されており、乾燥砂による窒息消火が基本となります。

 

消防法危険物第4類:引火性液体の詳細分類

第4類引火性液体は、不動産業において最も身近な危険物です。液体であって引火性を有するもので、引火点250℃未満の物質が該当します。
詳細分類と指定数量
特殊引火物(指定数量50L)

  • 二硫化炭素
  • アセトアルデヒド
  • ジエチルエーテル
  • 酸化プロピレン

第1石油類

  • 非水溶性液体(200L):ガソリン、ベンゼン、トルエン、ヘキサン
  • 水溶性液体(400L):アセトン、ピリジン

アルコール類(400L)

  • メチルアルコール
  • エチルアルコール
  • プロピルアルコール

第2石油類

  • 非水溶性液体(1,000L):灯油、軽油、キシレン、スチレン
  • 水溶性液体(2,000L):ギ酸、酢酸、アクリル酸

第3石油類

  • 非水溶性液体(2,000L):重油、クレオソート油、アニリン
  • 水溶性液体(4,000L):グリセリン、エチレングリコール

第4石油類(6,000L)

  • ギヤー油、マシン油、シリンダー油

動植物油類(10,000L)

  • ヤシ油、アマニ油

不動産業では建物管理でボイラー用重油、発電機用軽油、清掃用溶剤などを扱うため、適切な保管施設の確保が必要です。特に地下タンクや屋外タンクでの貯蔵には消防法に基づく許可申請が必要となります。

 

消防法危険物第5類・第6類:自己反応性・酸化性液体の特殊管理

第5類自己反応性物質は、固体または液体で、加熱分解等により比較的低い温度で多量の熱を発生し、爆発的に反応が進行する物質です。
第5類主要物質と指定数量

  • ニトロセルロース(第1種):10kg
  • トリニトロトルエン(第1種):10kg
  • ピクリン酸(第1種):10kg
  • アジ化ナトリウム(第1種):10kg
  • ニトロエタン(第2種):100kg
  • 硫酸ヒドラジン(第2種):100kg

第5類は温度管理が極めて重要で、貯蔵所では25℃以下に保つ冷蔵設備が必要な場合があります。

 

第6類酸化性液体は、液体でそのもの自体は燃焼しませんが、混在する他の可燃物の燃焼を促進する性質を有します。
第6類主要物質と指定数量

  • 過塩素酸:300kg
  • 過酸化水素:300kg
  • 硝酸:300kg

不動産業での第5類・第6類の取り扱いは限定的ですが、研究施設や工場の賃貸・売買時には、これらの物質の残存確認と適切な処理が必要です。特に過酸化水素は漂白剤や消毒剤として使用されることがあり、清掃業務委託時の注意点となります。

 

これらの物質は他の危険物との混在を避け、専用の貯蔵設備での管理が法的に義務付けられています。不動産業者として、テナント審査時にこれらの物質の使用予定を確認し、適切な設備を備えた物件を提案することが重要です。

 

参考:消防庁公式サイト - 危険物の法令情報
消防法における危険物の詳細分類と性質について
参考:厚生労働省資料 - 消防法危険物取扱基準
危険物施設の安全確保に関するガイドライン