
公認会計士の短答式試験は、年2回(12月・5月)実施される一次試験で、論文式試験に進むための重要な関門となります 。試験はマークシート方式で実施され、500点満点中70%以上(350点)が合格基準の目安となっています 。
参考)https://www.tac-school.co.jp/kouza_kaikei/kaikei_cpa/kaikei_contents_difficulty_of_certified_public_accountant_exam.html
合格率は直近3年間で15%前後と厳しい水準で推移しており 、約5~6人に1人が合格する狭き門です。試験科目は財務会計論、管理会計論、企業法、監査論の4科目が全て必修科目となっており、限られた時間内での効率的な得点戦略が合格の鍵となります 。
参考)https://cpa.mynavi.jp/exam/subject/subject01.html
財務会計論は28問で最も問題数が多く、企業法と監査論が各20問、管理会計論が16問という配点構成になっています 。この配点を理解した上での科目別対策が重要で、特に理論問題が全体の約64%を占めることは多くの受験生が見落としがちなポイントです 。
参考)https://www.o-hara.jp/files/page/course/kaikeishi/compass_01_05.pdf
財務会計論は短答式試験の中で最もボリュームが多く、計算問題(簿記)と理論問題(財務諸表論)の両方が出題される重要科目です 。計算部分では「スピード」と「正確さ」が要求され、問題を見た瞬間に論点や引っ掛けポイントを網羅的に想起できる状態にすることが差をつけるポイントとなります 。
参考)https://www.kotora.jp/c/64062/
具体的には、リースの問題であれば「本当にファイナンスリースか」「素直に4月から開始しているか」「残存価額はいくらか」「リース料の支払いは本当に一年ごとか」といった確認項目を瞬時に思い浮かべ、解答に入る前に論点を明確化する習慣が重要です 。
理論部分では計算とのリンクを意識してテキストを読むことが効果的で、これにより計算問題の理解も深まり、初見問題への対応力も向上します 。リースや退職給付などの典型論点で、テキストの例題レベルを超える出題が増えているため、この連携学習の重要性は高まっています。
管理会計論は原価計算と管理会計の両分野から出題され、短答式試験では16問という比較的少ない問題数ながら、時間配分の難しい科目として知られています 。実際には上位合格者でさえ全問解ききれないのが現実で、多くの受験生が4~5問程度の解答に留まることが多いです 。
参考)https://www.fsa.go.jp/cpaaob/kouninkaikeishi-shiken/hani22/01.pdf
この科目で安定して得点するためには、計算よりも理論を重視した対策が有効です。理論部分は努力に比例して伸びる分野であり、短答対策問題集を完璧にすることで確実な得点源にできます 。計算問題は相性や出題傾向によって大きく左右されるため、理論での安定した得点確保が合格への近道となります。
原価計算分野では材料、仕掛品、製品等の棚卸資産評価や製品の売上原価計算が中心的な出題範囲となっており 、基本的な計算パターンの習得と引っ掛けポイントの把握が重要です。管理会計分野では数学的センスを活かせる問題も多く、理論と併せて効率的な学習が可能です。
企業法は20問100点の配点で、純粋な暗記科目としての性格が強い科目です 。短答式試験では4肢6択形式の理論問題として出題され、条文知識の正確な記憶が合格の決め手となります 。
効果的な学習法として、コンサマ(条文サマリー)への情報一元化が推奨されます。短答対策集で間違えた箇所や答練での誤答箇所をコンサマにマークし、コンサマの復習だけでテキスト、答練、問題集の全てをカバーできる状態を作ることが重要です 。
企業法の特徴として、関連知識や背景知識が少ないため単純暗記勝負となりやすく、全範囲の内容を長くても1日で復習できる状態にしておくことがベストです 。論文式試験でも条文知識が基礎となるため、短答での学習が論文対策にも直結します。
監査論は20問100点の配点で、4つの記述から正しい2つを選択する問題形式が主流となっています 。前半(問題1~10)が難しく、後半(問題11~20)が易しい傾向があるため、多くの受験生が後半から解き始める戦略を取ります。
参考)https://kaikei-umi.com/archives/2142/%E3%83%96%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97/%E5%85%AC%E8%AA%8D%E4%BC%9A%E8%A8%88%E5%A3%AB%E7%9F%AD%E7%AD%94%E5%BC%8F%E8%A9%A6%E9%A8%93%E9%81%8E%E5%8E%BB%E5%95%8F%E5%88%86%E6%9E%90%EF%BD%9E%E7%9B%A3%E6%9F%BB%E8%AB%96%E2%91%A0/
頻出論点として、監査の基準(30%)、二重責任の原則(21%)、監査の目的(19%)が上位を占めており 、これらの重点的な対策が効果的です。監査の基準では実務指針の範囲や不正リスク対応基準の適用範囲、監査基準の性格に関する平成14年の監査基準改訂前文の内容が頻出となっています。
予備校講師の質の高い講義をしっかりと復習し、理解度を維持しながら短答問題集を解くことで7割以上の得点は確保できます 。8割以上を目指すためには、テキストの回転による知識の定着が必要で、講義で得た周辺情報をテキストに書き込み、精緻化リハーサルを可能にする学習法が効果的です。