

在宅酸素療法の月額費用は保険適用により個人の自己負担割合に応じて決まります。具体的には、1割負担の場合は月額7,680円、2割負担で15,360円、3割負担の場合は23,040円となっています。
参考)https://www.sagasix.jp/column/care/hot/
診療報酬の内訳として、在宅酸素療法指導管理料が2,400点、酸素濃縮装置加算が4,000点、在宅酸素療法材料加算が100点で合計6,500点(1点=10円)となります。携帯用酸素ボンベを使用する場合は、酸素ボンベ加算880点と呼吸同調酸素供給器加算291点が追加され、総額7,671点になります。
参考)https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/copd/oxygen/07.html
液体酸素を使用する場合は、設置型液体酸素装置加算3,970点と携帯型液体酸素装置加算880点により、基本料金と合わせて6,470点から7,641点の範囲となります。
在宅酸素療法が医療保険の適用を受けるには、厳格な基準があります。動脈血酸素分圧が55mmHg以下、または酸素飽和度が88%以下の状態が条件とされています。
参考)https://www.kimura-kokyuki-cl.com/hot/
適用対象疾患には、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺結核後遺症、気管支拡張症、間質性肺炎、肺高血圧症、慢性心不全、チアノーゼ型先天性心疾患などが含まれます。
診断には、パルスオキシメーター検査、動脈血液ガス検査、6分間歩行試験(6MWT)を組み合わせて行います。これらの検査により安静時だけでなく、運動時の酸素不足を正確に評価することが可能です。
在宅酸素療法で使用する機器は購入ではなくレンタル形式が一般的です。酸素濃縮器や携帯用酸素ボンベなどの機器レンタル費用は全て医療保険の対象となり、介護保険の福祉用具貸与には含まれません。
参考)https://kobe-kishida-clinic.com/respiratory-system/hot/home-oxygen-therapy-medical-insurance/
機器の種類は患者の活動レベルに応じて選択されます。自宅中心の生活であれば酸素濃縮器、外出時間が長い場合は液体酸素装置、緊急時や災害時の備えとして携帯用酸素ボンベが使用されます。
参考)https://kobe-kishida-clinic.com/respiratory-system/hot/hot-rental-fee/
レンタル業者によるメンテナンスサービスも料金に含まれており、定期的な機器点検や故障時の迅速な対応が保証されています。
在宅酸素療法の費用負担を軽減する制度として高額療養費制度があります。月額の医療費が所得に応じた自己負担限度額を超えた場合、超過分が還付されます。
参考)https://oji-nishikawaclinic.jp/blog/?p=316
70歳未満の一般所得者の場合、月額自己負担限度額は80,100円+(医療費-267,000円)×1%で計算されます。後期高齢者医療の対象者(75歳以上)では、一般所得者で月額44,400円、低所得者IIで24,600円となっています。
参考)https://une-niitsu.jp/?page_id=1006
高額介護合算療養費制度も併用可能で、医療費と介護費を合算した年額が基準額を超えた場合に適用されます。これらの制度を適切に活用することで、経済的な負担を大幅に軽減できます。
参考)https://www.narakaigo.com/topics/home-oxygen-therapy/
在宅酸素療法を必要とする患者の多くが身体障害者手帳の交付対象となります。常時(24時間)在宅酸素療法を実施している場合、軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度であれば3級に認定されます。
参考)https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc0904amp;dataType=1amp;pageNo=3
身体障害者認定を受けることで、重度身体障害者医療費助成制度の対象となり、医療費の自己負担がさらに軽減されます。障害の程度認定の時期は在宅酸素療法開始日とされており、初診日から1年6カ月を超える場合を除いて早期の申請が可能です。
参考)http://www.k-you.or.jp/html/zaitaku-sanso.htm
申請手続きは市区町村の障害福祉課で行い、指定医師による診断書、写真、印鑑などが必要です。認定により交通機関の運賃割引、税制優遇措置なども受けられ、総合的な経済負担軽減につながります。
参考)https://kobe-kishida-clinic.com/respiratory-system/hot/home-oxygen-therapy-disability-certificate-application/