
アパートローンの金利部分は、不動産投資における必要経費として税法上明確に認められています。これは、賃貸経営を行うために必要な資金調達コストとして位置づけられているためです。
重要なポイントは以下の通りです。
例えば、月々の返済額が10万円で元本6万円、金利4万円の場合、経費として計上できるのは金利部分の4万円のみとなります。
アパートローンの返済方式は主に「元利均等返済」と「元金均等返済」の2種類があり、選択する方式によって経費として計上できる金利額が大きく異なります。
元利均等返済の特徴
元金均等返済の特徴
具体的なシミュレーション例(借入額2,000万円、返済期間15年、金利2%の場合)。
返済方式 | 1年目月額金利 | 5年目月額金利 | 総金利額 |
---|---|---|---|
元利均等返済 | 53,333円 | 38,579円 | 5,208,640円 |
元金均等返済 | 53,333円 | 35,851円 | 4,826,552円 |
この差額約38万円は、経費として計上できる金額の違いを表しており、節税効果に直接影響します。
不動産所得が赤字になった場合、土地取得に関する借入金の金利部分については、損益通算の対象から除外されるという特別なルールがあります。これは多くの投資家が見落としがちな重要なポイントです。
制限の内容
土地部分金利の計算方法
土地に関する借入金の金利は以下の計算式で算出します。
土地金利 = 年間金利総額 × (借入金額 - 建物取得代金) ÷ 借入金額
自己資金がある場合は、優先的に土地取得代金に充当したとみなされるため、土地部分の借入金額を抑えることができます。
例:物件価格3,000万円(土地1,500万円、建物1,500万円)、借入2,500万円、自己資金500万円の場合
アパートローンの金利を正確に経費計上するためには、適切な記帳方法を理解することが重要です。多くの投資家が間違いやすいポイントを含めて解説します。
勘定科目の使い分け
月次記帳の実例
返済額10万円(元本6万円、金利4万円)の場合。
借方:支払利息 40,000円 / 貸方:普通預金 100,000円
借方:借入金 60,000円
年間集計時の注意点
効率的な管理方法
アパートローンの金利経費を最大限活用するための、あまり知られていない実践的な節税戦略をご紹介します。
借り換えタイミングの戦略的活用
金利が下がった際の借り換えは、単純な金利削減だけでなく、経費計上の観点からも検討価値があります。
複数物件保有時の金利配分戦略
複数のアパートを所有している場合、各物件の収益状況に応じて金利負担を最適化できます。
減価償却との組み合わせ効果
アパートローンの金利経費は、建物の減価償却費と組み合わせることで、より大きな節税効果を生み出します。
法人化のタイミング判断
個人から法人への切り替えタイミングでは、金利経費の取り扱いが変わります。
不動産投資の規模拡大に伴い、年間の金利経費が300万円を超える場合は、法人化による節税効果を具体的に試算することをお勧めします。
また、相続対策としてアパートローンを活用する場合、金利経費による所得圧縮効果と相続税評価額の圧縮効果を同時に享受できるため、総合的な税務戦略として非常に有効です。