
バルクセール不動産とは、複数の不動産を一度に売却する「まとめ売り」の手法です。「バルク(bulk)」には、ひとまとめにする、一括するといった意味があり、流動性の低い不動産を流動性の高い魅力的な物件と抱き合わせて効率的に売却するために行われます。
この手法が注目されるようになった背景には、2008年9月のリーマンショックを発端としたサブプライムローン問題があります。金融機関が多くの不良債権を抱えていた時期に、競売にかけると労力や時間がかかるため、まとめ売りできて早期売却しやすいバルクセールが重要視されました。
現在では、金融機関だけでなく、多数の不動産を保有する企業や個人が、処分が困難な物件を複数抱えている場合の効率的な売却方法として広く活用されています。
不動産の流動性とは、その物件がどれだけ早く、適正価格で売却できるかを示す指標です。流動性の高い不動産には以下のような特徴があります。
一方、流動性の低い不動産の例として以下が挙げられます。
バルクセールでは、これらの流動性の異なる物件を戦略的に組み合わせることで、単独では売却困難な物件の処分を可能にします。
外資系不動産ファンドの動向を見ると、2023年度下期の購入案件に占めるバルク割合は3割弱程度となっており、過去実績と比べても特筆する程の変化は見られません。売却案件に占めるバルク割合は2割強程度と、やはり大きな変化はありません。
外資系不動産ファンドにとって、バルク取引は有力な常套手段となっています。そのビジネススキーム上、一定期間内に多額の予算消化を行う必要があるため、バルク取引は効率的な投資手法として重要な位置を占めています。
各ファンドの投資方針や目線に合ったエリアやアセットタイプの取得機会に際しては、引き続き積極的な投資姿勢を保っている実態も見られます。同時に、選別的な投資方針を強めている傾向も窺えます。
不動産を保有することで発生するさまざまなコストを考慮すると、バルクセールには以下のようなメリットがあります。
保有コストの削減効果 💰
将来リスクの回避 📉
売却価格の最適化 📈
バルクで一括購入できる需要者は限られる一方で、資金力があり、流動性の低い不動産の利用や処分方法に長けている事業者も多いため、単体で売却するよりも高値がつくケースもあります。
流動性の低い不動産ほど、これらの将来リスクが高まるため、バルクセールによるディスカウントよりも、早期売却のメリットの方が大きいケースが多くあります。
従来のバルクセールでは単純に流動性の高い物件と低い物件を組み合わせるだけでしたが、現在では以下のような独自の価値創造戦略が注目されています。
テーマ型バルクセールの展開 🎯
ESG要素を取り入れた付加価値創造 🌱
デジタル技術を活用した情報提供 💻
これらの戦略により、従来のバルクセールでは実現できなかった新たな価値創造が可能になっています。特に、買主のニーズに合わせたカスタマイズされたパッケージ提案により、より高い売却価格の実現が期待できます。
バルクセール不動産の成功には、物件選定から売却方法まで、戦略的なアプローチが不可欠です。流動性の低い不動産の処分可能性を高め、より高値で売却するためには、法人仲介に強く、バルクセールの経験豊富な不動産会社への依頼が推奨されます。
中央日東地所のバルクセール解説記事では、物件選定や組み合わせの重要性について詳しく説明されています。
https://www.chuo-nittochi.co.jp/business/solution/service/blog/blog10.html