
ボロ戸建て投資において火災保険は必須の保険といえます。築古物件は新築物件と比較して災害リスクが高く、特に以下の理由から保険加入の重要性が増しています。
まず、建物の老朽化により火災リスクが高まっています。古い電気配線や設備機器の故障による火災発生の可能性が新築物件より格段に高くなります。また、近隣も同様の築古物件が多い地域では、延焼リスクも考慮する必要があります。
さらに、台風や大雨による被害を受けやすいのも築古物件の特徴です。屋根材の劣化、外壁のひび割れ、雨樋の破損など、経年劣化により建物の防災性能が低下しているためです。
投資物件として考えた場合、安価で購入できるボロ戸建てでも、災害により全損となれば投資元本を失うリスクがあります。火災保険に加入することで、このようなリスクを軽減できるのです。
近年、築古物件の火災保険加入が困難になっているケースが増加しています。保険会社が加入を断る主な理由は以下の通りです。
建物の状態による加入拒否
実際の事例として、築75年のボロ戸建てで火災保険の加入相談をした際、外壁が傷んだままでは加入できないと断られたケースがあります。保険会社からすると、傷んだ外壁が風で飛散するリスクは保険事故の原因となるため、加入前の修繕を求められることが多いのです。
築年数による保険料の変動
築年数が古い物件や築年数が不明な物件では、保険料が高く設定される傾向があります。一般的に築30年を超えると保険料が上昇し始め、築40年以上では大幅に高くなる保険会社が多いです。
保険会社によって審査基準は異なるため、一社で断られても他社では加入できる場合があります。複数の保険会社で見積もりを取ることが重要です。
ボロ戸建ての火災保険料は建物の構造によって大きく異なります。保険料は以下の順で高く設定されています。
構造別保険料(高い順)
ボロ戸建ての多くは木造のH構造に該当するため、最も保険料が高くなります。実際の保険料例として、築37年・総面積54坪の木造戸建てで年額41,580円(火災共済30,240円+地震特約11,340円)という事例があります。
保険料を左右する主な要因
民間の火災保険は県民共済などと比較すると保険料は高額ですが、補償内容が充実しているメリットがあります。風災、雹災、水災、盗難、突発的な破損など幅広い災害をカバーできます。
ボロ戸建て投資では、新築物件にはない特有のリスクが存在するため、適切な特約の選択が重要です。
施設賠償責任保険の重要性
築古物件では建物の老朽化により、第三者に損害を与えるリスクが高まります。例えば、外壁の剥落により歩行者が怪我をした場合や、屋根瓦の落下により隣家の車両を損傷させた場合などです。
施設賠償責任保険に加入することで、このような事故による損害賠償責任をカバーできます。ボロ戸建て投資では必須の特約といえるでしょう。
電気的・機械的事故特約
築古物件では設備機器の故障リスクが高いため、電気的・機械的事故特約の加入も検討すべきです。給湯器、エアコン、電気設備などの突発的な故障による修理費用を補償してくれます。
家賃収入特約
火災や災害により建物が使用不能になった場合の家賃収入の損失を補償する特約です。投資物件では収益の確保が重要なため、この特約の加入も検討価値があります。
地震保険の必要性
火災保険では地震による損害は補償されないため、別途地震保険への加入が必要です。日本は地震大国であり、ボロ戸建ては耐震性能が低い場合が多いため、地震保険の加入は強く推奨されます。
民間の火災保険への加入が困難な場合や保険料を抑えたい場合は、県民共済の活用が有効な選択肢となります。
県民共済のメリット
実際の事例では、築37年・54坪の木造戸建てで年額41,580円(火災共済+地震特約)で加入できています。この場合の補償内容は以下の通りです。
補償内容の詳細
県民共済の注意点
一方で、県民共済には以下の制限があります。
借家人賠償責任特約の活用
賃貸に出す場合は、入居者に借家人賠償責任特約への加入を義務付けることが重要です。年額2,000円〜4,000円程度の負担で、入居者の過失による建物損害をカバーできます。
民間の火災保険と県民共済のどちらを選ぶかは、物件の状況、投資戦略、リスク許容度を総合的に判断して決定する必要があります。複数の選択肢を比較検討し、最適な保険選択を行うことがボロ戸建て投資成功の鍵となるでしょう。