
暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律施行規則は、平成3年10月25日に国家公安委員会規則第4号として制定されました。この施行規則は、平成3年5月15日に公布された暴力団対策法(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律)の具体的な施行に必要な手続きや基準を定めるものです。
参考)https://laws.e-gov.go.jp/law/403M50400000004/
暴力団対策法の制定背景には、暴力団員による組織的な資金獲得活動や対立抗争による市民生活への深刻な脅威がありました。法律では暴力的要求行為の禁止や対立抗争時の事務所使用制限などを定めていますが、これらの規定を実効的に運用するためには詳細な手続き規定が必要でした。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/6f2bf8c26c32c49c462e78831cc21af9f06ef7e3
施行規則は暴力団対策法第45条の規定に基づいて制定され、法律の実施のための手続きその他の施行に関し必要な事項を国家公安委員会規則で定めることとされています。これにより暴力団排除の実効性を高め、市民生活の安全と平穏の確保を図る制度的基盤が整備されました。
参考)https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/houritsu/12019910515077.htm
施行規則の第1条では、暴力団対策法第2条第1号に規定する「暴力的不法行為等」について、国家公安委員会規則で定める具体的な罪を列挙しています。これには組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反、薬物犯罪、賭博犯罪、売春関連犯罪など幅広い犯罪類型が含まれています。
参考)https://lawzilla.jp/law/403M50400000004?n=ln1.1.48amp;mode=only
第23条では、暴力団対策法第16条第3項に関連して、密接関係者に関し指定暴力団員が行うことが禁止される行為について詳細に規定しています。これは暴力団の準構成員や関係者を通じた間接的な活動規制を目的としており、暴力団の組織実態に応じた規制の実効性を高める重要な規定です。
参考)https://www.npa.go.jp/pdc/notification/keiji/sosikihanzaitaisakukikaku/bouichi19930728.pdf
施行規則では申請手続きに関する様式も定められており、責任者選任届出書をはじめとする各種書類の様式が規定されています。これにより暴力団対策に関する行政手続きの統一性と透明性が確保されています。
参考)https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/other/style/futokoi.html
暴力団対策法施行規則と密接に関連するのが、各都道府県で制定されている暴力団排除条例です。大阪府暴力団排除条例施行規則では、条例の施行に関し必要な事項を定め、暴力団排除活動の具体的な推進方法を規定しています。
参考)https://www.police.pref.osaka.lg.jp/material/files/group/2/kisoku_r031122.pdf
東京都暴力団排除条例では、暴力団排除活動に関する基本理念を定め、都及び都民等の責務を明らかにするとともに、暴力団排除活動を推進するための措置を規定しています。これらの条例は国の暴力団対策法を補完し、地域の実情に応じた暴力団排除施策を展開しています。
参考)https://www.reiki.metro.tokyo.lg.jp/reiki/reiki_honbun/g101RG00004199.html
神奈川県暴力団排除条例では、少年を暴力団の活動から保護するため、暴力団事務所への立ち入り禁止や利益供与の禁止など具体的な規制を設けています。違反した場合には公安委員会による中止命令や再発防止命令が発動され、従わない場合は刑事罰の対象となります。
参考)https://www.police.pref.kanagawa.jp/kurashi/soshiki_hanzai/mesc8040.html
不動産業界では、暴力団排除条例により暴力団事務所の開設・運営を防止するための厳格な規制が設けられています。大阪府暴力団排除条例では、住居系用途地域における暴力団事務所の開設・運営が全面的に禁止されています。
参考)https://www.police.pref.osaka.lg.jp/seikatsu/boryokudan/jorei/6879.html
不動産の譲渡等の代理又は媒介をする者は、契約当事者に対して暴力団排除規定の遵守に関する助言等の必要な措置を講じる義務があります。また、不動産が暴力団事務所の用に供されることを知って代理又は媒介をすることは禁止されており、違反した場合は厳しい処分が科せられます。
宅建業者は取引時に暴力団関係者でないことの確認を求められるケースが増えており、反社会的勢力の排除に向けた確認作業が業務の重要な一部となっています。これにより不動産取引の安全性向上が図られる一方で、業者の事務負担も増大しています。
暴力団対策法施行規則に基づく執行は、主として都道府県公安委員会が担っています。公安委員会は法律及び施行規則に基づいて、暴力団員に対する措置命令、事務所使用制限命令、再発防止命令などを発出する権限を有しています。
執行の実効性を確保するため、施行規則では立入検査や資料提出要求の詳細な手続きが定められています。大阪府では暴力団事務所の開設・運営の疑いがある場合、関係者への説明・資料提出要求や現地立入検査を実施できることが規定されています。
違反者に対する処分は段階的に設計されており、指導・勧告から始まって公表、中止命令、最終的には刑事処分に至る多層的な制裁システムが構築されています。これにより暴力団活動の抑制と市民生活の安全確保が図られています。
参考)https://www.pref.osaka.lg.jp/houbun/reiki/reiki_honbun/k201RG00001516.html