断熱材セルロースファイバーの性能と施工メリット徹底解説

断熱材セルロースファイバーの性能と施工メリット徹底解説

不動産業界で注目されるセルロースファイバー断熱材の特徴や施工方法、メリット・デメリットを詳しく解説します。環境負荷が少ないエコ断熱材の性能を知りたくありませんか?

断熱材セルロースファイバーの基本知識

セルロースファイバー断熱材の特徴
📰
原料・製造方法

古新聞や段ボールをリサイクルして作る環境配慮型断熱材

🔥
安全性・性能

ホウ酸添加により防火・防虫・防カビ性能を実現

🏠
施工特徴

専用機械で吹込み施工、複雑形状にも対応可能

断熱材セルロースファイバーの基本構成と原料

セルロースファイバー断熱材は、リサイクル新聞紙や段ボールなどの再生紙をベースに製造される環境配慮型の断熱材です。古新聞を細かく裁断し、繊維状に加工した再生紙に、ホウ酸塩などを加えて難燃・防虫・防カビ効果を付与します。
製造過程では、古新聞を砕いて小さくするのではなく、すりつぶすように繊維状にする技術が重要なポイントとなります。この繊維化プロセスにより、綿のような形状となり、長期間にわたって沈下しにくい特性を実現しています。製造時の主な工程は、すりつぶして袋に詰めるだけという非常にシンプルな工程で、エネルギー消費を大幅に抑えられるのが特徴です。

断熱材セルロースファイバーの熱伝導率と断熱性能

セルロースファイバーの熱伝導率はλ=0.04W/mKとなっており、断熱材として高性能グラスウールのλ=0.038やネオマフォームのλ=0.020と比較すると、単純な断熱性能では最高レベルではありません。しかし、セルロースファイバーの最大の特徴は、その重量による熱容量の大きさにあります。
密度は約55kg/m³で設計され、一般的な住宅(外壁面積200㎡)では壁だけで約1トンの重量となります。この重さはグラスウールの約3倍に相当しますが、住宅全体の重量から考えると構造的に問題となるレベルではありません。
重いということは熱容量が大きいということを意味し、室内の温度変化を小さくする効果があります。ただし、薄く施工された場合には、日中に熱をため込んで夜間に室内に放出する「時間差攻撃」効果が生じる可能性もあるため、十分な厚みでの施工が重要です。

断熱材セルロースファイバーの防火性能と安全性

セルロースファイバーは、難燃剤としてホウ酸を添加することで極めて高い防火性能を実現しています。ガスバーナーで直接燃やしても表面が炭化するのみで燃え広がらず、準不燃材料としての認定まで取得している製品もあります。
アメリカでは空港周辺の住宅で防音材として使用されるほど高い防音性能も備えており、断熱機能だけでなく多様な付加機能を持つ「スーパー断熱材」として評価されています。また、ホウ酸の効果により、シロアリやゴキブリ等の害虫も寄せ付けない防虫効果も期待できます。

断熱材セルロースファイバーの吹込み施工技術

セルロースファイバーの施工は、専用ブロワーを使用した吹込み工法で行われます。まず壁内部に透湿シートや不織布ネットを設置し、専用車に設置された吹込みマシーンから圧送されたセルロースファイバーをホースを通してシート内に吹き込みます。
施工時には、セルロースファイバー専用シートをステープルで留めながら張り、シートにカッターで小さな吹込み用の穴を開けて充填を行います。この工法により、狭い場所や複雑な形状にもムラなく充填でき、断熱性と防音性をしっかりと確保できます。
ただし、きちんとした密度で充填できない場合、後で隙間が空いてしまい断熱材としての役割を果たさないばかりか内部結露の原因となってしまう可能性があるため、熟練の技術を持つ専門業者による責任ある施工が重要です。

断熱材セルロースファイバーの透湿性と内部結露対策

セルロースファイバーは繊維状の構造により水蒸気を通しやすい特性があります。生活により発生した室内の水蒸気が壁体内に侵入し、外側の構造用合板等の耐力面材で止まってしまうと結露が発生する可能性があります。
この対策として、耐力面材をダイライトやハイベストウッドのような水蒸気を通しやすい材質に変更したり、室内から壁体内への水蒸気侵入を防ぐ防湿フィルムを設置するなどの対策が必要です。メーカーの基準に従った適切な仕様での施工により、内部結露リスクを回避できます。
調湿性能については、吸湿性能はありますが、夏季の高湿度環境下では逆に外部からの湿気侵入の可能性もあり、室内湿度を適切にコントロールする能力には限界があると考えられます。