
道路位置指定とは、建築基準法第42条第1項第5号に基づき、特定行政庁(都道府県知事や市町村長等)が私道の位置を指定する制度です。この制度により、私有地の一部が建築基準法上の道路として認められ、その道路に面する土地での建築が可能になります。
建築基準法では、都市計画区域内において建築物を建築する際、その敷地は幅員4m以上の道路に2m以上接しなければならないという「接道義務」が定められています。道路位置指定は、この接道義務を満たすための重要な手段として位置づけられています。
特定行政庁による指定を受けることで、私道であっても建築基準法上の道路として扱われ、建築確認申請時の接道要件を満たすことができます。この指定により、位置指定道路に面する土地では建築物の建築が法的に可能となります。
道路位置指定道路と一般的な私道には明確な違いがあります。私道は個人や法人が所有する道路の総称ですが、位置指定道路は私道の中でも特定行政庁の指定を受けた特別な道路です。
位置指定道路の主な特徴は以下の通りです。
一方、指定を受けていない私道は建築基準法上の道路として認められないため、その道路のみに接する土地では原則として建築ができません。この違いは不動産の価値や利用可能性に大きく影響します。
位置指定道路は主に宅地開発時に設けられることが多く、大きな土地を分筆して複数の宅地に分ける際の接道確保手段として活用されています。
道路位置指定の申請は、建築基準法に基づく厳格な手続きが必要です。申請の流れは以下の通りです。
申請手続きの流れ
主な必要書類
申請手数料は一般的に50,000円程度で、自治体により異なります。申請から指定まで通常1〜3ヶ月程度の期間を要します。
道路位置指定を受けるためには、建築基準法施行令第144条の4に定められた厳格な基準を満たす必要があります。
基本的な技術基準
特殊な技術要件
近年、環境配慮や景観向上の観点から、インターロッキングブロック舗装や石畳舗装も認められるようになっています。これらの舗装は耐久性、安全性、快適性、景観性を兼ね備えた舗装として注目されています。
意外な基準要件
多くの人が知らない要件として、道路の終端部分での転回場所の確保があります。袋小路状の道路では、緊急車両の転回を考慮した設計が求められる場合があります。また、道路幅員が6m未満の場合、延長に制限が設けられることもあります。
地方公共団体は条例により独自の基準を設けることができますが、基準を緩和する場合は国土交通大臣の承認が必要です。
位置指定道路の税務上の取扱いは複雑で、多くの不動産関係者が誤解しやすい分野です。国税庁の基準では、私道を以下の2つに分類しています。
非課税となる私道
課税対象となる私道
東京都では「通り抜け私道」「行き止まり私道」「コの字型私道」について非課税措置を講じており、自治体により取扱いが異なります。
維持管理の実務課題
位置指定道路の維持管理は所有者の責任となり、以下の課題があります。
意外な維持管理コスト
位置指定道路では、公道と異なり上下水道管の維持管理も所有者負担となる場合があります。特に古い位置指定道路では、埋設管の老朽化による突発的な修繕費用が発生することがあり、年間数十万円の維持費用が必要になるケースも珍しくありません。
共有名義の位置指定道路では、修繕工事の実施に全所有者の同意が必要となるため、合意形成に時間がかかり、緊急時の対応が困難になることもあります。
建築基準法に基づく道路位置指定の詳細な手続きについて
https://www.city.wakayama.wakayama.jp/kurashi/sumai_jyougesuidou/1001110/1010370/1021450.html
位置指定道路の基本的な概念と不動産実務での重要性について
https://good-tomorrow.com/blog/blog-28875/
道路位置指定の申請から完了までの具体的な流れと必要書類について
https://www.city.amakusa.kumamoto.jp/kiji0031665/index.html