不動産クラウドファンディングデメリット元本割れリスク解説

不動産クラウドファンディングデメリット元本割れリスク解説

不動産クラウドファンディングの元本割れや流動性の低さなど、投資前に知っておくべき重要なデメリットとリスクを詳しく解説。投資判断に迷っていませんか?

不動産クラウドファンディングデメリット

不動産クラウドファンディングの主要デメリット
⚠️
元本割れリスク

元本保証がなく、不動産価値下落により投資元本が減少する可能性

🔒
流動性の低さ

運用期間中の中途解約が困難で、資金の自由度が制限される

📈
レバレッジ効果の欠如

融資利用不可により、大きなリターンを得るには多額の自己資金が必要

不動産クラウドファンディング元本割れリスクの実態

不動産クラウドファンディングにおける最大のデメリットは、元本保証がないことです。株式投資やREITと同様に、想定通りの賃料収入や売却益を得られなければ、元本の一部または全部が返還されないリスクが存在します。

 

元本割れが発生する主な要因として、以下のケースが挙げられます。

  • 自然災害による不動産価値の下落:地震や水害などにより物件価値が大幅に減少
  • 経済不況による賃料収入の減少:空室率上昇や賃料相場の下落
  • 不動産市況の変化:売却時の価格が購入時を下回る状況
  • 管理コストの増加:修繕費用や管理費用の予想以上の増大

特に注意すべきは、優先劣後方式により元本割れリスクを低減する仕組みがあっても、完全に元本を保証するものではない点です。2025年6月末時点で元本割れゼロの実績を持つサービスもありますが、将来にわたって保証されるとは限りません。

 

不動産クラウドファンディング流動性デメリットの詳細分析

不動産クラウドファンディングの深刻なデメリットとして、換金性・流動性の低さがあります。多くのサービスでは運用期間中の中途解約に対応しておらず、まとまったお金が必要になっても出資金を引き出せません。

 

流動性の低さによる具体的な影響。

  • 緊急時の資金調達困難:医療費や教育費などの急な出費に対応できない
  • 投資機会の逸失:より有利な投資案件が出現しても資金移動が不可能
  • 市場変動への対応不能:不動産相場下落の兆候を感じても売却できない

株式投資であれば市場の取引時間内にいつでも売買注文を出せますが、不動産クラウドファンディングでは投資した出資分の中途解約や他人への譲渡(売却)ができません。

 

ただし、運営会社の重要な義務の懈怠(不履行)や履行不能のようなやむを得ない事情がある場合に限り、中途解約が認められる可能性もあります。また、国土交通省の「不動産特定共同事業法の電子取引業務ガイドライン」に定められた申込みから8日間のクーリングオフ期間は解約可能です。

 

不動産クラウドファンディングレバレッジ効果の限界

現物不動産投資との大きな違いとして、金融機関の融資を利用できない点があります。不動産クラウドファンディングは少額投資であり、投資家が物件を保有しないため、通常は不動産投資ローンを組むことができません。

 

レバレッジ効果の欠如による影響。

  • 投資効率の低下:手持ち資金以上の投資ができない
  • 大きなリターンを得るには多額の自己資金が必要
  • 資金効率の悪化:同じ利回りでも投資額に比例した利益しか得られない

例えば、利回り10%のファンドに1万円投資した場合、年間の利益は1,000円にとどまります。現物不動産投資であれば、自己資金の数倍の物件を購入してレバレッジ効果を得ることが可能ですが、不動産クラウドファンディングではこの恩恵を受けられません。

 

短期間で大きな利益を狙いにくいという特性があり、長期的な資産形成に向いている投資手法といえます。

 

不動産クラウドファンディング事業者倒産リスクの実情

あまり知られていない重要なリスクとして、運営事業者の倒産リスクがあります。不動産クラウドファンディングは運営事業者が倒産すると、投資したお金が返還されないリスクを抱えています。

 

事業者倒産リスクの特徴。

  • 分別管理の限界:投資家の資金が分別管理されていても、完全にリスクを回避できない
  • 新興事業者の不安定性:業界参入企業の中には財務基盤が不安定な会社も存在
  • 法的保護の限界:預金保険のような公的保護制度が不十分

このリスクを軽減するためには、運営事業者の財務状況や事業実績を慎重に調査することが重要です。東京証券取引所に上場している企業が運営するサービスなど、信頼性の高い事業者を選択することが推奨されます。

 

また、投資先を複数の事業者に分散することで、特定の事業者の倒産による影響を最小限に抑える戦略も有効です。

 

不動産クラウドファンディング税制優遇措置の欠如

現物不動産投資と比較して見落とされがちなデメリットとして、税制上の優遇措置がない点があります。匿名組合型の不動産クラウドファンディングでは、現物不動産投資で利用できる各種税制メリットを享受できません。

 

税制面でのデメリット。

  • 減価償却費の計上不可:建物部分の減価償却による節税効果がない
  • 損益通算の制限:他の所得との損益通算ができない場合が多い
  • 相続税対策の効果なし:現物不動産のような相続税評価額の圧縮効果がない
  • 固定資産税の負担軽減なし:住宅用地特例などの適用対象外

分配金は雑所得として総合課税の対象となり、給与所得などと合算して税率が決定されます。高所得者の場合、税負担が重くなる可能性があります。

 

一方で、現物不動産投資では管理の手間や空室リスクなどの課題があるため、税制優遇がない代わりに運用の簡便性を重視する投資家にとっては、必ずしもデメリットとは言えない側面もあります。

 

不動産業従事者として顧客にアドバイスする際は、これらの税制面の違いを明確に説明し、投資家の所得水準や投資目的に応じた適切な投資手法を提案することが重要です。