一種単価の計算方法と不動産投資での活用法

一種単価の計算方法と不動産投資での活用法

一種単価とは容積率100%あたりの土地単価を指し、不動産投資の収益性を判断する重要な指標です。計算方法から実際の活用法まで詳しく解説します。あなたは一種単価を正しく理解していますか?

一種単価の基本知識と計算方法

一種単価の基本概念
📊
容積率100%あたりの土地単価

土地に容積率いっぱいに建物を建てた際の床面積あたりの土地単価を表す指標

🏗️
収益性の判断基準

不動産投資において土地の収益性を測る重要な指標として活用される

💡
投資効率の比較

同条件の土地を比較する際に投資効率を判断するツールとして機能

一種単価の定義と意味

一種単価とは、「容積率100%あたりの土地単価」を指す不動産業界の専門用語です。より具体的に説明すると、土地に対してその土地の制限上の容積率いっぱいに建物を建てた場合の、床面積あたりの土地単価を表します。

 

この指標は、土地の収益性を測る重要な基準として不動産投資の現場で広く活用されています。坪単価が平面的な土地の面積単価を算出するのに対し、一種単価は土地に建物があると仮定した時の面積単価をより立体的に算出できる点が特徴です。

 

一種単価という用語の語源は、建築基準法で定められていた「容積地区」制度にあります。かつては第一種容積地区が容積率100%、第二種容積地区が容積率200%というように10段階で規制されており、「一種あたり」が「容積率100%あたり」を意味することから、この名称が生まれました。

 

一種単価の具体的な計算方法

一種単価の計算は、まず坪単価を求めてから容積率で割ることで算出します。計算式は以下の通りです。
坪単価の計算

  • 土地価格 ÷ 土地面積(坪)= 坪単価

一種単価の計算

  • 坪単価 ÷(容積率 ÷ 100%)= 一種単価

具体例で見てみましょう。

  • 土地価格:1億円
  • 土地面積:100坪
  • 容積率:200%

この場合、坪単価は1億円÷100坪=100万円となります。一種単価は100万円÷(200%÷100%)=50万円となります。

 

同じ条件で容積率が500%の場合、一種単価は100万円÷(500%÷100%)=20万円となり、容積率が高いほど一種単価は低くなることがわかります。

 

一種単価と容積率の関係性

一種単価は容積率と密接な関係があり、容積率が高いほど一種単価は低くなります。これは、同じ土地価格でもより多くの床面積を建築できるため、床面積あたりの土地コストが下がるためです。

 

容積率は建築基準法第52条第1項により、用途地域ごとに以下のように定められています。

  • 第1種低層住居専用地域:50~200%
  • 第1種中高層住居専用地域:100~500%
  • 商業地域:200~1300%
  • 工業地域:100~400%

ただし、実際の容積率は前面道路幅員による減少や道路斜線制限、高さ制限などにより変動することがあります。また、角地などでは容積緩和による加算もあるため、一種単価は土地の収益性を大まかに把握するための数値として捉えることが重要です。

 

一種単価を活用した適正価格の算出方法

一種単価を使って土地の適正価格を算出する方法は、不動産投資において非常に実用的です。以下の条件で適正一種単価を計算してみましょう。
設定条件

  • 期待利回り:8%
  • 土地面積:100坪
  • 容積率:200%
  • レンタブル比:80%
  • 建築単価:55万円/坪
  • 相場賃料:1万円/坪

計算プロセス

  1. 最大延床面積:100坪×200%=200坪
  2. 建築費用:200坪×55万円=1億1,000万円
  3. レンタブルエリア:200坪×80%=160坪
  4. 年間家賃収入:160坪×1万円×12ヶ月=1,920万円
  5. 適正物件価格:1,920万円÷8%=2億4,000万円
  6. 適正土地価格:2億4,000万円-1億1,000万円=1億3,000万円
  7. 適正一種単価:1億3,000万円÷200坪=65万円

この計算により、期待利回り8%を実現するための適正一種単価が65万円であることがわかります。

 

一種単価の業界での独自活用法と注意点

一種単価は不動産業界で様々な独自の活用法が開発されています。特に、都心部の商業地域では一種単価が2,000万円を超える事例もあり、銀座や表参道などの超一等地では一種単価3,000万円以上の土地も存在します。

 

業界独自の活用法

  • 開発可能性の早期判断:建築士によるボリュームチェック前の概算評価
  • 競合他社との価格競争力比較:同一エリア内での相対評価
  • 金融機関への融資申請時の根拠資料:投資効率の客観的証明

重要な注意点
マンションの共用廊下などは容積率の計算に含まれないため、実際の収益計算では注意が必要です。また、用途地域の変更や都市計画の見直しにより容積率が変動する可能性もあるため、長期投資では定期的な見直しが必要です。

 

さらに、一種単価だけでなく、立地条件、交通アクセス、周辺環境なども総合的に判断することが重要です。特に、最寄駅からの距離や商業施設の充実度は、実際の賃料や入居率に大きく影響するため、一種単価と併せて検討する必要があります。

 

レンタブル比との組み合わせ活用も効果的で、一種単価が低くてもレンタブル比が低い建物では投資効率が下がる可能性があります。一般的に、小規模オフィスビルのレンタブル比は80~85%、大規模オフィスビルは60~70%程度が目安とされています。