
情報公開法(正式名称:行政機関の保有する情報の公開に関する法律)は、国民主権の理念にのっとり、行政機関の保有する情報の一層の公開を図ることを目的としています 。この法律は1999年5月に制定され、2001年4月から施行されました 。
参考)https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/gyoukan/kanri/jyohokokai/gaiyo.html
法律の第1条では、「行政文書の開示を請求する権利につき定めること等により、行政機関の保有する情報の一層の公開を図り、もって政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに、国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資することを目的とする」と規定されています 。
参考)https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000042
📋 情報公開法の主な特徴
この法律は「民主主義の標準装備」と称され、国民が行政運営の状況について的確な理解と意見形成を行い、行政への参画を可能にする役割を果たしています 。
参考)https://www.nrm.jp/bunsho/bunsho020
個人情報保護法(正式名称:個人情報の保護に関する法律)は、個人情報の適正な取扱いに関するルールを定めた法律です 。2005年に施行され、2017年5月には改正法が施行されました 。
参考)https://jinjibu.jp/keyword/detl/76/
法律の第1条では、「個人情報の適正かつ効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するものであることその他の個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする」と明記されています 。
参考)https://www.sompo-japan.co.jp/hinsurance/cyberrisk/articles/cyber-article-7
🔑 個人情報保護法の主な特徴
この法律は、デジタル社会の進展により個人情報の利用が拡大する中で、適切な利用を促進しつつ個人の権利利益を守ることを目指しています 。
情報公開法では、誰でも行政機関に対して行政文書の開示を請求することができる権利が定められています 。開示請求は書面により行い、原則として30日以内に開示・不開示の決定が通知されます 。
参考)https://www.mext.go.jp/b_menu/koukai/index.htm
開示請求の対象となる行政文書は、行政機関の保有するすべての文書であり、原則として開示されます 。ただし、以下のような不開示情報が含まれる場合は開示されません:
📝 不開示情報の例
興味深い点として、宅建業法においても情報公開の仕組みが設けられており、2025年4月の改正により公開する情報の範囲が変更され、大阪府では対応ミスにより個人情報の誤公開が発生した事例もありました 。
参考)https://www.security-next.com/172456
個人情報保護法では、行政機関が保有する自己を本人とする保有個人情報の開示を求めることができる制度が設けられています 。この制度は情報公開法による開示請求とは異なり、本人の情報に限定されており、本人確認が必要になります 。
参考)https://www.city.kamakura.kanagawa.jp/soumu/koukai.html
個人情報の開示請求手続きでは、開示請求書に必要事項を記載し、本人確認書類とともに提出します 。手数料として原則1件につき300円が必要です。
参考)https://www.mof.go.jp/application-contact/procedure/disclosure_etc/privacy/tetuduki.htm
🔐 個人情報開示請求の特徴
また、個人情報保護法では認定個人情報保護団体という制度も設けられており、事業者の自発的な取組を促進し、苦情処理や情報提供などの業務を行っています 。
参考)https://www.jipdec.or.jp/project/protection_org/about.html
両制度は「個人情報」を共通して取り扱いますが、アプローチが大きく異なります。情報公開制度は第三者からの行政情報の開示請求に係る制度であるのに対し、個人情報保護制度はその情報に係る本人の保護を狙いとするものです 。
参考)https://www.archives.go.jp/publication/archives/wp-content/uploads/2015/03/acv_53_p02.pdf
最高裁判決では、情報公開制度と個人情報保護制度を「相互補完的関係」と位置付けており、両者を一体的にとらえる必要があるとされています 。
⚖️ 実務上の主な違い
宅建業界においても、これらの法律は重要な意味を持ちます。宅地建物取引業者名簿の閲覧制度では、改正宅建業法により公開範囲が変更され、個人情報の適切な管理が求められています 。また、業界団体では個人情報保護方針を策定し、個人番号の取扱いなども含めた包括的な保護体制を構築しています 。
参考)https://www.zentaku.or.jp/policy/
両制度は、行政の透明性確保と個人のプライバシー保護という、一見相反する価値を調整し、民主的で公正な社会の実現に向けて重要な役割を果たしているのです。