
個人情報保護法は、2025年に予定されている改正に向けて現在議論が進められています 。法律には3年ごとの見直し規定が組み込まれており、前回2022年4月の改正から3年が経過することで、新たな改正が検討されています 。
参考)https://www.trendmicro.com/ja_jp/jp-security/25/b/expertview-20250212-01.html
2025年1月現在、個人情報保護委員会では改正内容について継続的な検討が行われている状況です 。特に、技術進歩やデジタル社会の進展に対応するため、AI(人工知能)やIoT技術の普及を踏まえた制度見直しが重要なテーマとなっています 。
参考)https://watchy.biz/contents/column/4796/
改正の方向性として、個人の権利利益の保護と、データ利活用促進のバランス調整が主要な検討課題となっています 。現時点では最終決定には至っていませんが、個人情報保護委員会が有識者検討会を設置し、定期的に議論を重ねています 。
参考)https://www.businesslawyers.jp/articles/1485
個人情報保護法の改正スケジュールは、法律に規定された3年ごとの見直しサイクルに基づいて進められています 。2022年4月に前回改正法が施行され、2025年4月で3年が経過することから、現在改正作業が本格化している状況です 。
参考)https://www.ppc.go.jp/personalinfo/3nengotominaoshi/
ただし、2025年6月に会期末を迎えた通常国会への改正案提出は見送られることが明らかになっています 。政府はAI技術の進展を踏まえ、より包括的なデータ法制の整備を目指しており、個人情報保護法改正もその一環として位置づけられています 。
参考)https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/10668/
個人情報保護委員会では、2023年11月から「いわゆる3年ごと見直し」について本格的な検討を開始し、2024年12月には検討会の報告書が公表されています 。改正内容の具体化には引き続き時間を要する見込みですが、2025年中には改正の方向性がより明確になると予想されます。
参考)https://www.ushijima-law.gr.jp/client-alert_seminar/client-alert/20250123appi/
2025年改正の最も注目される論点の一つが、AI開発を目的とした個人データ利用における同意規制の見直しです 。現行法では、個人データの第三者提供や目的外利用には原則として本人同意が必要ですが、AI学習目的であれば同意を原則不要とする方向で検討が進められています 。
参考)https://note.com/shimada_g/n/n750f985b3c1b
この見直しの背景には、AI研究者の間で指摘される「2026年問題」があります 。高品質なAI学習データの枯渇が2026年頃に予測されており、日本のAI開発競争力維持のためには、企業が保有するデータをAI学習に活用しやすくする制度整備が急務となっています 。
特に、現行法では病歴、人種、信条などの「要配慮個人情報」についても厳格な同意が求められていますが、AI学習目的に限定した利用緩和が検討されています 。ただし、個人の権利利益保護との両立が重要な課題であり、適切な保護措置の設計が求められています 。
2022年改正で導入された漏えい報告義務制度についても、2025年改正に向けて見直しが検討されています 。現行制度では、1,000人を超える個人データ漏えいなど一定条件を満たした場合、個人情報保護委員会への報告と本人通知が義務化されています 。
参考)https://www.businesslawyers.jp/practices/1433
報告義務の具体的な運用では、速報(おおむね3~5日以内)と確報(原則30日以内、不正行為による場合は60日以内)の2段階での報告が求められています 。報告は個人情報保護委員会のウェブサイト上の専用フォームを通じて行うことが原則となっています 。
2024年には委託先企業へのサイバー攻撃による個人データ漏えい事例が急増しており、300万件を超える漏えいが発生しています 。このような状況を踏まえ、委託先管理の強化や報告体制の更なる整備が改正の重要な検討事項となっています 。
2025年改正の注目される論点として、課徴金制度の導入が検討されています 。現行法では、個人情報保護委員会からの命令違反に対して法人は1億円以下の罰金が科される仕組みになっていますが、これは刑事罰です 。
課徴金制度は行政処分として位置づけられ、罰金とは性質が異なります 。課徴金制度が導入された場合、重大な法令違反に対しては売上高に比例した金額が課される仕組みが想定されており、違反行為に対する実効性確保が期待されています 。
経済的インセンティブを持つ企業に対しては、刑事罰よりも課徴金の方がより効果的との指摘もあり、企業におけるコンプライアンス体制の高度化が必要になる見込みです 。ただし、課徴金制度の具体的な設計や対象範囲については、引き続き慎重な検討が行われています 。
2023年4月に施行された個人情報保護法改正では、民間企業・国の行政機関・独立行政法人・地方公共団体の個人情報保護ルールが一本化され、全国統一の共通ルールが適用されています 。この一元化により、地方自治体ごとに異なっていた個人情報保護制度が統一され、個人情報保護委員会への権限集約が実現されています 。
参考)https://mamorinojidai.jp/article/2472/
宅建業界への具体的な影響として、2025年4月から宅建業法施行規則の改正により、宅地建物取引士の個人情報保護が強化されています 。略歴書では「住所」「電話番号」「生年月日」の記載が削除され、従業者名簿では「性別」「生年月日」の記載が不要となりました 。
参考)https://www.s-housing.jp/archives/354370
標識においても「この事務所に置かれている専任の宅地建物取引士の氏名」などの個人情報表示が削除され、代わりに「事務所の代表者の氏名」や「専任の宅地建物取引士の人数」が表示されることになります 。これにより宅建士個人のプライバシー保護が向上し、業者の事務負担軽減も実現されています 。
参考)https://takken-success.info/news/takken-houkai-2025/