
獣医師法第17条では、獣医師でなければ診療を業務としてはならない飼育動物が明確に定められています。基本となる対象動物は以下の9種類です。
参考)https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000186
これらの動物は「獣医師が診療を行う必要があるもの」として法律で明示されており、無資格者が診療を業務として行うことは禁止されています。この規定により、動物の健康と公衆衛生の確保が図られています。
参考)https://www.nagoya-eco.ac.jp/contents/ecoblog/2023/02/08/26507
獣医師法第17条の「政令で定めるもの」として、獣医師法施行令第2条で以下の鳥類が追加されています。
参考)https://laws.e-gov.go.jp/law/404CO0000000273/
参考)https://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/doubutsu_kango/qanda.html
これらの愛玩鳥は、家庭で飼育されることが多く、専門的な獣医学的判断が必要な動物として位置づけられています。
参考)https://www.juu-i.owls-law.com/2020/06/878/
多くの人が動物病院で診察を受けるペットでも、獣医師法第17条の対象動物に含まれない種類があります。
代表例としてウサギがあげられます。ウサギは動物病院で診療を受けることができ、ペットとして人気ですが、獣医師法第17条で規定された「飼育動物」には含まれていません。これは法律の制定当時の社会情勢や動物の位置づけが反映されたものです。
その他、ハムスター、フェレット、爬虫類、両生類なども獣医師法第17条の直接的な対象ではありませんが、獣医師による診療が一般的に行われています。
参考)https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/arikata/h16_02/mat01.pdf
獣医師法の対象動物は、他の動物関連法令でも基準として使用されています。愛玩動物看護師法では、獣医師法第17条の飼育動物のうち、犬、猫、および政令で定める愛玩鳥(オウム科全種、カエデチョウ科全種、アトリ科全種)を「愛玩動物」として定義しています。
動物の愛護及び管理に関する法律では、さらに広範囲な動物種を対象としており、「人が占有している哺乳類、鳥類又は爬虫類」まで含んでいます。このように、法律の目的に応じて対象動物の範囲が調整されています。
獣医師法第17条に規定された対象動物の診療は、獣医師の業務独占とされています。無資格者がこれらの動物の診療を業務として行った場合、獣医師法第27条第1号により「2年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」罰則が適用されます。
参考)https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/037/gijiroku/__icsFiles/afieldfile/2011/04/06/1304023_5.pdf
この規定は「無免許獣医業罪」と呼ばれ、国民に質の高い獣医療を提供し、飼育動物に危害を及ぼすおそれのある行為を防止することを目的としています。診療行為には、疾病の診察・診断・治療だけでなく、獣医師の獣医学的判断及び技術をもってするのでなければ危害を及ぼすおそれのある行為全般が含まれます。
参考)https://jvma-vet.jp/mag/07205/a4.pdf