
建築設備設計における換気計算は、居室の空気品質を維持するために不可欠な設計要素です。人員による換気計算では、1人当たり20~30m³/hの風量を設定することが一般的とされています。
具体的な設定基準。
計算式は以下の通りです。
Q = 25 × N(実人員数が明確な場合)
Q = 25 × A × n(人員密度から算出する場合)
ここで、Qは設計換気量[m³/h]、Nは実人員数[人]、Aは居室床面積[m²]、nは人員密度[人/m²]を表します。
居室別の人員密度は以下の値が標準的に使用されます。
換気回数による風量計算は、部屋の容積と必要換気回数を掛け合わせて必要風量を算出する方法です。この手法は特に厨房や特殊用途の部屋で重要な計算方法となります。
計算式:風量[m³/h] = 室容積[m³] × 換気回数[回/h]
厨房における換気回数は40~50回/hが標準とされており、以下の条件での計算例を示します:
この手法により、用途に応じた適切な換気量の設定が可能になります。特に飲食店や工場などの特殊環境では、このような計算手法が必須となります。
ダクト内の風量計算は、実際の風速測定に基づいて行われる実践的な計算手法です。JIS規格に準拠した計算方法として、以下の式が用いられます:
風量 = 60 × 測定風速 × ダクトの断面積
円管ダクトの計算例。
角ダクトの計算例。
この計算手法により、設計値と実測値の比較検証が可能となり、システムの最適化が図れます。
制気口は冷暖房や換気において風量調節・風向調節の重要な機能を担っています。制気口の風速設定は、居住快適性と換気効率の両立を図るため、慎重な計算が必要です。
風速と風量の関係式。
風量[m³/h] = 制気口有効面積[m²] × 風速[m/s] × 3600
適切な風速設定の目安。
制気口の風速設定により、室内の温度分布や気流パターンが大きく影響を受けるため、用途に応じた適切な設定が求められます。
厨房の換気計算では、以下の3つの計算方法を並行して実施し、最大値を採用する多重計算手法が採用されています:
排気フードの面風速設定値。
実際の計算例では、フード幅1.6m × 奥行2.0m × 面風速0.3m/s × 3600 × 4箇所 = 13,824m³/hとなります。この手法により、厨房の安全性と効率性を両立した換気システムの設計が可能になります。
換気扇の性能評価では、製品単体での「開放風量」と実際の施工状態での「有効換気量」を区別して計算する必要があります。この差異は、ダクトやパイプ、屋外フードなどによる圧力損失が主な要因となります。
圧力損失の計算要素。
実効風量 = 開放風量 - 圧力損失による減少分
この計算により、実際の建物で期待できる換気性能を正確に予測できます。設計段階での適切な圧力損失計算は、換気システムの性能確保に不可欠な要素となります。
特に高層建築や複雑なダクトシステムでは、圧力損失の影響が顕著に現れるため、詳細な計算と検証が重要になります。CFD解析や風洞実験による検証も併用することで、より精密な設計が可能となります。
これらの計算手法を適切に組み合わせることで、建築物の用途と環境条件に最適化された換気システムの設計が実現できます。各計算方法の特徴を理解し、プロジェクトの要求に応じて最適な手法を選択することが、効率的で実用的な換気計算の実践につながります。