換気扇 有効換気量 計算で建築業従事者必須知識

換気扇 有効換気量 計算で建築業従事者必須知識

建築基準法で定められた有効換気量の計算方法を、実際の現場で使える具体的な計算式と事例を交えて分かりやすく解説します。開放風量との違いも理解できますか?

換気扇 有効換気量 計算

有効換気量計算の基礎知識
📏
開放風量と有効換気量の違い

実際の施工状態での圧力損失を考慮した実用的な換気風量

⚖️
建築基準法準拠の計算方法

法令で定められた正確な計算式の理解と適用

🔧
実務に役立つ計算事例

具体的な数値を用いた実践的な計算方法

換気扇の開放風量と有効換気量の基本的違い

換気扇の性能を正しく理解するため、まず「開放風量」と「有効換気量」の違いを明確にしましょう。

 

開放風量は、換気扇本体が無抵抗状態(何も接続されていない状態)で発揮する最大風量です。これに対し有効換気量は、実際の建築物に設置された状態で、ダクトやパイプ、屋外フードなどの抵抗(圧力損失)を加味した実際の換気風量を指します。
建築基準法などの法令計算では、この「有効換気量」が計算のベースとなることが重要なポイントです。
🔍 実際の設置状況による差の例

  • ダクト配管が長く、曲がりが複数箇所ある場合:開放風量と有効換気量の差が大きくなる
  • ダクト配管が短く、直線的な配管の場合:両者の差は比較的小さくなる

建築設計や施工において、単純に開放風量だけを参考にすると、実際の換気性能が不足する可能性があるため、必ず有効換気量での検証が必要です。

 

換気扇の計算で使う建築基準法の計算式

建築基準法に基づく有効換気量の計算には、燃焼器具を設置する場合の厨房換気に関する計算式が定められています。
基本計算式
必要換気量(V)= 定数(N)× 理論廃ガス量(K)× 発熱量(Q)
📋 定数(N)の設定値

条件 Nの値
フードなし または 器具とフードの距離1m以上 40
器具とフードの距離1m以下 30

🔥 燃料別理論廃ガス量(K)

燃料 Kの値
都市ガス13A 0.93 m³/kWh
LPG(プロパン) 12.9 m³/kg

計算事例
ガスコンロ2台(各17.4kW)、フードと器具の距離1m以下の場合。

  • 都市ガス使用:V = 30 × 0.93 × (17.4 × 2) = 970 m³/h
  • プロパンガス使用:V = 30 × 12.9 × 約2.49kg/h ≒ 960 m³/h

この計算結果と、フード面積による計算結果の両方を算出し、大きい方の数値を採用するのが実務での原則です。

 

換気扇の有効換気量を実務で活用する計算手順

実際の建築現場で有効換気量を計算する際は、複数の計算方法を組み合わせて最適な値を導出します。

 

フード面積による計算
V(排気量)= フード面積 × 面風速 × 3600
📐 フード設置環境別面風速

設置環境 推奨面風速 実用値
四周開放(アイランド) 0.9~1.2 m/s 0.8 m/s
三辺開放 0.8~1.1 m/s 0.5 m/s
二辺開放 0.7~1.0 m/s 0.4 m/s
一辺開放 0.5~0.8 m/s 0.3 m/s

床面積による換気量計算
居室の一般換気には、床面積と用途別の必要換気量を用いた計算も重要です。
🏢 用途別必要換気量

用途 床面積あたり必要換気量
事務所(個室) 6.0 m³/(m²・h)
事務所(一般) 7.2 m³/(m²・h)
レストラン・喫茶 30.0 m³/(m²・h)
宴会場 37.5 m³/(m²・h)

計算式:必要換気量(㎥/h)= 床面積(㎡)× 床面積あたり必要換気量
例:100㎡の一般事務所の場合
100㎡ × 7.2 m³/(m²・h) = 720 m³/h

換気扇計算における圧力損失と配管設計の重要性

有効換気量の計算では、配管システム全体の圧力損失を正確に把握することが極めて重要です。これは多くの建築従事者が見落としがちな重要なポイントです。

 

圧力損失の主な要因

  • 直管部分の摩擦損失
  • エルボやチーズなどの継手による損失
  • フードやグリルによる損失
  • ダクトの断面変化による損失

🎯 配管設計での実用的な考慮事項

  • ダクト径の選定:風速7~10m/s を目安とする
  • 曲がり部分:可能な限り大きな曲率半径を確保
  • 長距離配管:中間に補助ファンの設置検討

風量-静圧特性の活用
換気扇メーカーが提供する風量-静圧曲線を用いることで、システム全体の圧力損失に対する実際の風量を正確に算出できます。
システム全体の圧力損失を計算し、その値を風量-静圧特性曲線上で確認することで、実際の有効換気量を求める方法が、現場での最も実用的なアプローチとなります。

 

設計段階でこの検証を怠ると、竣工後に換気不足が発覚し、設備の追加や変更が必要となるケースが多く見られます。特に高層建築や複雑なダクトルートを持つ建築物では、この計算の精度が建物の性能を大きく左右します。

 

換気扇の有効換気量計算における省エネ性とコスト最適化

近年の建築業界では、環境性能とコスト効率の両立が求められており、有効換気量の計算においても省エネルギー性を考慮した設計が重要になっています。

 

エネルギー効率を考慮した計算手法
従来の法令最小値だけでなく、実際の使用パターンや室内環境品質を考慮した計算により、過大設備による無駄なエネルギー消費を避けることができます。
🌱 省エネ設計のポイント

  • 必要換気量の時間変動を考慮した可変風量制御
  • CO₂濃度や湿度センサーによる自動制御システム
  • 熱回収換気システムの併用検討

コスト最適化の計算アプローチ
初期投資と運用コストを総合的に評価する手法として、以下の要素を含めた計算が有効です。
💰 総合コスト評価項目

  • 初期設備費(換気扇本体、ダクト工事、制御システム)
  • 年間電力消費費用
  • 定期メンテナンス費用
  • 設備更新サイクル費用

実用的な最適化事例
100㎡のオフィスで必要換気量720m³/h の場合、以下の選択肢を比較検討します。

  • 高効率型換気扇1台での対応
  • 標準型換気扇2台での分散配置
  • 全熱交換器付き換気システム

各方式の15年間トータルコストを算出し、建物の使用条件に最適な方式を選択することで、性能とコストの最適なバランスを実現できます。

 

このような総合的な検討により、建築基準法の要求を満たしつつ、実際の建物運用における最適な換気システムの提案が可能になります。