
2020年4月の民法改正により、ソフトウェア開発における瑕疵責任の枠組みが大きく変化しました。従来の瑕疵担保責任では、納品時から1年間という明確な期間制限がありましたが、現在の契約不適合責任では責任追及期間が大幅に延長されています。
改正前後の主な違いは以下の通りです。
この変更により、受注者側のリスクは著しく増大しています。例えば、納品から2~3年後に例外的な処理で不具合が発覚した場合でも、発見時点から1年以内に通知があれば責任を追及される可能性があります。
契約不適合責任の消滅時効は以下の2つの期間で決まります:
ソフトウェアにおける瑕疵の判定は、基本的に合意された仕様と実際のシステム仕様との一致性で判断されます。しかし、他の製造業とは異なるソフトウェア特有の性質により、瑕疵の概念は複雑化しています。
ソフトウェア瑕疵の特徴。
ソフトウェアの瑕疵は物理的な製品と異なり、使用環境や操作方法によって顕在化する時期が大きく異なります。セキュリティ脆弱性やパフォーマンス問題など、長期間経過後に発見される瑕疵も少なくありません。
IT業界の統計によると、現在のソフトウェア開発では最大96%の無欠陥製品の提供が限界とされており、完全な瑕疵回避は現実的に困難です。
ソフトウェア開発契約では、適切な瑕疵責任期間の設定が双方のリスク管理において極めて重要です。以下の条項を含めることが推奨されます:
明示的保証条項の例。
「受注者は、納品日から12か月間、本ソフトウェアが材料および製造上の欠陥がないことを保証する」
責任制限条項。
通知期間の明確化。
発注者は瑕疵発見から30日以内に書面で通知することを義務付ける条項も効果的です。これにより、受注者は迅速な対応が可能となり、証拠保全も容易になります。
段階的責任軽減。
このような段階的なアプローチにより、合理的なリスク分散が可能です。
契約不適合責任の詳細な法的解釈について - ビジネスロイヤーズ
ソフトウェア開発における瑕疵責任期間は、保守・サポート期間との密接な関係があります。多くの企業では、無償保証期間と有償保守契約を組み合わせたサービス体系を構築しています。
一般的な期間設定パターン。
保守契約には以下の要素を明確に分離することが重要です。
この分離により、真の瑕疵と追加要求を明確に区別でき、不要な紛争を回避できます。また、保守契約期間中の瑕疵対応についても、SLA(Service Level Agreement)を設定し、対応時間や復旧時間の目標値を明示することが推奨されます。
システム開発の保証と責任に関する実務ガイド - マイナビ
ソフトウェア開発における瑕疵責任期間のリスクを最小化するため、以下の実践的対策が効果的です。
開発段階での対策。
契約条項での対策。
運用開始後の対策。
これらの対策により、瑕疵の早期発見と迅速な対応が可能となり、長期的な責任リスクを大幅に軽減できます。特に、運用開始後3か月間は集中的な監視を行い、潜在的な問題の早期発見に努めることが重要です。
ソフトウェア瑕疵担保責任の実務対応 - CMC Japan