
建築士とは、建築士法に定められた国家資格を持つ専門技術者のことです。建築物の設計および工事監理を行う職業の免許、あるいはその免許を受けた者を指します。
建築士法は昭和25年7月1日に施行され、建築物の設計、工事監理等を行う技術者の資格を定めて、業務の適正化を図り、建築物の質の向上に寄与することを目的とした法律です。
建築士の主な特徴。
建築士は「行為独占資格」として位置づけられており、無資格者が建築物の設計を行うことは法的に禁止されています。これは建築物が国民の生命や財産を保護する重要な役割を担っているためです。
建築士は、一級建築士、二級建築士、木造建築士の3つの資格に分かれており、それぞれ取り扱うことができる建築物の規模、用途、構造が異なります。
一級建築士
二級建築士
木造建築士
建築士の資格には6種類あり、上記3つの基本資格に加えて、構造設計一級建築士、設備設計一級建築士、管理建築士があります。これらの上級資格は2005年の耐震偽装問題を契機として新設されました。
建築士の仕事は、大きく「設計」と「工事監理」の2段階に分かれています。建物の具体的な設計をするだけでなく、工事の監理も担当します。
設計業務の内容
工事監理業務の内容
その他の業務
建築士は設計・工事監理以外にも、以下のような業務を担当します。
建築士の業務では、法律の規定を守りつつ、施主のイメージする建物をいかに実現するかが求められます。建築基準法をはじめとする関連法規の知識やコンプライアンス意識、設計や工事監理を行う上で必要な知識や技能が不可欠です。
建築士法は、建物の設計や工事監理を行う建築士の資格や業務内容、登録・免許のルール、遵守すべき職業倫理などを定めた法律です。1950年に制定され、以降もたびたび改正が行われています。
建築士法の主な内容
不動産業界への影響
不動産業務は土地や建物の売買・賃貸にとどまらず、建築に関する知識や法的理解も欠かせない分野です。建築士法の理解は不動産サービス業の品質と信頼性を支える重要な要素となっています。
建築士法に基づく建物の計画や管理の仕組みを正しく理解することで、顧客に対して安全で適正な物件情報を提供できるようになります。
建築士に向いている人の特徴は、単一の性格や強みだけで決まるものではありません。建築という分野は非常に幅広く、様々なタイプの人材が活躍できる職業です。
知識型と感性型の両面性
建築士には論理的な裏づけと感性的な発想力の両方が必要です。構造計算や法規の理解といった知識型の能力と、デザインや空間構成といった感性型の能力を使い分けることが重要です。
一人で考える力と人と関わる力
建築設計は時に孤独な作業でありながら、多くの人と連携する必要もあります。施主、施工業者、行政機関など様々な関係者との調整能力が求められます。
コツコツ型とアドリブ型の融合
周到な計画性と現場での柔軟な対応力の両方が不可欠です。図面通りにいかない問題が起きた際の対応力が重要になります。
独自視点:不動産業界出身者の建築士としての優位性
不動産業界で培った市場感覚や顧客ニーズの理解は、建築士として大きなアドバンテージとなります。以下の点で独自の価値を発揮できます。
建築士には美的センスや創造力、独自の視点が重要とされますが、不動産業界の経験者は実用性と市場性を兼ね備えた設計ができる点で差別化を図れます。
建築士は一度免許を取得すれば更新のない永久資格ですが、設計及び工事監理に必要な知識及び技能の維持向上に努めなければならず、建築士事務所に所属する建築士は3年に一度の定期講習を受講する義務があります。
建築士の平均年収は約650万円とされていますが、一級建築士の中には年収1000万円以上を稼ぐ人もいます。不動産業界での経験を活かした建築士として、独自のポジションを築くことで高収入を実現する可能性があります。
建築士と設計士の違いについて理解しておくことも重要です。建築士は国家資格であり、建物の設計・工事監理を独占的に行うことができますが、設計士は主に小規模な木造建築物の設計を行い、資格が必要な設計業務には携わることができません。
建築士の資格取得を目指す場合、令和2年度より新しい建築士制度がスタートし、大学、短期大学、高等専門学校、専修学校等において指定科目を修めて卒業した者であれば、実務経験がなくても受験できるようになりました。
建築士の仕事は、街づくりに貢献し、常に新しいことに挑戦できるやりがいのある職業です。設計した建築物は数十年にわたってその場所に残り続け、都市景観や文化形成に寄与することができます。