孤独死と孤立死の違い

孤独死と孤立死の違い

孤独死と孤立死は、どちらも一人で亡くなることを指しますが、その背景や発見までの状況に大きな違いがあります。行政での使われ方や定義、発見日数の差など、詳しい違いを知っていますか?

孤独死と孤立死の違い

孤独死と孤立死の違い
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孤独死とは

誰にも看取られずに一人で亡くなること

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孤立死とは

社会から孤立した状態での死亡で発見が遅れる

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発見日数

孤独死は早期発見、孤立死は長期化

孤独死の基本的な定義と特徴

孤独死とは、内閣府の定義によると「誰にも看取られることなく亡くなったあとに発見される死」のことを指します。重要なのは、孤独死は必ずしも社会的に孤立している状況とは限らないという点です。
参考)https://www.memento-road.com/column/6851/

 

孤独死の場合、亡くなった方が普段から家族や友人、近隣住民との交流があったが、「何らかの理由で一人の時に亡くなった」状態を指しています。そのため、周囲が「最近姿を見かけない」「急に連絡が取れなくなった」等の異変に気付きやすく、比較的早期に発見されるケースが多いのです。
参考)https://anshinplus.me/column/detail.php?id=9

 

東京都監察医務院では「異状死の内、自宅で死亡した一人暮らしの人」と定義しており、一人暮らしの入浴中の不慮の事故なども孤独死に含まれます。
参考)https://www.e-sogi.com/guide/16351/

 

孤立死の定義と社会的背景

孤立死は、孤独死とは異なる概念として位置づけられています。内閣府や厚生労働省の定義では、「社会から孤立した結果、死後長期間放置されるような状態」とされています。
参考)https://www.cao.go.jp/kodoku_koritsu/torikumi/wg/r5/dai3/pdf/siryou2.pdf

 

具体的には、家族や親戚、近隣住民との関係性が希薄で「社会から孤立した」状態で亡くなることを指します。普段から家族や近隣住民など社会との接点がほとんどなく、遺体発見が数週間から数ヶ月後になるなど長期に及ぶ場合が特徴です。
2024年4月に内閣府が発表した統計では、「誰にもみとられることなく亡くなり、死後8日以上経過して発見されたことなどから、生前、社会的に孤立していたとみられる人」を孤立死として位置づけており、年間約2万1000人を超えると推計されています。
参考)https://t-arrow.co.jp/blog/%E3%80%90%E9%80%9F%E5%A0%B1%E5%88%86%E6%9E%90%E3%80%91%E5%86%85%E9%96%A3%E5%BA%9C%E3%81%8C%E3%80%8C%E5%AD%A4%E7%AB%8B%E6%AD%BB%E3%80%8D%E3%81%AE%E4%BD%8D%E7%BD%AE%E3%81%A5%E3%81%91%E3%81%A8%E5%AD%A4/

 

孤独死と孤立死の発見日数の違い

発見日数の違いは、両者を区別する重要な指標の一つです。一般的に孤独死の発見日数は平均13.8日とされており、全体の約58%は死後3日以内に発見されています。特に女性の場合は約半数が3日以内に発見される傾向があります。
参考)https://kazokujimai.com/against_lonely_death/

 

一方、孤立死の場合は発見が大幅に遅れることが特徴で、内閣府の定義では「死後8日以上経過して発見された」ケースが孤立死とされています。15日以上経過して発見される割合は3割を超えており、この場合には遺体の腐敗が進行し、より深刻な状況となります。
参考)https://www.shougakutanki.jp/general/info/kodokushi/news/kodokusiReport_7th.pdf

 

発見が遅れるほど、体液が床に染み込んだり、強い臭気や害虫が発生したりするため、清掃や原状回復に高額な費用と時間がかかるケースが増加します。年単位で発見が遅れる場合には、遺体は白骨化することもあります。
参考)https://www.k-clean.jp/column/kodokushinohakkennissuu/

 

行政機関での用語の使い分けと政策的位置づけ

行政機関では「孤立死」という表現が多く使われています。これは「孤独」が主観的概念であるのに対し、「孤立」は客観的概念であり、実態把握の対象としては「孤立」からアプローチする方が適切だからです。
参考)https://www.enrich.tokyo/service_koritsushi.html

 

内閣府の高齢社会白書(2010年)では「誰にも看取られることなく息を引き取り、その後相当期間放置されるような悲惨な『孤立死(孤独死)』」と両方の用語を併記しています。また、厚生労働省(2008年)では「人の尊厳を傷つけるような悲惨な『孤立死』」として、社会から孤立した結果の死として位置づけています。
政府は2023年に本格的な孤立死の実態把握を開始し、警察庁のデータを基に全国的な統計の構築を進めています。これにより、これまで一部の自治体や民間保険会社の調査でしか把握されていなかった実態が、初めて全国規模で明らかになりました。
参考)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/79485b192356993922e8945392339559ad1cb341

 

孤独死防止における不動産業界の対策と取り組み

不動産業界では、孤独死と孤立死の違いを理解した上での対策が重要となっています。孤独死の場合は早期発見されやすいため、大家さんへの負担は比較的軽減されますが、孤立死の場合は発見の遅れにより特殊清掃が必要となるケースが多発しています。
賃貸住宅管理では、入居者との定期的な接触や見守りシステムの導入が効果的です。新聞や郵便物の蓄積、電気・水道の使用停止などの異変を早期に察知する体制作りが求められています。
参考)https://shiawase-ihinseiri.com/column/cleaning/lonely-death-discovery/

 

また、賃貸住宅における孤立死の定義も明確化されており、UR都市機構では「死亡時に単身居住している賃借人が、誰にも看取られることなく賃貸住宅内で死亡し、かつ相当期間(1週間を超えて)発見されなかった事故」と定義しています。近年では高齢者だけでなく30~40代でも孤独死・孤立死が増加しており、幅広い世代への対策が必要となっています。
参考)https://www.cao.go.jp/kodoku_koritsu/torikumi/wg/r5/dai1/pdf/siryou3.pdf