
個人の属性とは、融資を申し込む人の勤務先や年収などの経済的・社会的背景を指します。金融機関側が融資可否や限度額について判断するうえで必要な基準となる重要な要素です。
不動産投資ローンにおいて、金融機関が評価する主な属性項目は以下の通りです。
これらの属性情報は、「この人に融資をしてきちんとお金が返ってくるのか」「この人に貸すならどのくらいの金額までが良いか」を判断する材料となります。
個人属性の評価は、融資の可否だけでなく、借り入れの限度額や金利にも大きく影響します。金融機関は「安定性」を最も重視しており、一時的に高い収入を得ているだけでは不十分で、ローン完済時期まで継続して一定以上の収入を得られることが求められます。
高評価を受けやすい属性の特徴:
低評価となりやすい属性:
興味深いことに、年収が高くても融資審査に通らないケースがあります。これは過去に消費者金融からの借り入れ履歴があったり、年収に対して預金が少なかったりする場合で、浪費癖があると判断されるためです。
個人属性の評価において、信用情報は極めて重要な要素です。金融機関は指定信用情報機関(KSC、CIC、JICC)を通じて、申込者の過去の借り入れ履歴や返済状況を詳細に確認します。
信用情報でチェックされる主な項目:
特に注意すべきは、携帯電話料金の支払い遅延です。多くの人が軽視しがちですが、これも立派な信用情報の「事故」として記録され、融資審査に悪影響を与える可能性があります。
信用情報に問題がある場合でも、その情報は5年~10年で抹消されます。自分の信用情報については本人が請求することで開示してもらうことができるため、融資申し込み前に確認しておくことをお勧めします。
個人属性は短期間で劇的に変えることは困難ですが、中長期的な視点で改善することは可能です。不動産投資を検討している方は、以下の点を意識して属性向上に取り組むことが重要です。
属性向上のための具体的な取り組み:
また、不動産会社が金融機関と提携している場合、一般的な融資条件よりも有利な条件で借り入れができる可能性があります。このような提携ローンを活用することで、属性が十分でない場合でも融資を受けやすくなることがあります。
不動産業界で働く従事者の場合、一般的なサラリーマンとは異なる属性評価を受けることがあります。不動産業界は景気変動の影響を受けやすい業界とされるため、金融機関によっては慎重な評価を行う場合があります。
不動産業従事者特有の評価ポイント:
興味深いことに、不動産業従事者の場合、物件の目利き能力や市場知識が豊富であることが逆に評価されるケースもあります。特に収益物件の選定において、一般の投資家よりも優れた判断ができると見なされることがあります。
業界従事者ならではの有利な点:
ただし、これらの専門知識を持っていても、基本的な属性評価(年収、勤続年数、信用情報など)が不十分であれば融資は困難です。専門知識は付加価値として評価されるものの、基本的な返済能力の証明が最優先となることを理解しておく必要があります。
金融機関との関係構築も重要な要素です。継続的な取引実績があり、信頼関係が築けている金融機関であれば、多少属性に不安がある場合でも柔軟な対応を受けられる可能性があります。
不動産投資を成功させるためには、まず自分自身の属性を客観的に分析し、改善可能な点は積極的に取り組み、無理のない範囲で投資計画を立てることが重要です。属性向上は一朝一夕にはいきませんが、継続的な努力により確実に改善していくことができる要素でもあります。