
令和7年5月26日から、戸籍にフリガナを記載する制度が施行され、氏名の読み方が戸籍上で公式に記録されるようになりました 。この改正により、戸籍法第13条に氏名のフリガナ記載が新たに追加され、戸籍の記載事項として義務化されています 。
参考)https://st.benesse.ne.jp/ninshin/content/?id=203757
改正の背景には、行政手続きのデジタル化推進と本人確認の精度向上があります 。従来は氏名のフリガナが戸籍上公証されていませんでしたが、今回の改正により、マイナンバーカードでの本人確認や金融機関での口座照合が容易になる利点が期待されています 。
参考)https://www.yomiuri.co.jp/national/20250525-OYT1T50100/
本籍地の市区町村から住民票上の住所宛てに、戸籍に記載される予定の氏名のフリガナを通知する制度が開始されており、令和8年5月25日までに届出手続きを行う必要があります 。届出をしない場合は、通知されたフリガナがそのまま戸籍に記載されるため、内容確認が重要です 。
参考)https://www.moj.go.jp/MINJI/furigana/flow.html
改正戸籍法では、読み仮名について「読み方として一般に認められているもの」と定められ、漢字本来の読み方と大きく異なるいわゆるキラキラネームに一定の制限が設けられました 。法務省は、漢字と意味が反対になるもの、読み違いかどうか判然としないもの、漢字の意味や読み方からおよそ連想できないものを許容しない方針を示しています 。youtube
参考)https://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=17478358648559
具体的な例として、「高(たかい)」を「ヒクシ」として漢字の反対の意味になるものや「太郎(タロウ)」を「ジロウ」や「サブロウ」として書き違いかどうかが判然としないものが挙げられています 。また、差別的・卑わいなものや反社会的で明らかに名前としてふさわしくない読み方も認められません 。
参考)https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250214/k10014722371000.html
施行以降に誕生する子供については、出生届受理時に読み仮名の審査が行われるため、従来のように漢字に対して自由な読み方を名付けることが困難になります 。自治体の判断に迷いが生じる場合は、法務局への照会により統一的な判断が行われる予定です 。
戸籍にフリガナが記載されるまでの手続きは、本籍地の市区町村からの通知確認から開始されます 。令和7年5月26日以降、住民票の情報をもとに作成された「戸籍に記載される振り仮名の通知書」が戸籍の筆頭者宛に郵送され、同じ戸籍内で同住所の方には一緒に通知されます 。
参考)https://www.town.seika.kyoto.jp/kakuka/sogo/1/1_1/4/27085.html
通知書の内容が正しい場合は届出が不要で、令和8年5月26日以降に自動的に戸籍に記載されますが、間違いがある場合は1年以内に市区町村の窓口、郵送、またはマイナポータルから届出を行う必要があります 。マイナンバーカードをお持ちの方は、施行日からマイナポータルで氏名のフリガナを確認することも可能です 。
参考)https://www.city.daito.lg.jp/soshiki/18/62180.html
届出人は、氏のフリガナについては戸籍の筆頭者が単独で届出し、名のフリガナについては戸籍に記載されている人それぞれが届出人となります 。15歳未満の方の届出は、親権者などの法定代理人が行うことになっています 。
氏名変更相談センターが15歳から23歳の全国2000人に実施したアンケートによると、自分の名前がキラキラネームに該当すると思う人は6%で、20人に1人以上の割合となっています 。さらに、キラキラネームに該当すると答えた121人のうち41.3%が「普通の名前がよかった」と考えたことがあり、29.8%が改名を希望しています 。
参考)https://osaka-everest.com/kirakiraname-wariai/
司法統計によると、改名の申立件数は2022年では5,728件となっており、キラキラネームが理由で改名する高校生の事例も報告されています 。文筆家の伊東ひとみによると、キラキラネームは1990年代半ばから出始め、2000年代前半から2010年代前半に全盛期を迎えましたが、令和改元以降はブームが沈静化し急速に減少しています 。youtube
参考)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%A9%E3%82%AD%E3%83%A9%E3%83%8D%E3%83%BC%E3%83%A0
ベビーカレンダーの調査では、約9割が名前の読み方への制限に賛成しており、弁護士ドットコムの調査でも8割がキラキラネームを制限する法改正に賛成という結果が出ています 。一方で、親が名前を自由に選ぶ権利の制限や画一的な名前の増加を懸念する声もあります 。
参考)https://trendnonews.hatenablog.com/entry/kirakira-names-regulation
改正戸籍法の施行により、今後出生する子供に対してキラキラネームを付けることが実質的に制限される一方、既存のキラキラネームについては家庭裁判所での改名申立が可能です 。キラキラネームを理由とした改名は十分な可能性があり、司法書士などの専門家に依頼する方法もあります 。
法務省は判断基準を示す指針を全国の自治体に通知していますが、自治体担当者からは「示された例が少なすぎる」との不安視する声もあり、統一的な判断のための細かい例の提供が求められています 。隣接自治体での判断の割れる可能性や、基準の厳格化による命名文化への影響も指摘されています 。
今後は行政のデジタル化推進とともに、個人の氏名が多様で難解な読み方がある漢字だけでなく、五十音順の仮名でも管理されるため、より合理的な戸籍制度が実現されます 。一方で、キラキラネーム世代とZ世代がおおむね重なることから、社会全体でのキラキラネームへの理解と適切な対応が求められています 。
参考)https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD245D80U5A420C2000000/