高圧一括受電とはマンション電気料金削減サービス

高圧一括受電とはマンション電気料金削減サービス

高圧一括受電とは、マンション全体で電力を一括契約し、各住戸に供給するサービスです。電気料金削減効果やメリット・デメリットを詳しく解説します。あなたの物件にも導入を検討すべきでしょうか?

高圧一括受電とは

高圧一括受電サービスの概要
基本的な仕組み

マンション全体で電力会社と高圧契約を結び、各住戸に低圧で供給するサービス

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コスト削減効果

高圧電力の単価が低圧より安いため、電気料金の削減が可能

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対象物件

50kW以上の電力使用量があるマンションが導入対象

高圧一括受電の基本的な仕組み

高圧一括受電とは、マンション全体で電力会社と高圧受電契約を結び、各住戸へ電力を供給するサービスです。従来のように各家庭が個別に電力契約(低圧単価で購入)をするのではなく、マンション全体で電力を一括契約(高圧単価で購入)することで、低圧と高圧の単価差により電気料金削減を実現します。

 

この仕組みは2004年4月の高圧電力自由化に伴い開始されたサービスで、マンション単位で電力会社を選択できるようになりました。マンション内に設置された受変電設備(キュービクル・電気室)で高圧電力を低圧に変圧し、各住戸に供給する構造となっています。

 

📊 導入状況データ

  • 全国の新築マンションの約半数で導入済み
  • 2018年12月時点で約6,700棟が導入
  • 供給戸数は約65万戸
  • 管理組合の約12%が導入済み

高圧一括受電のメリットと電気料金削減効果

高圧一括受電の最大のメリットは電気料金の削減効果です。一括でマンション全体の高圧電力を契約することで、個別の低圧契約よりも低い電気料金単価が適用されます。

 

削減効果の詳細

  • 共用部:約20%の削減
  • 専有部:5~8%の削減
  • 設備初期費用は事業者負担
  • 24時間365日のサポート体制

電気料金の削減分は修繕積立金に充当することも可能で、マンション全体の価値向上につながります。また、契約手続きの簡素化や電気料金の見える化により、管理組合の業務効率化も図れます。

 

💡 意外な事実
実は一括受電サービスは電力小売全面自由化(2016年4月)よりも前から存在しており、高圧電力自由化(2004年4月)と同時にスタートした歴史の長いサービスです。

 

高圧一括受電のデメリットと注意点

一括受電には電気料金削減というメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。

 

主要なデメリット

  • 住民は電力会社を自由に選択できない
  • 契約期間が10年と長期間
  • 法定点検時の停電(1~3年に1回、1~2時間)
  • 高圧受電設備の使用料(月額440円程度)

特に電力自由化後に登場した様々な付加価値サービスや、ガスと電気のセットプラン、ポイント還元サービスなどを利用できなくなることは、一部の住民にとって大きな制約となります。

 

⚠️ オール電化住宅での注意点
オール電化マンションでは契約アンペアが80Aの1プランのみとなり、基本料金が大幅に上昇するケースがあります。30Aから80Aへの変更で年間約15,600円の基本料金増加となる場合もあります。

 

高圧一括受電の導入プロセスと契約条件

高圧一括受電の導入には厳格な条件があります。

 

導入の必要条件

  • 高圧受電設備の設置
  • 全戸の同意取得
  • 電力使用量50kW以上
  • 管理組合での決議

導入プロセスは新築マンションと既設マンションで異なります。新築の場合はマンションデベロッパーが主導し、全入居者の電気料金が割引となります。既設マンションでは管理組合やマンションオーナーが主導し、主に共用部の電気料金削減効果を活用します。

 

📋 契約の特徴

  • 契約期間:10年間(その後2年ごと自動更新)
  • 保安管理:事業者が実施
  • 検針・請求:事業者が代行
  • 緊急時対応:24時間365日体制

高圧一括受電の将来性と不動産価値への影響

高圧一括受電は不動産価値にも影響を与える重要な要素です。電気料金削減効果により管理費の値上げ幅抑制や修繕積立金の補填が可能となり、マンション資産価値の向上に寄与します。

 

不動産業界への影響

  • 新築マンションの差別化要素
  • 管理費削減による競争力向上
  • 長期的な運営コスト削減
  • 環境配慮型物件としてのアピール

しかし、電力市場の価格変動や新しいサービスの登場に対する柔軟性の欠如は、将来的なリスクとして考慮する必要があります。10年という長期契約により、より有利な電力サービスが登場しても切り替えができない可能性があります。

 

🔮 今後の展望
電力自由化の進展により、一括受電サービスも多様化が進んでいます。再生可能エネルギーを活用したプランや、IoT技術を活用した電力管理システムとの連携など、新たなサービス展開が期待されています。

 

資源エネルギー庁の一括受電に関する詳細な統計データと制度概要
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/pdf/021_04_00.pdf
東京電力エナジーパートナーの一括受電サービス詳細
https://www.tepco.co.jp/ep/private/smartmansion/
関西電力の一括受電サービス説明資料
https://sol.kepco.jp/useful/aircontrol/w/ikkatsujuden/