
高圧一括受電とは、マンション全体で電力会社と高圧受電契約を結び、各住戸へ電力を供給するサービスです。従来のように各家庭が個別に電力契約(低圧単価で購入)をするのではなく、マンション全体で電力を一括契約(高圧単価で購入)することで、低圧と高圧の単価差により電気料金削減を実現します。
この仕組みは2004年4月の高圧電力自由化に伴い開始されたサービスで、マンション単位で電力会社を選択できるようになりました。マンション内に設置された受変電設備(キュービクル・電気室)で高圧電力を低圧に変圧し、各住戸に供給する構造となっています。
📊 導入状況データ
高圧一括受電の最大のメリットは電気料金の削減効果です。一括でマンション全体の高圧電力を契約することで、個別の低圧契約よりも低い電気料金単価が適用されます。
削減効果の詳細
電気料金の削減分は修繕積立金に充当することも可能で、マンション全体の価値向上につながります。また、契約手続きの簡素化や電気料金の見える化により、管理組合の業務効率化も図れます。
💡 意外な事実
実は一括受電サービスは電力小売全面自由化(2016年4月)よりも前から存在しており、高圧電力自由化(2004年4月)と同時にスタートした歴史の長いサービスです。
一括受電には電気料金削減というメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。
主要なデメリット
特に電力自由化後に登場した様々な付加価値サービスや、ガスと電気のセットプラン、ポイント還元サービスなどを利用できなくなることは、一部の住民にとって大きな制約となります。
⚠️ オール電化住宅での注意点
オール電化マンションでは契約アンペアが80Aの1プランのみとなり、基本料金が大幅に上昇するケースがあります。30Aから80Aへの変更で年間約15,600円の基本料金増加となる場合もあります。
高圧一括受電の導入には厳格な条件があります。
導入の必要条件
導入プロセスは新築マンションと既設マンションで異なります。新築の場合はマンションデベロッパーが主導し、全入居者の電気料金が割引となります。既設マンションでは管理組合やマンションオーナーが主導し、主に共用部の電気料金削減効果を活用します。
📋 契約の特徴
高圧一括受電は不動産価値にも影響を与える重要な要素です。電気料金削減効果により管理費の値上げ幅抑制や修繕積立金の補填が可能となり、マンション資産価値の向上に寄与します。
不動産業界への影響
しかし、電力市場の価格変動や新しいサービスの登場に対する柔軟性の欠如は、将来的なリスクとして考慮する必要があります。10年という長期契約により、より有利な電力サービスが登場しても切り替えができない可能性があります。
🔮 今後の展望
電力自由化の進展により、一括受電サービスも多様化が進んでいます。再生可能エネルギーを活用したプランや、IoT技術を活用した電力管理システムとの連携など、新たなサービス展開が期待されています。
資源エネルギー庁の一括受電に関する詳細な統計データと制度概要
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/pdf/021_04_00.pdf
東京電力エナジーパートナーの一括受電サービス詳細
https://www.tepco.co.jp/ep/private/smartmansion/
関西電力の一括受電サービス説明資料
https://sol.kepco.jp/useful/aircontrol/w/ikkatsujuden/