高齢者住まい法とサービス付き高齢者向け住宅の制度概要

高齢者住まい法とサービス付き高齢者向け住宅の制度概要

高齢者住まい法によるサービス付き高齢者向け住宅の登録制度は、バリアフリー構造と見守りサービスを提供し、高齢者の居住の安定を確保する重要な制度です。登録基準や費用相場、メリット・デメリットなど、制度の全体像を理解することで適切な選択ができるでしょうか?

高齢者住まい法とサービス付き高齢者向け住宅

サービス付き高齢者向け住宅制度の概要
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法律の目的

高齢者住まい法により高齢者の居住安定を確保

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登録制度

国土交通省・厚生労働省共管の制度として創設

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バリアフリー住宅

ハード面とサービス面の両方で高齢者を支援

高齢者住まい法による登録制度の創設

平成23年10月20日に「高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)」が改正・施行され、サービス付き高齢者向け住宅の登録制度が創設されました 。この制度は、高齢者の居住の安定を確保することを目的として、国土交通省・厚生労働省の共管事業として運営されています 。
参考)https://www.city.osaka.lg.jp/toshiseibi/page/0000370849.html

 

高齢者住まい法の改正により、従来の高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)、高齢者専用賃貸住宅(高専賃)、高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)制度は廃止され、新たにサービス付き高齢者向け住宅の登録制度に統合されました 。この制度は、居住空間だけでなく、一定のサービスも提供する高齢者住宅を整備するという方針のもと立てられています 。
参考)https://www.tyojyu.or.jp/net/kaigo-seido/shisetsu-service/service-house.html

 

登録は都道府県・政令市・中核市が行い、家賃やサービスに関する情報が公開されます 。この透明性の確保により、入居希望者は適切な情報をもとに施設を選択することが可能となっています。
参考)https://www.city.nara.lg.jp/soshiki/118/78738.html

 

高齢者住まい法による登録基準と要件

サービス付き高齢者向け住宅の登録には、居住部分の面積、設備、バリアフリー、提供するサービス、契約内容等に関して詳細な登録基準が定められており、すべての基準を満たす必要があります 。
居住部分の面積と設備については、各居住部分の床面積が原則25平方メートル以上であることが求められます 。ただし、共用部分に十分な居間、食堂、台所等を備える場合は18平方メートル以上でも可能です 。各居住部分には、台所、水洗便所、収納設備、洗面設備及び浴室を備えることが原則となっています 。
参考)https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish_sumai/

 

バリアフリー構造として、段差のない床、浴室等の手すり、車椅子で移動できる幅の廊下などが必要です 。これらの構造要件により、加齢に伴う身体機能の低下を補い、日常生活を支障なく営むことができる環境が整備されます。
提供サービスでは、状況把握(安否確認)サービスと生活相談サービスの提供が必須となっており、ケアの専門家が少なくとも日中建物に常駐することが求められています 。常駐しない時間帯は緊急通報システムで対応することが義務付けられています。

サービス付き高齢者向け住宅の費用と料金体系

サービス付き高齢者向け住宅の費用は、「一般型」と「介護型」によって大きく異なり、それぞれ初期費用と月額費用が必要です 。
参考)https://kaigo.homes.co.jp/manual/facilities_comment/list/house/service/cost/

 

一般型の場合、契約形態は賃貸借契約で、初期費用は敷金として数十万円程度が相場となっています 。月額費用は家賃と管理費で約5万円~25万円程度で、家賃は周辺の賃貸マンション・アパートの相場に準じています 。全国平均では月額10.5万円、大都市圏では12.4万円、地方圏では8.7万円となっています 。
参考)https://kaigo.benesse-style-care.co.jp/article/knowledge/nursinghome/jutaku/type_satsuki/fee

 

介護型の場合、契約形態は利用権契約が多く、初期費用は入居一時金として数十万円~数千万円です 。月額費用は家賃、管理費、食費として15万円~40万円程度かかり、施設から直接介護サービスを提供されるため、利用料は毎月定額となっています 。
その他の費用として、介護サービス利用料、医療費、消耗品代、オプションサービス代などが必要になることもあります 。特に要介護度が上がるにつれて自己負担額も高くなるため、先を見据えた余裕のある資金プランを立てることが重要です 。
参考)https://www.asahi-kasei.co.jp/hebel-senior/column/17/index.html/

 

サービス付き高齢者向け住宅のメリットと注意点

サービス付き高齢者向け住宅には多くのメリットがありますが、一方で注意すべき点も存在します 。
参考)https://kaigo.benesse-style-care.co.jp/article/knowledge/nursinghome/jutaku/type_satsuki

 

主要なメリットとして、賃貸借契約のため有料老人ホームに比べて入居金が安い点が挙げられます 。また、有料老人ホームのように1日のスケジュールが決まっていないため、自宅と同様の自由な暮らしを送ることができます 。さらに、基本的に外出制限もなく、バリアフリー仕様で一般的な賃貸住宅と比べて生活しやすい環境が整っています 。
注意すべき点として、一般的な賃貸住宅に比べると費用は高くなっている点があります 。「一般型」では有料老人ホームのような人員基準が決められていないため、夜間のスタッフ配置は施設によって異なります 。また、認知症がある場合は、サービス付き高齢者向け住宅によっては入居できない可能性があるため、事前の確認が必要です 。
施設選びの際は、相談員の人員体制(15~20世帯につき相談員が1人以上が理想)、夜間のスタッフ配置、緊急通報システムの設置状況、医療ケアサービスの充実度などを確認することが重要です 。
参考)https://www.cocofump.co.jp/articles/kaigo/208/

 

サービス付き高齢者向け住宅の選び方と契約時の確認事項

適切なサービス付き高齢者向け住宅を選ぶためには、段階的なアプローチと詳細な確認が必要です。

 

施設選びのプロセスとして、まず情報収集を行い、次に条件の絞り込みを実施します 。その後、現地見学や体験入居を経て、最終的な条件確認を行うという4ステップが推奨されています 。このプロセスを通じて、入居後の後悔を避けることができます。
参考)https://www.sagasix.jp/knowledge/about/sakoujyu-choose/

 

契約内容の確認点として、高齢者住まい法では詳細な契約基準が定められています 。書面による契約であること、居住部分が明示された契約であること、敷金、家賃、サービス対価以外の金銭を受領しないこと(権利金等の禁止)などが規定されています 。
前払い金を受領する場合は、算定の基礎と返還債務の算定方法が明示されている必要があります 。また、長期入院などを理由に事業者から一方的に解約できないことが保障され、居住の安定が図られた契約内容になっていることが求められています 。
独自視点での確認ポイントとして、施設の運営が1年以上経過しているにも関わらず入居率が50%を下回っていないかという点があります 。低い入居率は施設運営の安定性や質に問題がある可能性を示唆しており、このような指標を確認することで「ハズレサ高住」を回避できる可能性が高まります 。