
マンション1階の最も深刻な問題は防犯面のリスクです。警察庁の統計によると、共同住宅では3階以下の住戸の空き巣認知件数は、4階以上の住戸の約2倍となっています。
防犯面で特に注意すべきポイントは以下の通りです。
特に女性の一人暮らしでは、洗濯物を干す際にも注意が必要で、下着類などから居住者の性別が特定されるリスクがあります。道路に面した部屋では、通行人の視線が常に気になり、日中でもカーテンを閉めっぱなしにせざるを得ない状況も珍しくありません。
1階特有の湿気問題は、多くの居住者が予想以上に深刻だと感じる要因の一つです。地面に近い立地条件により、以下のような問題が発生しやすくなります。
湿気の原因と影響
実際に1階に住んだ経験者からは「除湿機が手放せない」「カビ対策に年間数万円かかる」といった声が多く聞かれます。特に北側の部屋では日差しが入りにくく、カビの発生率が他の階層と比較して明らかに高くなる傾向があります。
新築マンションでも断熱性能が高いとはいえ、古いマンションでは断熱性が低く、冬場の結露問題が深刻化するケースも報告されています。
1階の虫害問題は、清潔好きな方にとって大きなストレス要因となります。地面に近い環境特性により、以下のような虫との遭遇リスクが高まります。
侵入しやすい虫の種類
虫害の発生は立地環境に大きく左右されます。公園や雑木林が近くにある物件では、自然環境が豊かな分、昆虫の生息数も多くなります。また、飲食店が近隣にある場合は、ゴキブリなどの害虫が発生しやすい環境となります。
防虫対策として、網戸の設置や隙間テープの使用、定期的な殺虫剤散布などが必要となり、維持費用も他の階層より高くなる傾向があります。
1階の眺望問題は、購入後に最も後悔しやすいポイントの一つです。高層階と比較して、以下のような制約があります。
眺望面での制約
日当たりについては、南側が公園や並木道に面している場合や、第1種低層住居専用地域であれば比較的良好な採光が期待できます。しかし、商業地域や準商業地域では、将来的にビルやマンションが建設される可能性があり、現在の眺望が保証されません。
実際の居住者からは「購入時は眺望が良かったが、隣接地にマンションが建設されて一日中薄暗くなった」という事例も報告されています。
1階特有の騒音問題は、意外に見落とされがちな要因です。上階からの騒音だけでなく、1階ならではの音の問題があります。
1階特有の騒音源
コンクリート造のマンションでは上階の足音は比較的軽減されますが、木造や軽量鉄骨造のアパートでは、神経質な方にとって大きなストレス要因となります。
また、エントランスやゴミ置き場が近い場合は、住民の出入りや収集車の音が日常的に発生し、静かな環境を求める方には不向きな環境となります。