内部通報とパワハラヒアリングの対応手順

内部通報とパワハラヒアリングの対応手順

職場でパワハラの内部通報を受けた際の適切な対応方法を解説。事実関係調査からヒアリング実施、法的リスク回避まで企業が知るべき重要なポイントとは?

内部通報とパワハラヒアリングの対応手順

内部通報からヒアリングまでの重要ポイント
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迅速な初期対応

通報受領から20日以内に調査開始を通知し、プライバシー保護を徹底します

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系統的ヒアリング実施

被害者→加害者→関係者の順で証拠保全と事実確認を行います

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適切な調査報告書作成

法的な立証責任を考慮した証拠整理と事実認定を文書化します

パワハラに関する内部通報は、企業にとって重要な法的課題です 。公益通報者保護法の改正により、常時301人以上の労働者を使用する企業では内部通報対応体制の整備が義務化され、適切な対応が求められています 。内部通報制度の目的は、社内の違法行為を早期に発見し、適切に改善することであり、通報された情報への適切な対応や通報者の保護などが重要な要素となります 。
参考)https://biz.moneyforward.com/payroll/basic/83101/

 

内部通報パワハラ事案の初期対応

内部通報を受けた際は、まず通報者に対して通報事案を受け付けたことを通知し、事実関係の聞き取りを行います 。パワハラが暴行、脅迫、侮辱罪に当たる暴言などの犯罪行為の場合には公益通報制度に基づく対応に移行し、それ以外の場合はパワハラ防止法等に基づく対応を実施します 。
通報を受けてから調査の開始までは迅速な対応が求められ、通報者への調査実施通知を怠ると20日間経過後に外部機関への通報が可能になってしまうリスクがあります 。そのため、通報内容を確認し、調査すべきか否かを判断してその結果を通報者に通知する必要があります 。
参考)https://atomfirm.com/compliance/cmedia/nc29562

 

内部通報パワハラヒアリングの実施手順

ヒアリングは被害者、加害者、関係者の順で実施することが推奨されます 。まず被害者からのヒアリングを行い、その後被害者の承諾を得たうえで加害者からのヒアリングを実施します 。目撃者や関係者がいる場合はそのヒアリングを行い、最後に被害者と加害者に対し双方の言い分が食い違う点について再度ヒアリングを行います 。
参考)https://kigyobengo.com/media/useful/1806.html

 

ヒアリング実施の際は、「調査」や「ヒアリング」以外の名目を使い、ヒアリングの実施をカモフラージュして自然な形で場を設けることが重要です 。また、ヒアリングは密行的に、かつ短期間に集中して行う必要があり、不正行為の実行者による証拠隠滅工作のリスクを最小限に抑える配慮が必要です 。
参考)https://www.sp-network.co.jp/column-report/column/spneye/candr20078.html

 

パワハラヒアリング調査における証拠収集

証拠収集は当事者へのヒアリング時に実施し、メールや録音データ、日記など、パワハラの有無を立証できるような証拠の提出を求めます 。この際、証拠を隠さずに全部出してもらうことを目指し、相談担当者は当事者と信頼関係を築いたうえで証拠提出を依頼することが重要です 。
参考)https://kigyobengo.com/media/useful/2675.html

 

社内サーバーに残されたメール、監視カメラの画像、加害行為があったとされる現場の写真などは、調査担当者の権限によっては調査担当者自身が収集できます 。しかし、会社が保有する情報については、証拠の提示を拒んだり証拠隠滅を図る可能性もあるため、企業側の証拠にあまり依存しすぎないことも重要な視点です 。
参考)https://ylo-corporatelaw.com/labor/power-harassment/investigation

 

ヒアリング実施時の法的リスクと注意点

ヒアリング時には複数の法的リスクが存在します。調査担当者が評価を交えた質問や威圧的な発言を行うと、調査対象者の供述の信用性が損なわれるだけでなく、調査担当者自身がパワハラで訴えられる可能性があります 。また、「関係者は認めたが、あなたは認めるか」といった虚偽の事実を伝えて供述を引き出そうとする行為も避けなければなりません 。
参考)https://tokorozawa.vbest.jp/columns/general_corporate/g_general/7074/

 

立証責任の観点から、パワハラの事実については申立人側が立証責任を負うことが一般的ですが、企業としては中立的な立場で事実関係を確認し、十分な弁明の機会を与える必要があります 。ヒアリング結果は必ず文書にまとめ、対象者に署名してもらうことで後日の証拠として活用できます 。
参考)https://xn--alg-li9dki71toh.com/harassment-survey/chousa-houhou/

 

内部通報ヒアリング後の調査報告書作成

調査完了後は、当事者等へのヒアリングや収集した証拠に基づいて事実認定を行い、ハラスメントの該当性を判断した後に調査報告書を作成します 。調査報告書には調査の結論、当事者等や調査担当者の情報、調査に至る経緯、調査対象事項を明確に記載する必要があります 。
参考)https://xn--alg-li9dki71toh.com/harassment-survey/chousa-houkokusho/

 

報告書の構成としては、①調査の結論(ハラスメントの有無に関する事実認定、加害者への懲戒処分、今後の防止策など)、②当事者等や調査担当者、③調査に至る経緯、④調査対象事項を含めることが一般的です 。調査報告書は法的な証拠としても重要な文書となるため、客観的かつ詳細な記録を心がけ、事実と判断を明確に分けて記載することが求められます 。