ペアガラス断熱効果で複層ガラス性能を最大化する方法

ペアガラス断熱効果で複層ガラス性能を最大化する方法

ペアガラスの断熱効果について、複層ガラスの構造から遮熱性能、熱貫流率まで詳しく解説。不動産従事者が知っておくべき断熱性能の数値比較や選び方のポイントをご紹介します。あなたの物件の断熱性能は十分ですか?

ペアガラス断熱効果の基本構造

ペアガラス断熱効果の基本構造
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複層ガラスの構造

2枚のガラスの間に空気層を設けた断熱性能の高いガラス製品

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熱貫流率による性能評価

数値が小さいほど断熱性能が高く、結露しにくい特性を持つ

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遮熱性能の向上

Low-E膜コーティングにより日射熱取得率を低減

ペアガラス複層ガラスの基本構造と断熱メカニズム

ペアガラス(複層ガラス)は、2枚の板ガラスをアルミ製スペーサーで一定間隔に保ち、その周囲を封着材で密封した構造です。ガラス間の空気(中空層)は、スペーサーに封入した吸湿剤で乾燥状態に保たれています。

 

この空気層が断熱効果の核心となります。具体的には、ガラスの外側にある冷たい空気と、内側の暖かい空気の間にこの空気層が挟まることによって、熱が効率的に伝わるのを防ぐのです。

 

  • 2枚のガラスの間に設けられた中空層による断熱効果
  • アルミ製スペーサーによる一定間隔の維持
  • 封着材による密封構造で乾燥状態を保持
  • 空気対流による熱移動を抑制する厚さ設定

中空層は、空気対流による熱移動を抑える厚さに設定されており、単板ガラスに比べて熱貫流率を低く抑え、優れた断熱性を実現しています。

 

ペアガラス断熱性能を示す熱貫流率の数値比較

ペアガラスの断熱性能は、「熱貫流率」と呼ばれる数値によって決まります。熱をどのくらい通しやすいかを表したもので、室内外の温度差が1℃のときに窓1㎡あたりに対して1時間でどれだけの熱量が通過するかという数値です。

 

以下は主要な複層ガラスの熱貫流率比較表です。

ガラス種類 熱貫流率(W/m²・K) 断熱性能
単板ガラス 6.0 基準値
一般ペアガラス 3.3 約2倍
Low-Eペアガラス 2.9 約2.1倍
スペーシア 1.4 約4倍

数値が小さいほど断熱性能が高いことを示しており、「スペーシア」の熱貫流率が群を抜いて低いことがわかります。つまり、断熱性能が最も高く、単板の「フロートガラス」より4倍以上も断熱性能が高い製品となります。

 

ペアガラス遮熱性能とLow-E膜の効果

ペアガラスの遮熱性能は、「日射熱取得率」という数値で評価されます。ガラスに入射する太陽光の熱がどれだけ室内に伝わるかを表した割合で、この値が小さいほど遮熱性能が高いガラスとなります。

 

複層ガラスの断熱性能、遮熱性能を高めるために、ガラス面に「Low-E膜」という特殊な金属膜をコーティングした「Low-E複層ガラス」があります。

 

Low-E膜の種類と特徴。

  • 高断熱Low-E膜:室内側ガラスにコーティング、暖房エネルギーを逃さず外からの日射熱を取り入れる
  • 遮熱高断熱Low-E膜:室外側ガラスにコーティング、夏の日射熱を遮断し冬の暖房熱を反射
  • カラーバリエーション:クリア・ブルー・グリーンの3種類、グリーンが最も高性能

「Low-Eペアガラス(アルゴンガス)」の日射熱取得率が最も低く、最も遮熱効果が高い製品です。単板の「フロートガラス」より2倍以上も遮熱性能が高い性能を発揮します。

 

ペアガラス断熱効果による結露防止メカニズム

ペアガラスは、その構造上、室内の暖かい空気と冷たい外気との間に断熱層を作ることで結露を防ぐ効果があります。2枚のガラスの間にある空気の層が、屋外と室内の温度差を小さくしてくれるため、結露が発生しにくくなるのです。

 

結露防止の仕組み。

  • 空気層による断熱効果で室内側ガラス表面温度の上昇
  • 温度差の緩和による露点温度への到達回避
  • 乾燥剤による中空層内の湿度管理
  • 熱橋現象の抑制による局所的な冷却防止

実際の測定データでは、複層ガラス(ペアガラス)の表面温度は12.7℃で、単板ガラスと比較して明らかな温度差があることが確認されています。この温度差が結露の発生を大幅に抑制する要因となっています。

 

ただし、アルミサッシなどの金属製の窓枠を使用している場合、窓枠部分での結露は完全には防げない場合があります。より効果的な結露防止には、樹脂サッシとの組み合わせが推奨されます。

 

ペアガラス断熱性能を活かした不動産価値向上戦略

不動産従事者にとって、ペアガラスの断熱性能は物件価値を大きく左右する重要な要素です。特に省エネルギー性能への関心が高まる現在、断熱性能の数値化された説明は顧客への強力なアピールポイントとなります。

 

物件価値向上のポイント。

  • 光熱費削減効果の数値化:年間暖房費を約30-40%削減可能
  • 快適性の向上:冬場の窓際の冷気感を大幅に軽減
  • 健康面でのメリット:結露によるカビ・ダニの発生抑制
  • 防音効果:二重ガラス構造による騒音低減効果

高断熱住宅では窓の断熱性能が重要で、樹脂フレーム+トリプルガラス(熱貫流率0.90)、樹脂フレーム+複層ガラス(熱貫流率1.31)など、フレーム材質との組み合わせも重要な要素です。

 

リフォーム提案時の注意点。

  • 既存サッシの溝幅確認(単板ガラス用は9mm、ペアガラスは最低12mm必要)
  • サッシ交換の必要性とコスト説明
  • アタッチメント付きペアガラスによる簡易施工の提案
  • 真空ガラススペーシアなど高性能製品の選択肢提示

真空ガラススペーシアの断熱効果は1枚ガラスに比べて4倍、従来のリフォーム用アタッチメント付きペアガラスに比べても2.5倍から3倍以上の性能があります。このような具体的な数値を用いた提案により、顧客の理解と満足度を高めることができます。

 

また、昨今はペアガラス以上を標準仕様とした住宅会社がほとんどですが、窓の断熱性能を壁の厚さに例えると、窓は壁に比べて圧倒的に薄いことが分かります。このため、窓の断熱性能向上は住宅全体の省エネルギー性能に大きな影響を与える重要な要素となっています。