
再建築不可物件とは、現在の建物を解体した後に新たな建築物を建てることができない土地を指します。この制限の主な原因は、建築基準法第43条で定められた接道義務を満たしていないことです。
接道義務の具体的な条件は以下の通りです。
これらの条件を満たさない物件は、安全性の観点から緊急車両の進入が困難であるため、再建築が認められません。特に戦後の復興期に建築された古い住宅地では、当時の緩い基準で建築されたため、現行法に適合しない物件が多く存在しています。
再建築不可物件かどうかの判定は、最終的に役所で行う必要があります。調査の手順と必要書類は以下の通りです。
必要書類の準備
調査方法
役所での確認時には、具体的な建築計画を想定した相談を行うことで、より詳細な回答を得ることができます。また、建築基準法以外にも都市計画法や各種条例による制限がある場合もあるため、包括的な調査が重要です。
再建築不可物件の売却は一般的な不動産と比較して困難ですが、適切な方法を選択することで売却は可能です。売却価格は同エリアの一般的な物件の60~80%程度が相場となっています。
主な売却方法
価格に影響する要因
売却時の注意点として、住宅ローンが利用できないため現金購入者に限定されることや、建物の資産価値が低く評価されることを理解しておく必要があります。
再建築不可物件であっても、適切な対策を講じることで建築可能な物件に変更できる場合があります。主な方法は以下の通りです。
セットバックによる道路拡幅
道路中心線から2m後退(セットバック)することで、道路幅員を4m以上に確保する方法です。この場合、セットバック部分は道路として扱われるため建築はできませんが、残りの敷地で建築が可能になります。
隣地との合筆・分筆
建築基準法43条2項2号の活用
接道義務を満たさない敷地でも、安全性が確保される場合に建築を認める救済措置です。自治体の包括同意基準に適合すれば、建築確認を取得できる可能性があります。
位置指定道路の申請
私道を建築基準法上の道路として認定してもらう手続きです。道路の幅員や構造が基準を満たしていれば、位置指定道路として認定され、接道義務をクリアできます。
これらの方法には費用と時間がかかりますが、物件価値の大幅な向上が期待できるため、投資効果を慎重に検討することが重要です。
再建築不可物件は制限があるものの、創意工夫により収益性の高い活用が可能です。従来の住宅用途以外での活用方法を検討することで、新たなビジネスチャンスを見出すことができます。
更地活用による収益化
既存建物のリノベーション活用
特殊な投資戦略
建築基準法の改正動向を見据えた長期投資戦略も注目されています。2025年の建築基準法改正では、既存建物の大規模修繕に関する規制が変更される可能性があり、これまで活用が困難だった物件でも新たな可能性が生まれる可能性があります。
また、都市部では土地の希少性から、将来的な法改正や都市計画の変更により、再建築可能になる可能性も考慮した投資判断が重要です。特に駅近の立地では、行政の都市再開発計画により接道条件が改善される場合もあります。
税制面でのメリットも見逃せません。再建築不可物件は固定資産税評価額が低く設定されるため、保有コストを抑えながら長期投資が可能です。相続税対策としても有効で、評価額の低い不動産として相続財産の圧縮効果が期待できます。