外張り断熱工法のデメリットと具体的な対策方法

外張り断熱工法のデメリットと具体的な対策方法

外張り断熱工法は高い断熱性能を誇る一方で、建築費の高騰や施工上の課題が存在します。適切な対策を講じなければ深刻な問題に発展する可能性もあるため、導入前にしっかりとリスクを把握しておく必要があります。外張り断熱工法の隠れたデメリットとその解決策について、どのようなポイントを押さえるべきでしょうか?

外張り断熱工法のデメリット

外張り断熱工法の主要課題
💰
高額な建築費

一般的な充填断熱に比べて100万円以上のコストアップが発生

🏠
外壁の厚み増加

20~30cm程度厚くなり設計やデザインに影響

⚠️
湿気とカビのリスク

施工不良により壁内結露や構造材の劣化が発生

外張り断熱工法の建築コスト上昇要因

外張り断熱工法では、建物全体を断熱材で包むため、充填断熱に比べて施工が複雑で手間がかかり、その分費用が高くなります 。一般的な施工費用は1㎡あたり8,000~30,000円程度が相場で、30坪の住宅では100~200万円程度のコストアップが発生する場合があります 。
参考)https://science-home-okayama.jp/news/3055/

 

建築費が高額になる主な理由として、断熱材自体の値段に加え、施工作業が複雑になることが挙げられます 。また、外断熱工法を施工できる技術者も限られているため、人件費も高くなりがちです 。
参考)https://aerahome.com/column/chumon/exterior-insulation/

 

コスト上昇の対策として、複数の業者から見積もりを取得し、予算をしっかり確認して費用面での計画を立てておく必要があります 。また、長期的な光熱費削減効果を考慮して投資対効果を検討することが重要です 。
参考)https://www.yahata-home.com/blog/blog-4743/

 

外張り断熱工法による外壁厚み問題の影響

外張り断熱工法では建物の外側に断熱材を設置するため、外壁の厚みが増加します 。効果的な断熱性能を確保するには厚い断熱材が必要で、さらにその上に仕上げ材となる外壁を施工するためです 。従来の外壁と比べて全体で20~30cm程度厚くなるケースもあります 。
参考)https://school.yunite.co.jp/column/externalinsulation-Disadvantage-

 

外壁の厚みが増えると、都市部の狭小地や建ぺい率ギリギリで建てられた住宅では、外断熱工事により建物が敷地境界線に接近しすぎて、法的な規制に抵触するリスクがあります 。隣の家との距離が近すぎて十分な作業スペースが確保できず、施工が困難になるケースも発生します 。
窓やドア周りの納まりが複雑になるため、複雑な形状の住宅・多数の開口部がある・凹凸の多いデザインの建物などは、外断熱の施工難易度が高くなります 。断熱材を設置するスペースを持たせる必要があり、都市部の住宅街に多い狭小住宅にはあまり向かないでしょう 。
参考)https://www.renoveru.jp/journal/13735

 

外張り断熱工法の湿気・結露問題と構造材への影響

外張り断熱工法は建物の外側を断熱材で囲むため、住まいの気密性が向上しますが、その一方で湿気がこもってしまうデメリットがあります 。湿気がこもると、内部結露が発生しやすくなり、壁体内でカビが発生するリスクが高まります 。
参考)https://quohome.com/story/?p=9943

 

特に施工不良がある場合、断熱材内面で結露が発生し壁内部や構造部材にカビが発生し損傷させ、しかも気付いた時は手遅れとなることが最も深刻な問題です 。築後7年程度でも、毎年秋から初夏まで半年以上、毎日結露で構造材が濡れたり、蒸し上げられた状態に置かれている事例も報告されています 。
参考)https://question.realestate.yahoo.co.jp/knowledge/chiebukuro/detail/1289468897/

 

この問題への対策として、室内から発生する湿気は断熱材の内側に張られた防湿気密シートで防ぎ、また外側には通気層をつくり、断熱層に入った湿気や水蒸気を逃がすことが大切です 。「内気密・外開放」の考え方を採用し、高気密高断熱住宅の結露対策として有効と考えられています 。
参考)https://www.njkk.co.jp/blog/?itemid=181amp;dispmid=764

 

外張り断熱工法施工時の技術的課題とリスク管理

外張り断熱工法は、はっきりと確立された汎用工法がないために施工できる業者が少なく、あまり主流な断熱方法ではありません 。そのため、業者選びの選択肢が狭まってしまうという問題があります 。
施工品質は極めて重要な要素で、施工不良は期待した断熱効果が得られないだけでなく、建物に深刻な問題を引き起こす可能性があります 。代表的な失敗例として、断熱材の選択ミスが挙げられ、建物の立地環境や気候条件に適合しない材料選びをしてしまうケースが目立ちます 。
参考)https://www.k-skn.com/sokenpaint/column/2037/

 

断熱材の厚さが薄すぎると十分な断熱効果が得られず、電気代の節約も期待できません 。逆に厚すぎると工事が難しくなり、費用も上がってしまい、外壁の強度にも影響が出る可能性があるため、適切な厚さを選ぶことが大切です 。外張り断熱のデメリットは雨仕舞(あまじまい)の失敗が挙げられ、外壁の厚みが増す分サッシが引っ込むことになり、施工上の注意が必要です 。
参考)https://fukurouhouse.jp/knowledge/points-to-keep-in-mind-when-constructing-exterior-insulation-secrets-of-the-strength-of-mortar-exterior-walls

 

外張り断熱工法における火災安全性の検討課題

外張り断熱工法を木造住宅に適用する際の重要な検討事項として、火災安全性の問題があります。特に発泡プラスチック系の断熱材を使用する場合、火災のリスクが高くなることに注意が必要です 。発泡プラスチック系の素材は、数百度程度の低温でも発火してしまう可能性があります 。
この課題は従来から指摘されており、適切な防火対策を講じることが求められます。断熱材の選定においては、防火性能の高い材料を選択することや、火災時の避難経路の確保など、総合的な安全対策を検討する必要があります。

 

建築基準法における防火規制との適合性も重要なポイントとなり、地域の防火地域指定や建物用途に応じた適切な断熱材選択が求められます。施工業者選定の際には、防火性能に関する知識と経験を持つ業者を選ぶことが重要です。