
バルコニーの構造は、主に3つの基本要素から構成されています。
低層住宅用バルコニーでは、これらすべてがアルミ製で統一されているユニット式と、床組材を建築構造体で製作し手すり材のみアルミ製にする躯体式の2つのタイプが一般的です。
建築基準法では、バルコニーの手すりは床面から110cm以上の高さが義務付けられており、これは主に転落事故防止を目的としています。手すり下部の隙間は11cm以下、格子の間隔も11cm以下という細かな規定があり、特に子供の安全性に配慮した設計基準となっています。
バルコニーは構造形式により大きく4つのタイプに分類されます。
ルーフバルコニー
階下の屋根スペース上に設けられた、建物の外壁内側にあるバルコニーです。広い空間と良好な日当たりが特徴で、屋上に設置される場合は「スカイバルコニー」とも呼ばれます。
インナーバルコニー
建物の外壁内側で階下の屋根上に位置し、バルコニー部分が3方向を建物の壁で囲まれている形状です。隣接する部屋を明るくし、部屋の一部のように利用できるのが特徴です。
キャンティバルコニー
「片持ち構造」を採用し、下の階に乗らず外壁に付いて空中にせり出した形状タイプです。構造計算上、建物本体からの跳ね出し部分の自重に耐えられる設計が必要となります。
回りバルコニー
建物の外周を取り囲むように設置されたバルコニーで、各部屋から直接アクセス可能で通風や採光が良好になる利点があります。
バルコニー構造に使用される材料は、耐久性、メンテナンス性、コストの観点から選定されます。
アルミ製バルコニー
鉄骨製バルコニー
木造バルコニー
現代のバルコニー設計では、ガラスとステンレス鋼の組み合わせが人気を集めており、洗練された現代的な外観と構造の完全性を両立させています。
バルコニーの構造設計では、正確な荷重計算が安全性確保の要となります6。
主要な荷重要素
建築基準法では、バルコニーの床板に180kg/m²(積雪60cm相当)以上の荷重を加えないよう規定されています。しかし、実際の設計では安全率を考慮してより厳格な計算を行います。
構造計算の流れ6
SE構法などの木造ラーメン構造では、人が乗ることを想定した荷重を考慮した構造設計により、安全性の高いルーフバルコニーの実現が可能です。
バルコニーは建物から突出した構造のため、風圧による影響を特に受けやすく、適切な対策が必要です。
風圧力の影響
超高層集合住宅では、バルコニー手摺りに作用する風圧力が構造安全性に大きく影響します。特に連続および不連続タイプの手摺りでは、正負のピーク風力係数が異なるため、設計時に詳細な検討が必要です。
耐風性能の確保
メンテナンス計画
バルコニーの耐久性向上には、定期的な点検とメンテナンスが不可欠です。
日本エクステリア工業会では、金属製バルコニー点検表を提供しており、施工業者やエクステリア商品取扱店との連携による適切な維持管理体制の構築を推奨しています。
不動産従事者として、これらの構造特性と維持管理の重要性を理解し、顧客への適切な情報提供を行うことで、長期的な資産価値の維持に貢献できます。