
躯体構造とは、建物の骨組みとなる構造耐力上主要な部分を指します。建築基準法では「構造耐力上主要な部分」として定義され、基礎・柱・梁・壁・床・屋根などが含まれます。
躯体の主な役割は以下の通りです。
躯体は建物の安全性や耐震性を左右する最も重要な部分であり、この部分に問題があると建物全体の安全性に大きな影響を与えます。
建物は大きく「躯体」と「仕上げ材」に分類されます。この違いを理解することは、不動産従事者にとって重要な知識です。
躯体(構造体)の特徴。
仕上げ材の特徴。
特に注意が必要なのは壁の区別です。耐震壁は躯体に含まれますが、間仕切り壁や装飾的な壁は仕上げ材に分類されます。この違いを理解していないと、リフォーム提案時に重大な問題を引き起こす可能性があります。
木造建築は日本の伝統的な構造形式で、現在でも戸建て住宅の約60%を占めています。木造躯体の特徴を詳しく見てみましょう。
木造軸組工法(在来工法)。
木造の躯体構成要素。
木造躯体の法定耐用年数は22年と設定されていますが、適切なメンテナンスにより長期間使用可能です。ただし、シロアリ被害や腐朽への対策が重要な課題となります。
現代の木造建築では、機械加工された木材や金物接合により、職人の技量による品質のばらつきは大幅に改善されています。
鉄骨造とRC造は、中高層建築や商業建築でよく採用される構造形式です。それぞれの特徴を比較してみましょう。
鉄骨造(S造)の特徴。
軽量鉄骨造(厚さ6mm以下)。
重量鉄骨造(厚さ6mm以上)。
RC造(鉄筋コンクリート造)の特徴。
興味深い事実として、沖縄県では台風被害を考慮してRC造建築が多く採用されています。これは地域特性に応じた構造選択の好例です。
躯体構造の品質確保には、建築過程での検査と長期的な維持管理が不可欠です。この分野は一般的にはあまり知られていませんが、不動産従事者にとって重要な知識です。
建築時の検査体制。
維持管理における注意点。
木造建築。
鉄骨造建築。
RC造建築。
建築基準法では10年ごとの定期点検が義務付けられていますが、躯体の健全性を保つためには、より頻繁な点検が推奨されます。
特に注目すべきは、RFID技術を活用した鋼構造躯体の生産情報管理システムです。これにより、各部材の製造履歴や品質情報を効率的に管理できるようになり、将来的な維持管理の精度向上が期待されています。
また、近年では制震構造物のパラメータ設計において、構造躯体の塑性化を考慮した新しい設計手法が研究されています。これは従来の設計手法を大きく進歩させる可能性を秘めた技術です。
不動産従事者として、これらの技術動向を把握しておくことで、顧客により専門的で価値のある情報提供が可能になります。躯体構造の理解は、単なる建築知識にとどまらず、不動産の価値評価や投資判断においても重要な要素となるのです。
躯体構造に関する専門的な情報については、以下のリンクが参考になります。
建築基準法における構造耐力上主要な部分の詳細解説
https://www.daiken.jp/buildingmaterials/glossary/structure/frame/
躯体構造の種類と特徴に関する包括的な解説
https://www.renoveru.jp/journal/16021