地区計画の種類と特徴について

地区計画の種類と目的

地区計画は、都市計画法に基づくまちづくり制度として、地域の実情に応じたきめ細やかな規制を行う重要な制度です 。この制度には複数の種類があり、それぞれ異なる目的と特徴を持っています。
参考）https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/seido/kisei/chikukeikaku.html

 

地区計画の基本的な分類

地区計画等の種類は大きく5つに分類されます。基本となる地区計画、沿道地区計画、防災街区整備地区計画、集落地区計画、そして歴史的風致維持向上地区計画です 。
参考）https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/basic/keikaku/chiku/2

 

これらの計画は、それぞれが対象とする地域の特性や課題に応じて、異なるアプローチでまちづくりを推進します。地区計画制度の根幹は、住民が主体となって地区の実情に応じた計画を作成することにあります 。
参考）http://chikukeikaku.jp/about/

 

各計画は都市全体の観点から広い範囲で定められる従来の都市計画とは異なり、地区という小さな単位で、道路、公園、建築物等に関する詳細なルールを設定できる特徴があります 。
参考）https://www.nishi.or.jp/kotsu/toshikeikaku/nishinomiya_toshi/toshikeikaku/chikukeikaku.html

 

地区計画における特例的な活用方法

基本的な地区計画には、特徴的な活用方法として6つの類型があります。誘導容積型、容積適正配分型、高度利用型、用途別容積型、街並み誘導型、立体道路制度です 。
誘導容積型地区計画は、公共施設の整備と土地の有効利用を目的としており、適切な公共施設の配置と合わせて建築物の容積率を緩和することで、良好な市街地環境の形成を図ります 。
参考）https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E5%8C%BA%E8%A8%88%E7%94%BB

 

街並み誘導型地区計画は、土地の有効利用と街並み形成を両立させる制度で、壁面の位置制限や建築物の形態・意匠の制限を通じて、統一感のある美しい街並みの創出を目指します 。

地区計画の再開発等促進区の仕組み

再開発等促進区は、地区計画の区域内で定められる特別な区域で、まとまった低・未利用地などの土地利用転換を円滑に推進するための制度です 。この制度は4つの条件を満たす必要があります。
参考）https://www.city.osaka.lg.jp/toshikeikaku/page/0000650808.html

 

まず用途地域が定められている区域であること、土地利用状況が著しく変化しつつあること、適正な配置・規模の公共施設がないこと、そして高度利用を図ることが都市機能の増進に貢献することです 。
参考）https://www.athome.co.jp/contents/words/term_1217/

 

再開発等促進区では、容積率や高さ制限などの建築基準法の制限を緩和できるため、良質な再開発プロジェクトを誘導し、土地の合理的かつ健全な高度利用を実現できます 。
参考）https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/seido/kisei/68-3saikaihatsu.html

 

地区計画の防災街区整備の特徴

防災街区整備地区計画は、密集市街地において特定防災機能に支障がある区域を対象として、計画的に防災街区を整備し防災機能を確保する制度です 。
この計画では、建築物の構造制限として準耐火建築物以上の基準が設けられ、特定地区防災施設に係る間口率や高さの最低限度が定められています 。実際の事例では、東大阪市の若江・岩田・瓜生堂地区において約49ヘクタールの区域で適用されています 。
参考）https://www.city.higashiosaka.lg.jp/0000034412.html

 

防災街区整備地区計画における地区防災施設は、災害時に延焼を防ぎ住民を避難させる機能を確保するため、幅員6メートル以上の道路や公園等を整備することが求められます 。
参考）https://www.city.amagasaki.hyogo.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/011/830/20210426.pdf

 

地区計画の集落・歴史的風致維持の独自性

集落地区計画は、都市計画区域内の農業振興地域にある集落を対象として、営農条件と調和の取れた良好な居住環境の計画的整備を目的とする制度です 。この制度により、営農地区と住宅地区との調和を図りつつ適正な土地利用を実現します。
参考）https://smtrc.jp/useful/glossary/detail?n=1685

 

歴史的風致維持向上地区計画は、地域固有の歴史や伝統を反映した活動と歴史上価値の高い建造物およびその周辺市街地が一体となった良好な環境を維持向上させる制度です 。
参考）https://www.athome.co.jp/contents/words/term_2707/

 

この計画では、歴史的風致にふさわしい建築物の用途、壁面の位置、形態・色彩の意匠、緑化率などについて詳細な制限が設けられ、区域内での一定の行為には30日前の届出が必要となります 。歴史的建造物の単体保存だけでなく、周辺環境を含めたまちなみ全体の歴史的風致の維持向上を図る包括的なアプローチが特徴です 。
参考）https://www.mlit.go.jp/toshi/rekimachi/content/R3.3rekimatitebiki.pdf