
電子記録債権とは、電子債権記録機関の記録原簿への電子記録をその発生・譲渡等の要件とする金銭債権です。従来の手形や売掛債権を電子化してオンライン上で取引を行うことができる新たな金融債権として注目されています。
参考)https://biz.moneyforward.com/accounting/basic/77546/
電子記録債権は2024年10月現在、5つの電子債権記録機関が指定されており、株式会社全銀電子債権ネットワーク(でんさいネット)が最多の493の参加金融機関を抱えています。取引の流れは非常にシンプルで、窓口金融機関を通じて電子債権記録機関に対し発生記録を請求し、記録完了と共に電子記録債権が発生します。
参考)https://biz.moneyforward.com/accounting/basic/77552/
💡 電子記録債権の決済プロセス
参考)https://www.smbc.co.jp/hojin/denshisaiken/densai/densainet.html
手形には主に約束手形、為替手形、支払手形の3種類があり、それぞれ異なる特徴を持っています。約束手形は手形を振り出した側が受け取った側に対して期日に支払いを約束する2者間の取引です。
参考)https://www.kaonavi.jp/dictionary/tegata/
約束手形は振出人と受取人の2者だけで構成されるため、為替手形と比較して発行が容易という特徴があります。一方、為替手形は振出人、受取人、支払人の3者間で行われる複雑な構造を持ち、3者の合意形成に時間がかかるという違いがあります。
参考)https://www.cloudsolution.co.jp/blog/accounting-representation/bill-of-exchange-promissory-note-differences/
📋 手形の基本的な流れ
電子記録債権は電子的に記録・管理されるため、紙媒体を使用せず金融機関が提供するシステム上で一元管理が可能です。これに対し手形は紙媒体で発行され、物理的な保管や管理が必要であり、紛失や偽造のリスクが伴います。
手形では印紙税が課税されるのに対し、電子記録債権は印紙税の課税対象外となっています。また、電子記録債権では郵送コストも削減される大きなメリットがあります。
参考)https://www.densai.net/about/
🔒 セキュリティと管理面の違い
電子記録債権の大きな特徴の一つが分割譲渡機能です。債権者は必要に応じて債権金額を分割して譲渡することができ、全額譲渡に加えて一部譲渡も可能となっています。この機能により企業の資金調達の柔軟性が大幅に向上します。
手形の場合、裏書による譲渡は可能ですが分割による譲渡はできません。電子記録債権では譲渡記録により簡単に手続きが可能で、システム上で迅速かつ安全に処理されます。
💰 譲渡機能の比較
参考)https://www.82bank.co.jp/hojin/it/82-densai/shikumi.html
電子記録債権の会計処理は手形債権に準じた形で取り扱われ、「電子記録債権」「電子記録債務」の勘定科目を使用します。実務対応報告第27号により、貸借対照表上で指名債権とは別に区分掲記される取引については、専用の勘定科目での処理が定められています。
債権者側では商品売買時に売掛金として記録し、電子記録債権発生時に売掛金から電子記録債権へ振り替え、決済時には現金に置き換わる流れとなります。債務者側では仕入として記録後、買掛金を電子記録債務に振り替える処理が一般的です。
参考)https://hcm-jinjer.com/blog/keihiseisan/electronically-recorded-monetary-claims/
📊 会計処理の基本パターン
【債権者側】
売掛金 1,000 / 売上 1,000(商品売買)
電子記録債権 1,000 / 売掛金 1,000(債権発生)
現金 1,000 / 電子記録債権 1,000(決済)
2026年度末をもって紙の手形・小切手の運用が終了予定であり、企業は新たな決済手段への移行が求められています。
参考)https://biz.moneyforward.com/accounting/basic/80967/
でんさいネット公式サイトで電子記録債権の詳細な仕組みと利用方法を確認できます
全国銀行協会による手形・小切手の電子化に関する最新情報はこちらで確認できます