
電話加入権は、令和3年1月1日以降の相続において評価方法が大きく変更されました。 従来は全国一律で1,500円という標準価格が設定されていましたが、現在は「売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価する」方法に変更されています。
参考)https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hyoka/15/17.htm
この変更の背景には、電話加入権の取引相場が存在しなくなったこと、標準価額が平成26年以降1,500円という低位な金額のままであったこと、インターネットの発達により納税者が容易に売買実例価額を調べられるようになったことなどがあります。
参考)https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hyoka/2106xx/pdf/02.pdf
ただし、実務上は家庭用財産として一括評価することが認められており、個別に詳細な価格を調査する必要はありません。
参考)https://k-sasaki.rulez.jp/telephone_subscription_rights/
電話加入権の相続には、NTT東日本またはNTT西日本での名義変更手続きが必要です。 必要な書類は以下の通りです:
参考)https://samurai-law.com/koseki/qa/p_31/
手続きは「電話加入権等敬称・改称届出書」をNTTのホームページからダウンロードし、必要事項を記入して必要書類と一緒に郵送します。一般的な相続手続きとは異なり、遺産分割協議書や印鑑証明書は不要です。
参考)https://denwa-kanyuken.com/blog/kanyuken/00255
令和3年の財産評価基本通達改正により、電話加入権は家庭用財産に含めて一括評価することが可能になりました。 この方法では、電話加入権を他の家庭用財産(家具、家電製品、衣類など)と合わせて評価します。
参考)https://chester-tax.com/encyclopedia/15723.html
家庭用財産の評価額は、一般的な家庭で10万円程度、高級家具等を揃えていた場合は20万円~30万円程度が実務上の相場となっています。 この評価額の中に電話加入権も含まれるため、特別に個別評価を行う必要はありません。
参考)https://iinotax.com/blog/8309/
この変更により、相続税申告における事務負担が大幅に軽減され、納税者にとってメリットの大きい制度改正となっています。
参考)https://minatosc.com/column/6023
令和2年12月31日以前の相続では、特殊番号の電話加入権について個別評価が行われていました。特殊番号とは、「100番」のような覚えやすい番号や、「42番」「4989番」のような縁起の悪い番号のことを指していました。
参考)https://souzoku-sanguu.com/2025/04/16/1058/
これらの特殊番号は、通常の標準価額(1,500円)とは異なる評価が必要でしたが、現在の制度では特殊番号の区分は廃止されています。 現在はすべての電話加入権について、売買実例価額や精通者意見価格を参酌した評価方法が適用されますが、実務上は家庭用財産として一括評価することが一般的です。
特に宅建業者が関係する不動産取引では、電話加入権が付随する物件の評価において、この変更を正しく理解しておくことが重要です。
参考)https://stepup-souzoku.com/2023/08/04/denwakanyueken/
宅建業者が不動産取引に関わる際、電話加入権の取り扱いについて適切な情報提供が求められます。特に相続物件の仲介において、電話加入権の存在確認と評価方法の説明は重要な業務の一部となっています。
現在では電話加入権の資産価値は大幅に低下していますが、相続税申告の対象財産であることに変わりはありません。 宅建業者は顧客に対し、電話加入権も相続財産に含まれることを適切に説明し、必要に応じて税理士への相談を促すことが求められます。
また、IP電話やインターネット回線を利用した電話サービスが普及している現在、必ずしも固定電話があることが電話加入権の存在を意味するわけではありません。NTTへの確認が必要であることも併せて説明することが重要です。
参考:国税庁質疑応答事例「電話加入権の評価」
電話加入権の評価方法と家庭用財産への包含についての詳細な解説
参考:財産評価基本通達改正について
令和3年改正による電話加入権評価方法の変更内容