延床面積 読み方と意味を不動産業従事者が解説

延床面積 読み方と意味を不動産業従事者が解説

延床面積とは何か、正しい読み方から計算方法まで不動産業界で必須の基礎知識を詳しく解説します。実務で役立つポイントは何でしょうか?

延床面積の読み方と基本概念

延床面積の基礎知識
📏
正しい読み方

のべゆかめんせき(延床面積)または延べ床面積

🏢
基本定義

建物の各階の床面積を合計した面積

📊
実務での重要性

容積率計算や建築計画で必須となる指標

延床面積の正確な読み方と表記方法

延床面積は「のべゆかめんせき」と読みます。この用語は不動産業界では頻繁に使用されるため、正確な読み方を覚えておくことが重要です。表記については「延床面積」が最も一般的ですが、「延べ床面積」と表記されることもあります。
辞書では「延(べ)床面積」として記載されており、「のべゆかめんせき」という読み方が正式です。業界内でも統一された読み方として使用されているため、クライアントや同業者との会話においても混乱を避けることができます。
建築基準法上では「延べ面積」という用語が正式に使用されており、実務者は「延床面積」と呼んで全体の面積を表し、「容積対象面積」と区別して使用しています。

延床面積の基本定義と意味

延床面積とは、建築物の各階の床面積を合計した面積のことです。この面積は建物を実際に利用できる面積を表しており、建物活用の視点から建物の規模を把握する際に用いられます。
具体的には、外壁または柱の中心線で囲まれた壁芯面積を各階ごとに計測し、それらを合計したものが延床面積となります。例えば、2階建て住宅の場合、1階の床面積と2階の床面積を足し合わせたものが延床面積になります。
建物面積や延べ面積とも呼ばれることがあり、建物の規模をあらわす数値として重要な指標となっています。この面積は容積率の計算においても中核的な役割を果たします。

延床面積と建築面積の違いと特徴

延床面積と建築面積の違いを理解することは、不動産業務において極めて重要です。建築面積は建物を真上から見たときの水平投影面積であり、延床面積とは全く異なる概念です。
建築面積は1階部分の投影面積のみを表すのに対し、延床面積は全ての階の床面積を合計したものです。そのため、2階建て以上の建物では延床面積の方が建築面積よりも大きくなります。

 

平屋の場合に限り、建築面積と延床面積が同等の数値になることがあります。これは1階のみの構造のため、床面積の合計が建築面積と一致するためです。しかし、バルコニーや庇などの突出部分がある場合は、建築面積の方が大きくなる場合もあります。

延床面積の計算方法と実務での算定

延床面積の計算は、各階の床面積を順次合計していく方法で行います。具体的な計算例を見てみましょう。

 

計算例1:一戸建て住宅

  • 1階:50㎡
  • 2階:40㎡
  • 延床面積:50㎡ + 40㎡ = 90㎡

計算例2:二世帯住宅(3階建て)

  • 1階:60㎡
  • 2階:50㎡
  • 3階:50㎡
  • 延床面積:60㎡ + 50㎡ + 50㎡ = 160㎡

坪数への換算は、面積(㎡)× 0.3025 で計算します。上記の一戸建て住宅の場合、90㎡ × 0.3025 = 27.22坪となります。建築業界では小数第二位までで表記し、それ以下は切り捨てることが通常です。
実務においては、単純な合計だけでなく、含まれない部分があることに注意が必要です。吹き抜け部分、バルコニーの先端から2m以内の部分、庇、ピロティ、ポーチなどは床面積に含まれません。

延床面積の実務活用における不動産業界特有のポイント

不動産業界では、延床面積の理解が収益性分析や建設費計算に直結します。特に共同住宅開発において、中廊下型マンションと外廊下型マンションでは延床面積の算定が大きく異なります
中廊下(屋内廊下)は延床面積に算入されますが、外廊下(屋外廊下)は延床面積に算入されません。これにより、中廊下型マンションの方が延床面積当たりの建設費坪単価が安くなる傾向があります。
建設費の坪単価計算では、建築基準法上の延床面積を基準として算出されることが多く、以下の要素が含まれます。

  • エレベーターシャフト(各階3.5~4.5㎡×階数分)
  • 屋内階段、エントランスホール
  • 建物内駐車場、駐輪場
  • 管理人室、ゴミ置き場等の共用部

一方で、バルコニー(開放条件を満たしたもの)や屋外階段は延床面積に算入されません。これらの詳細な理解により、正確な事業計画立案と収益分析が可能になります。
容積率制限との関係では、延床面積と容積対象面積を明確に区別する必要があります。建築基準法では「延べ面積」として2種類の定義があり、実務者は混同を避けるため「延床面積」と「容積対象面積」として使い分けています。