
保健師助産師看護師法第42条の2において、看護師の守秘義務は明確に定義されています。この条文によると、「保健師、看護師又は准看護師は、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない」とされており、看護師として職務から離れた後も継続して適用される重要な義務です。
参考)https://www.nursejinzaibank.com/column/concern/150021388/
守秘義務違反に対する罰則も厳格に設定されており、第44条の4では「業務上知り得た人の秘密を漏らした者は、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する」と規定されています。この法的制裁は、患者のプライバシー保護と医療従事者への信頼関係維持を目的としたものです。
参考)https://www.fellowes.co.jp/column/confidentiality.html
医療現場では、患者の身体的・社会的・経済的情報など、あらゆる個人情報を取り扱うため、患者が安心して情報を開示できる環境を整備する必要があります。そのため、看護師には他の職業よりも特に厳格な守秘義務が課されているのです。
保健師助産師看護師法第33条に基づき、業務に従事する看護職員は2年ごとに業務従事状況について都道府県知事に届け出ることが義務付けられています。この制度の趣旨は、就業者の実態を把握し、就業者に対する指導監督や需給バランス等看護行政の推進に資するためとされています。
参考)https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37780.html
令和4年度からは、医療機関・医療従事者・地方自治体の事務負担軽減を図るため、オンラインによる届出が可能となりました。届出対象者は、保健師・助産師・看護師・准看護師の資格を有し、12月31日現在で当該免許に係る業務に従事している方すべてが含まれます。
参考)https://www.pref.chiba.lg.jp/iryou/kango/juujishatodoke/2024.html
届出期限は翌年1月15日となっており、届出違反には罰則が課せられています。産前産後休暇中や育児休暇中の方であっても、雇用関係がある場合は届出が必要となります。この届出により収集されたデータは「衛生行政報告例」として隔年で公表され、看護行政の基礎資料として活用されています。
参考)https://www.env.go.jp/council/content/i_10/000121221.pdf
保健師助産師看護師法と看護師等の人材確保の促進に関する法律の改正により、平成22年4月から新人看護職員研修が努力義務化されました。保健師助産師看護師法第28条の2では、「保健師、助産師、看護師及び准看護師は、免許を受け、その資質向上に努めなければならない」と規定されています。
参考)https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000050510.pdf
この改正により、看護職員本人の責務として、免許取得後も研修を受けるなど、自ら進んで能力の開発・向上に努めることが法的に要求されるようになりました。また、病院等の開設者にも、新人看護職員研修の実施や看護職員が研修を受ける機会の確保のため必要な配慮を行うよう努力義務が課されています。
医療の高度化や在院日数の短縮化、医療安全に対する意識の高まりなど国民のニーズの変化を背景に、看護職員に従来以上に高い能力が求められるようになった結果、継続的な研修の重要性が法的に位置づけられました。この研修義務により、看護職員の臨床実践能力の向上と医療安全の確保、早期離職防止が期待されています。
参考)https://www.asahikawa.jrc.or.jp/app/wp-content/uploads/2021/06/shinjinkangosyokuinkyoikushien.pdf
保健師助産師看護師法第5条では、看護師の定義について「厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者」と明確に規定されています。この定義により、看護師の業務範囲と責任が法的に明確化されています。
参考)https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/11/dl/s1104-3k11.pdf
看護師の責任範囲は、医療法、医師法および保健師助産師看護師法に規定されており、その範囲で業務を遂行し、その範囲の職務に責任を持つ必要があります。医療現場では、注意義務違反による医療事故の防止が重要な課題となっており、看護師には適切な観察や記録、報告の義務が求められています。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/30a2ab7268dd61a53ec7ffadef56063ac7a57170
特に薬剤投与や医療処置における注意義務は厳格であり、医師の指示に従った適切な業務遂行が法的に要求されています。看護師が業務範囲を逸脱して行為を行った場合、法的責任を問われる可能性があるため、常に法令に基づいた適切な職務遂行が必要です。
参考)https://kango-oshigoto.jp/media/article/2789/
保健師助産師看護師法では、一般的な義務規定以外にも、特定の状況における看護師の義務について詳細な規定が設けられています。2009年の法改正では、看護職員本人の責務として免許を受けた後も臨床研修その他の研修を受け、資質の向上を図るよう努めることが新たに規定されました。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrm/65/2/65_279/_article/-char/ja/
医療安全確保の観点から、看護師には患者の生命と安全を守るための継続的な学習義務が課されており、特定行為研修制度の創設により、看護師の業務範囲拡大と責任の明確化が図られています。この制度により、手順書に基づく特定行為を実施する看護師には、より高度な知識と技術の習得が義務付けられています。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/26bea45f39fe7065d44783edc8df632931f09278
助産師の業務に関連する看護師の義務についても、保健師助産師看護師法で詳細に規定されており、助産録の5年間保存義務など、専門領域における特別な責任が課されています。これらの特殊事例における義務は、医療の質向上と患者安全の確保を目的として設定されており、看護師には法令の正確な理解と適切な実践が求められています。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/d14835ba5e9f9d30f6b5a1371d8a5f333fa02b92