
法定果実は民法88条2項で「物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物」と定義されています。この定義は宅建試験において非常に重要な概念であり、確実に理解しておく必要があります。
法定果実の具体例としては以下のようなものがあります。
法定果実という名称の「法定」は、法律によって果実として認められたという意味です。天然果実とは異なり、物理的な産出物ではなく、権利関係から生じる経済的利益を指しています。
宅建試験では、法定果実の定義そのものよりも、後述する抵当権との関係や帰属の問題として出題されることが多いのが特徴です。
民法では果実を「天然果実」と「法定果実」の2つに分類しており、それぞれ異なる性質を持っています。
天然果実の特徴:
法定果実の特徴:
両者の最も重要な違いは帰属のタイミングです。天然果実は元物からの分離時に帰属が確定するのに対し、法定果実は時間の経過に伴って日々発生し、日割り計算によって配分されます。
宅建試験では、この帰属の違いを理解していることが前提となって、抵当権の効力や物上代位の問題が出題されます。特に賃貸不動産の所有権移転時における賃料の帰属や、抵当権実行時の賃料収入の扱いは頻出論点です。
法定果実の帰属は「収取権の存続期間に応じて日割り計算」で決定されます。これは宅建試験でも実務でも重要な知識です。
具体的な計算例:
山田さんが所有するアパートを、4月15日に田中さんに売却した場合。
計算式。
この日割り計算の原則は、以下の場面で適用されます。
実務では、売買契約書に「賃料等の日割り精算」について明記することが一般的です。宅建士として実務に携わる際は、この精算計算を正確に行う能力が求められます。
法定果実と抵当権の関係は、宅建試験において最も重要な論点の一つです。基本原則と例外をしっかりと理解する必要があります。
基本原則:
抵当権の効力は、原則として果実には及びません。これは抵当権設定者が通常の経済活動を継続できるようにするための配慮です。
重要な例外:
債務不履行後の果実については、抵当権の効力が及びます。この例外は以下の理由によるものです。
具体的な適用場面:
物上代位との関係:
法定果実である賃料については、物上代位の対象にもなります。ただし、物上代位の場合は債務不履行前でも、賃料の支払前に差押えを行えば抵当権の効力を及ぼすことができるという特殊なルールがあります。
この違いを整理すると。
宅建試験における法定果実の出題は、単独で問われることは少なく、他の論点と組み合わせて出題される傾向があります。効果的な学習戦略を立てることが重要です。
頻出出題パターン:
実践的学習法:
📊 比較表を活用した整理法
項目 | 天然果実 | 法定果実 |
---|---|---|
定義 | 物の用法に従う産出物 | 物の使用対価 |
具体例 | りんご、牛乳、卵 | 家賃、利息、地代 |
帰属時期 | 分離時 | 日割り計算 |
抵当権効力 | 債務不履行後 | 債務不履行後 |
🎯 過去問演習のポイント
⚡ 試験直前チェックポイント
💡 実務との関連性
宅建士として実際に業務を行う際、法定果実の知識は以下の場面で活用されます。
試験対策と実務知識を関連付けて学習することで、記憶の定着と実践力の両方を向上させることができます。
抵当権の基礎知識について詳しく学習したい方は、法務省の民法解説資料が参考になります。
法務省公式サイト
宅建試験の過去問題と解説については、不動産適正取引推進機構の公式サイトで確認できます。