
囲繞地通行権は、民法第210条から第213条に規定される法定の権利で、袋地の所有者が公道に出るために自動的に発生する権利です。この権利は、土地が他の土地に囲まれ、公道に直接接続できない状態(囲繞状態)にあることが要件となります。
参考)https://www.nissho-r.com/column/%E5%9B%B2%E7%B9%9E%E5%9C%B0%E9%80%9A%E8%A1%8C%E6%A8%A9%E3%81%A8%E9%80%9A%E8%A1%8C%E5%9C%B0%E5%BD%B9%E6%A8%A9%E3%81%AF%E4%BD%95%E3%81%8C%E9%81%95%E3%81%86%E3%81%AE/
袋地の所有者は、囲繞地の所有者の承諾を得ることなく、公道に至るための通行権を行使できます。この権利は、土地の分筆や相続により新たに袋地が発生した場合にも適用され、隣接地所有者は正当な理由なしに拒否することができません。
参考)https://albalink.co.jp/realestate/surrounding-land-right-of-way-denied/
🚶♂️ 通行範囲の制限
囲繞地通行権は、法律により強制的に認められる権利のため、承役地所有者は通行料を請求できる場合があります。
参考)https://iqrafudosan.com/channel/inyouchituukouken
通行地役権は、要役地の利便性向上を目的として、土地所有者間の合意により設定される権利です。この権利は民法第280条に規定され、袋地でない場合でも設定可能な柔軟な権利として位置づけられています。
参考)https://kashi-pro.com/surrounding-land/
合意による設定の特徴:
通行地役権は、明示の合意だけでなく黙示の合意でも成立します。ただし、黙示の合意が認められるためには、単なる通行の事実や所有者の黙認だけでは不十分で、「特別な事情」が必要とされています。
参考)https://www.si-law-office.com/realestate/2444/
地役権は第三者への対抗力を得るために登記が必要です。登記により、承役地の所有者が変更されても権利が継続され、安定した通行権の確保が可能となります。
参考)https://www.sakuramachi-estate.com/blog/2025/02/21/%E5%9C%B0%E5%BD%B9%E6%A8%A9%E3%81%A8%E8%A6%81%E5%BD%B9%E5%9C%B0%E3%83%BB%E6%89%BF%E5%BD%B9%E5%9C%B0%E3%82%92%E5%88%86%E3%81%8B%E3%82%8A%E3%82%84%E3%81%99%E3%81%8F%E8%A7%A3%E8%AA%AC/
囲繞地通行権は民法上の法定権利であるため、原則として拒否することはできません。この権利は袋地所有者の生活を守るために認められた権利で、正当な理由なしに通行を禁止することは法的に認められていません。
参考)https://saassist.co.jp/column/231012/
⚠️ 拒否できない理由
ただし、囲繞地通行権にも一定の制限があります。通行は必要最小限の範囲に限定され、無断で範囲を拡大したり、承役地に過度の損害を与える使用は認められません。
参考)https://law-bright.com/glossary/jc/jc_a/right-of-way-over-surrounding-land/
また、袋地の状況が変化し、他の経路で公道にアクセス可能となった場合は、囲繞地通行権が消滅する場合があります。建築基準法第43条の接道要件を満たさない土地では、新たな建物の建築ができないという制限も存在します。
参考)https://tojukyo.net/contents/wp-content/uploads/2024/07/%E5%9B%B2%E7%B9%9E%E5%9C%B0%E9%80%9A%E8%A1%8C%E6%A8%A9%E3%81%AE%E6%B3%A8%E6%84%8F%E7%82%B9%E3%81%A8%E3%83%9D%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%88.pdf
通行地役権は、一定の要件を満たすことで時効によっても取得できます。民法第283条により、継続的に行使され、かつ外形上認識できる状態が20年間継続した場合に時効取得が成立します。
参考)https://keiyaku-watch.jp/media/hourei/jikou/
時効取得の要件:
📋 継続的な権利行使(20年間)
📋 外形上認識可能な状態の維持
📋 他人所有の土地上への通路開設
📋 通行者側による通路の開設
時効取得による地役権の成立は、最高裁判例により厳格な要件が定められており、単なる通行の許可では時効取得は認められません。通行者側が積極的に通路を整備し、継続的に維持管理することが必要とされています。
参考)https://www.wakayama-law.jp/column/2024-7-23/
地役権の第三者対抗要件として登記が必要です。登記により、承役地の新所有者や第三者に対して権利を主張できるようになります。登記がない場合、善意の第三者には権利を対抗できないため、権利の安定的な保護のためには登記が不可欠です。
参考)https://www2.rismon.com.cn/words/d/7.html
囲繞地通行権では、通行権者が通行料を支払う義務を負う場合があります。通行料の金額は、通行による承役地への損害の程度、通行の頻度、通行路の整備状況などを総合的に考慮して決定されます。
💰 通行料算定の考慮要素
一方、通行地役権では通行料の有無を当事者間で自由に決定できます。無償での通行権設定も可能で、相互に利益のある関係を構築しやすいという特徴があります。
参考)https://saikenchikufuka-kaitori.com/column/%E9%80%9A%E8%A1%8C%E5%9C%B0%E5%BD%B9%E6%A8%A9%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%9F%E9%80%9A%E8%A1%8C%E5%9C%B0%E5%BD%B9%E6%A8%A9%E3%81%AE%E7%99%BB%E8%A8%98%E3%83%BB%E6%99%82%E5%8A%B9%E5%8F%96%E5%BE%97%E3%83%BB/
囲繞地通行権における損害補償については、通行に伴って承役地に生じた損害について、必要最小限の範囲で補償義務が発生します。損害の範囲には、土地の価値減少、構造物の損傷、営業への影響などが含まれる場合があります。
なお、通行権の設定により承役地の価値が著しく減少する場合は、適切な補償により両者の利益調整を図ることが重要です。特に商業地や住宅地では、通行権の設定が周辺環境や資産価値に与える影響を慎重に検討する必要があります。
参考)https://www.kokukan.jp/category/1485981.html