所有者死亡車名義変更手続きの相続から必要書類まで完全解説

所有者死亡車名義変更手続きの相続から必要書類まで完全解説

車の所有者が死亡した場合の名義変更について、相続手続きの流れから必要書類、期限まで徹底解説。戸籍謄本や遺産分割協議書の準備方法から陸運局での具体的な手続きまで、不動産業従事者が知っておくべき車の相続知識をお伝えします。手続きに困っていませんか?

所有者死亡車名義変更手続き

所有者死亡による車の名義変更手続き
📋
相続から名義変更まで

死亡から15日以内の手続きが必要

📄
必要書類の準備

戸籍謄本や遺産分割協議書など

🏢
陸運局での手続き

運輸支局または検査登録事務所

所有者死亡時の相続手続き基本知識

車の所有者が死亡した場合、その車は法的に相続財産となり、適切な相続手続きを経て名義変更を行う必要があります。道路運送車両法第13条により、所有者死亡後の名義変更は15日以内に行うことが法的に義務付けられています。
死亡時点で車は家族などの相続人全員の共有財産となるため、車の状態や価値に関係なく相続手続きが必要になります。相続人が複数いる場合は、遺産分割協議を行い、誰が車を相続するかを決定する必要があります。
相続手続きには主に以下の3つのパターンがあります。

  • 単独相続:相続人が1人の場合
  • 代表相続:複数の相続人がいるが、遺産分割協議により1人が代表して相続する場合
  • 共同相続:複数の相続人で共同所有する場合

車の価値が100万円以下の場合は、簡易な手続きで済む特例もあるため、まず車の査定価格を確認することをおすすめします。

所有者死亡による必要書類の詳細解説

車の名義変更に必要な書類は、相続の形態によって異なります。まず共通して必要となる基本書類から確認しましょう。

 

基本的な必要書類

  • 自動車検査証(車検証)- 有効期間内のもの
  • 戸籍謄本または除籍謄本 - 死亡の事実と相続人全員が確認できるもの
  • 車庫証明書(自動車保管場所証明書)- 発行から40日以内
  • ナンバープレート(管轄が変わる場合)

単独相続・代表相続の場合の追加書類

共同相続の場合の追加書類

  • 相続人全員の譲渡証明書(実印押印)
  • 相続人全員の印鑑証明書(発行から3か月以内)
  • 相続人全員の実印

書類の取得には時間がかかる場合があるため、戸籍謄本は市区町村役場で、印鑑証明書は市区町村役場または郵便局で早めに取得することが重要です。

所有者死亡車の遺産分割協議書作成方法

遺産分割協議書は、相続人全員で車の相続について合意した内容を文書化したものです。この書類は相続手続きにおいて極めて重要な役割を果たします。
遺産分割協議書に記載すべき内容

  • 車名(メーカー名・車種名)
  • 登録番号(ナンバープレートの番号)
  • 型式
  • 車台番号
  • 初年度登録年月
  • 相続人の氏名・住所
  • 相続する旨の記載

記載例として、「被相続人○○○○の所有していた下記自動車については、相続人△△△△が相続する」という文言で始まり、上記の車両情報を具体的に記載します。
遺産分割協議書には相続人全員の署名と実印による押印が必要です。一人でも署名・押印が欠けていると無効となるため、事前に全員の合意を得てから作成することが重要です。

 

国土交通省や陸運局のウェブサイトには「車の遺産分割協議書」のひな形が掲載されているため、これらを活用すると作成が容易になります。
100万円以下の車の特例
車の価値が100万円以下の場合、遺産分割協議書に代えて「遺産分割協議成立申立書」と「車の価値が100万円以下であることを証明できる書類」で手続きが可能です。この特例により、手続きの負担を大幅に軽減できます。

所有者死亡車の陸運局手続き実務

名義変更の申請は、車の種類によって窓口が異なります。普通自動車の場合は管轄の運輸支局または検査登録事務所、軽自動車の場合は軽自動車検査協会事務所・支所・分室で手続きを行います。
手続きの流れ

  1. 証紙購入:自動車会館の窓口で500円×2枚の証紙を購入し、手数料納付書に貼付
  2. ナンバー返却:事前に取り外したナンバープレートを返却窓口に提出
  3. 書類審査:申請窓口で必要書類一式を提出し審査を受ける
  4. 車検証交付:審査通過後、新しい車検証が交付される
  5. 税金納付:自動車税納付窓口で自動車税を納付
  6. 新ナンバー取得:新しいナンバープレートを受け取り(1,450円)
  7. 封印作業:自分でナンバープレートを取り付け、係員に封印してもらう

窓口受付時間

  • 午前:8時45分〜11時45分
  • 午後:1時〜4時
  • 土日祝日および12月29日〜1月3日は閉庁

管轄が変わる場合(他県からの転入など)は、陸運局への車の持ち込みが必要となり、封印を受ける手続きも発生します。手続き完了までの所要時間は、混雑状況にもよりますが、通常2〜3時間程度を見込んでおくとよいでしょう。
費用は登録手数料500円×2回分と新ナンバー代1,450円を含めて、合計4,000〜5,000円程度が目安です。

所有者死亡車名義変更の専門家活用と費用対効果

車の名義変更手続きは自分で行うことも可能ですが、専門家に依頼することで多くのメリットが得られます。特に不動産業に従事する方にとって、時間効率と確実性の観点から専門家活用は検討に値します。

 

自分で手続きする場合

  • 費用:実費のみで4,000〜5,000円程度
  • メリット:費用を最小限に抑えられる
  • デメリット:書類準備、平日の時間確保、複数回の役所訪問が必要

行政書士に依頼する場合

  • 費用:1〜5万円程度の代行費用
  • サービス範囲:必要書類の取り寄せ、資料作成、手続き実施まで一括対応
  • 追加メリット:車以外の相続手続きも同時依頼可能

ディーラーに依頼する場合

  • 費用:2〜3万円程度
  • メリット:車の専門知識があり、買い替え時の下取り手続きと連携可能
  • 適用場面:車の売却や買い替えを検討している場合

専門家選択の判断基準として、以下の要素を考慮することをおすすめします。

  • 相続人の人数と居住地の分散状況
  • 他の相続財産の有無
  • 自身の時間的余裕
  • 手続きの正確性に対する不安度

特に相続人が複数県にまたがっている場合や、相続財産が複雑な場合は、専門家への依頼により手続きの確実性と効率性を大幅に向上させることができます。
不動産業従事者の立場から顧客にアドバイスする際は、これらの選択肢を整理して提示し、個々の状況に応じた最適な方法を提案することが重要です。また、車の相続と不動産の相続は同時期に発生することが多いため、包括的な相続サポートの一環として車の名義変更についても適切な情報提供を行うことが、顧客満足度の向上につながるでしょう。