医療費控除10万円いくら戻る計算方法還付金額シミュレーション

医療費控除10万円いくら戻る計算方法還付金額シミュレーション

医療費控除で年間10万円の医療費を申告した場合、実際にいくら戻るのか気になりませんか?所得税率や住民税軽減を含めた正確な計算方法と還付金額を詳しく解説します。

医療費控除10万円いくら戻る

医療費控除の還付金額を理解しよう
💰
基本計算方法

医療費控除額×所得税率=還付金額

📊
所得税率の影響

年収により5%~45%の税率が適用

🏠
住民税軽減効果

一律10%の住民税が軽減される

医療費控除額の基本計算方法と10万円のライン

医療費控除を受ける際の最も重要なポイントは、年間医療費が10万円を超えているかどうかです。正確には、以下の計算式で医療費控除額を算出します。
医療費控除額 = (実際に支払った医療費の総額) - (保険金等の補てん金) - 10万円
ただし、総所得金額が200万円未満の場合は、10万円ではなく「総所得金額×5%」が差し引かれます。
計算例:総所得200万円以上の場合

  • 年間医療費:15万円
  • 保険金等:0円
  • 医療費控除額:15万円 - 0円 - 10万円 = 5万円

計算例:総所得150万円の場合

  • 年間医療費:15万円
  • 保険金等:0円
  • 医療費控除額:15万円 - 0円 - (150万円×5%) = 7万5千円

重要な点として、医療費が正確に10万円だった場合、総所得200万円以上の人は医療費控除額が0円となり、還付金も受け取れません。

医療費控除還付金額の所得税率別シミュレーション

実際の還付金額は「医療費控除額×所得税率」で計算されます。所得税率は課税所得額により以下のように決定されます。

課税所得額 所得税率
195万円未満 5%
195万円以上330万円未満 10%
330万円以上695万円未満 20%
695万円以上900万円未満 23%
900万円以上1,800万円未満 33%

具体的なシミュレーション例
医療費18万円を支払った場合(医療費控除額8万円)。

  • 所得税率5%の場合:8万円×5% = 4,000円の還付
  • 所得税率10%の場合:8万円×10% = 8,000円の還付
  • 所得税率20%の場合:8万円×20% = 16,000円の還付

年収600万円程度の会社員(所得税率20%)が40万円の医療費を支払った場合。

  • 医療費控除額:30万円(40万円-10万円)
  • 所得税還付額:6万円(30万円×20%)
  • 住民税軽減額:3万円(30万円×10%)
  • 合計負担軽減額:9万円

医療費控除住民税軽減効果と総合的な節税額

医療費控除の効果は所得税の還付だけではありません。住民税も一律10%軽減されるため、総合的な節税効果を把握することが重要です。
住民税軽減の計算方法
住民税軽減額 = 医療費控除額 × 10%(一律)
総合節税効果の実例
課税所得330万円の人が10万円の医療費控除を申告した場合。

  • 所得税還付:10万円×10% = 1万円
  • 住民税軽減:10万円×10% = 1万円
  • 合計節税効果:2万円

課税所得500万円の人が同じ10万円の医療費控除を申告した場合。

  • 所得税還付:10万円×20% = 2万円
  • 住民税軽減:10万円×10% = 1万円
  • 合計節税効果:3万円

このように、所得が高い人ほど医療費控除による節税効果が大きくなります。そのため、夫婦で医療費を支払っている場合は、より所得の高い方が申告することで節税効果を最大化できます。

 

また、住民税の軽減は翌年度の住民税に反映されるため、所得税の還付とは時期が異なることも覚えておきましょう。

 

医療費控除対象期間と家族分の合算ルール

医療費控除の対象期間は1月1日から12月31日までの1年間で、納税者本人だけでなく、生計を一とする家族が支払った医療費も合算できます。
対象となる家族の範囲

  • 配偶者(所得制限なし)
  • 子ども(アルバイト収入がある学生も含む)
  • 両親(別居でも仕送りしている場合は対象)
  • 同居する親族

家族分合算の具体例

  • 本人の医療費:4万円
  • 配偶者の医療費:3万円
  • 子どもの医療費:4万円
  • 合計:11万円 → 医療費控除額1万円(11万円-10万円)

注意すべきポイント
家族の中で最も所得税率の高い人が申告することで、節税効果を最大化できます。例えば、夫の所得税率が20%、妻の所得税率が5%の場合、夫が申告する方が4倍の還付金を受け取れます。

 

また、共働き夫婦の場合、どちらが医療費を実際に支払ったかは関係なく、生計を一とする家族であれば合算可能です。レシートや領収書の名義も問題になりません。

医療費控除確定申告時期と必要書類の準備方法

医療費控除を受けるためには確定申告が必要で、申告時期は翌年の2月16日から3月15日までです。会社員の場合、この期間以外でも還付申告として5年間さかのぼって申告できます。
必要書類一覧

  • 確定申告書(A様式またはB様式)
  • 医療費控除の明細書
  • 源泉徴収票(会社員の場合)
  • 医療費の領収書(5年間保管義務)
  • 高額療養費等の明細書(該当者のみ)

効率的な準備方法
医療費の領収書は月別に整理し、以下の項目を記録しておくと申告時にスムーズです。

  • 医療機関名
  • 治療を受けた人の氏名
  • 支払日
  • 支払金額
  • 治療内容の概要

電子申告(e-Tax)の活用
近年は電子申告が推奨されており、医療費控除の明細書もオンラインで作成できます。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用すると、医療費を入力するだけで自動的に控除額が計算されます。

 

また、令和元年分から医療費通知(健康保険組合等が発行)を添付すれば、明細書の記入を簡略化できるようになりました。
国税庁確定申告特集ページ - 医療費控除の詳細な申告方法と最新の制度変更について