
全国の景観地区は、令和7年3月31日時点で57地区(33市区町村)が指定されています。地域別の主要な指定地区は以下の通りです。
参考)https://www.mlit.go.jp/toshi/townscape/toshi_townscape_tk_000029.html
北海道・東北地域
関東地域
参考)https://kentokun-urbanlife.com/understand-landscape-districts/
中部地域
近畿地域
京都府が全国で2番目に多い8地区を指定しており、山ろく型美観地区、山並み背景型美観地区、岸辺型美観地区、旧市街地型美観地区、歴史遺産型美観地区、沿道型美観地区、市街地型美観形成地区、沿道型美観形成地区を設定しています。
兵庫県では芦屋市で芦屋景観地区、芦屋川南特別景観地区の2地区が指定されているほか、西宮市で1地区が指定されています。
景観地区は景観法第61条に基づき、市街地の良好な景観の形成を図るために市町村が都市計画として決定する地域地区です。指定には都市計画区域または準都市計画区域内であることが要件となります。
参考)https://iqrafudosan.com/channel/landscape-district
景観地区の主な特徴は以下の通りです。
参考)http://okugaikoukokusi.com/category1/entry25.html
景観地区で定められる規制内容は、必須事項と選択事項に分かれます。形態意匠の制限は必須事項として全ての景観地区で設定されますが、建築物の高さの最高・最低限度や敷地面積の最低限度などは選択的に定められます。
準景観地区は都市計画区域・準都市計画区域外の景観計画区域において、景観の保全を図るために指定される区域です。現在、準景観地区は全国で9地区(7市町)が指定されています。
参考)https://www.mizuho-re.co.jp/knowledge/dictionary/wordlist/print/?n=2397
主な指定地区は以下の通りです。
景観地区と準景観地区の主な違いは適用区域にあります。景観地区は都市計画区域内のみに指定可能ですが、準景観地区は都市計画区域外でも指定できるため、山間部や農村部などでも良好な景観保全が可能になります。
参考)https://www.howz-yamaken.co.jp/blog/20240116/
景観地区内で建築等を行う場合、市町村長の認定を受ける必要があります。認定制度は届出制度よりも厳格で、事前に適合性を確認する仕組みとなっています。
参考)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%99%AF%E8%A6%B3%E5%9C%B0%E5%8C%BA
具体的な規制内容の例として、以下のような制限が設けられています。
建築物の形態意匠制限
高さ制限や配置制限
景観地区では形態意匠制限以外にも、地区の特性に応じて建築物の最高・最低限度、壁面の位置、敷地面積の最低限度などを定めることができます。
参考)https://www.city.kiryu.lg.jp/shisei/machi/1018368/keikan/1007362.html
各市町村は地区の特性や景観に合わせて独自の規定を設けており、宿場町や城下町では和風建築に限定したり、自然豊かなエリアでは緑化率を規定するなど、地域固有の景観形成を図っています。
景観地区の指定状況を都道府県別に見ると、沖縄県が9地区で最多、続いて京都府の8地区、東京都の5地区となっています。指定面積では宮崎県が最大で、えびの市での大規模指定が特徴的です。
景観地区制度の活用が進んでいる背景には、従来の美観地区制度との違いがあります。美観地区が既存の良好な景観の維持を目的としていたのに対し、景観地区では新たな良好な景観の形成を図ることができる点が大きな特徴です。
近年の傾向として、歴史的な街並み保全だけでなく、リゾート地域や新市街地における景観形成にも活用が広がっています。北海道のスキーリゾート地域や沖縄の観光地域での指定が増加しており、観光振興と景観保全を両立させる取り組みが注目されています。
景観まちづくりにおいては、住民参加による合意形成が重要な要素となっており、地域の価値観や特性を反映した基準づくりが求められています。今後も地域固有の景観資源を活かした指定が増加していくと予想されます。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/journalcpij/50/3/50_1090/_article/-char/ja/