
金融政策とは、日本銀行が物価を安定させるために行う政策のことです。具体的には、市中銀行などが持っているお金の量を増やしたり減らしたりして、お金を貸し借りするときの金利を調整します。
参考)https://www.j-flec.go.jp/links/kinyu-navi/walking/kouza6/index2.html
日本銀行の金融政策は政策委員会の金融政策決定会合で決定されます。この会合では、金融経済情勢を検討し、適切な金融市場調節方針を決めています。
参考)https://www.boj.or.jp/mopo/outline/index.htm
政策金利の仕組み
参考)https://www.iyobank.co.jp/sp/iyomemo/entry/20240222.html
政策金利の引き下げ
政策金利を下げることで、銀行が企業や個人に貸し出す金利も下がります。その結果、企業は運転資金や設備資金を調達しやすくなり、個人も住宅購入のための資金を借りやすくなります。
参考)https://www.boj.or.jp/about/education/oshiete/seisaku/b28.htm
公開市場操作(オペレーション)
日本銀行が市中銀行との間で国債を売り買いすることで、金利の水準を調整する方法です。国債を買うことを「資金供給オペレーション」といい、世の中に出回るお金の量を増やして金利を下げる効果があります。
量的緩和政策
政策金利がゼロ%近くに達した場合、国債などの証券を金融機関から買い入れて、長期金利の押し下げを図る非伝統的な金融政策です。日本では2001年から量的緩和政策が開始され、日本銀行当座預金残高を操作目標としました。
参考)https://www.boj.or.jp/about/education/oshiete/seisaku/b42.htm
景気への影響
金融緩和により金利が低下すると、借入をしやすくなるため、企業の投資や個人消費が活発化されます。企業の設備投資が進むことで、売上の増加や株価上昇、労働者の賃金向上も期待できます。
参考)https://media.monex.co.jp/articles/-/22884
物価への影響
金融緩和で国内の金利が低下し、金融市場で資金供給量が増えて企業の業績向上や労働者の賃金アップにつながると、一般的に物価が上がります。融資の受けやすさや賃金引き上げで個人の消費意欲が高まり、モノやサービスに対する需要も出てくることが物価上昇の要因です。
為替への影響
金融緩和で国内の金利が低下すると、自国通貨が売られて他国の通貨が買われる傾向があります。日本の場合、金融緩和で国内の金利が下がることで一般的に円安につながります。
マイナス金利政策の導入と解除
日本銀行は2016年1月にマイナス金利政策を導入し、銀行が日本銀行に預ける一部の資金に対してマイナスの金利を適用しました。この政策は銀行の貸出を促進し、企業や個人の投資や消費を刺激することを目的としていました。2024年3月、約17年ぶりに金融政策の大幅な転換が行われ、マイナス金利政策が解除されました。
参考)https://spaceshipearth.jp/japans-monetary-policy/
イールドカーブコントロール(YCC)
2016年9月に導入されたYCCは、日銀が短期金利から長期金利まで、金利全体をコントロールする政策でした。短期金利については日銀当座預金の一部にマイナス金利を適用し、長期金利は10年物国債金利が0%程度で推移するよう長期国債を買い入れました。2024年3月にマイナス金利解除とともにYCCも廃止されました。
参考)https://www.smbcnikko.co.jp/terms/eng/y/E0163.html
量的緩和の効果と課題
量的緩和政策は、マネタリーベースの増加により生産を増加させる効果があることが実証されています。その波及経路として、資産価格を通じる経路と銀行のバランスシートを通じる経路が重要であることが明らかになっています。
参考)https://www.esri.cao.go.jp/jp/esri/others/kanko_sbubble/analysis_02_08.pdf
日常生活への影響
金融政策は中学生の生活にも大きく関わっています。例えば、金利が下がると住宅ローンや自動車ローンの金利が下がり、家や車を購入しやすくなります。また、預貯金の金利が下がれば、貯蓄をやめてお金を使う人も増えるでしょう。
参考)https://benesse.jp/kyouiku/teikitest/chu/social/social/c00804.html
将来への影響
金融政策による景気の変動は、将来の就職環境や賃金水準に大きく影響します。金融緩和により経済活動が活発になれば、企業の業績が向上し、雇用機会の拡大や賃金上昇につながる可能性があります。
経済の安定化機能
日本銀行は「政府の銀行」「銀行の銀行」として、経済全体の安定を担っています。景気や物価を安定させるため、市場での通貨の流通量を調整することで、私たちの生活の安定を支えています。
金融政策は複雑に見えますが、実は私たちの日常生活と密接に関わっている重要な仕組みです。中央銀行である日本銀行が適切な金融政策を実施することで、経済の安定と持続的な成長が実現されているのです。