公益財団法人一覧と設立から認定まで

公益財団法人一覧と設立から認定まで

公益財団法人の全体像や設立要件、23の事業分野など詳細な情報をまとめました。認定法に基づく設立手続きや運営基準について理解を深めたい方には必読の内容です。どのような法人が公益財団法人に該当するのでしょうか?

公益財団法人一覧と認定制度

公益財団法人の概要
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法人数と統計

令和5年12月現在、全国で9,711法人が活動

⚖️
認定基準

21項目の厳格な基準をクリアした法人のみ

💼
事業分野

法令で定められた23の公益目的事業を実施

公益財団法人の法人数と全体統計

公益財団法人は令和5年12月1日現在、全国で9,711法人が活動しており、前年比39法人増加している状況です 。この法人数は公益認定80法人、解散16法人、公益認定取消し17法人、合併4件の動向を経て算出されています 。公益法人全体の事業費用額は6兆1,622億8百万円に達し、前年より2,810億31百万円の大幅増加を示しています 。
参考)https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files/data?sinfid=000040237117amp;ext=pdf

 

平成20年の公益法人制度改革以降、公益財団法人数は5,487法人、公益社団法人数は4,171法人となり、一般財団法人7,547法人、一般社団法人66,940法人と比較して厳格な認定プロセスを経た法人であることがわかります 。これらの法人は内閣府または都道府県の行政庁による公益認定を受けており、高い社会的信用を有しています 。
参考)https://monodone.com/article/116

 

公益財団法人の設立には300万円以上の財産拠出、理事3名以上・評議員3名以上・監事1名以上の体制構築が必要で、三親等内の親族や同一法人関係者が理事総数の3分の1を超えることは禁止されています 。
参考)http://pusa.jp/consul/q_a.html

 

公益財団法人の認定要件と基準

公益財団法人の認定には、認定法第5条に規定された21項目の厳格な基準をすべて満たす必要があります 。これらの基準は「目的や事業に関するもの」「財務に関するもの」「機関に関するもの」「財産に関するもの」の4つのカテゴリーに分類され、各項目で詳細な要件が定められています 。
参考)https://www.koueki.jp/blog/certification-standard/

 

特に重要な基準として、公益目的事業比率が50%以上であることが求められ、法人の主たる目的が公益目的事業の実施であることを示す必要があります 。経理的基礎および技術的能力の保有、法人関係者への特別利益供与の禁止、公益法人としてふさわしくない事業の実施禁止なども必須要件となっています 。
参考)https://www.gyoukaku.go.jp/siryou/koueki/ikou/dai2/siryou1.pdf

 

中期的収支均衡の維持、使途不特定財産額の保有制限、同一親族・同一団体関係者の役員就任制限など、運営面での厳しい制約も課せられており、これらすべてをクリアした法人のみが公益財団法人として認定されます 。認定後も行政庁による継続的な監督を受け、基準違反があった場合は公益認定の取消しを受ける可能性があります 。
参考)https://www.azn.co.jp/column/20250130-1064.html

 

公益財団法人が実施可能な23の事業分野

公益財団法人は認定法別表に定められた23種類の公益目的事業のみを主たる活動として実施できます 。これらの事業分野は「学術及び科学技術の振興」「文化及び芸術の振興」「障害者若しくは生活困窮者支援」「高齢者福祉の増進」「勤労者の就労支援」「公衆衛生の向上」「児童・青少年の健全育成」など、社会全体の利益増進に寄与する活動に限定されています 。
参考)https://koueki-tax.com/2024/06/28/%E3%80%90%E5%85%AC%E7%9B%8A%E6%B3%95%E4%BA%BA%E3%81%8C%E5%AE%9F%E6%96%BD%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%82%8B%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%80%91/

 

環境保護関連では「地球環境の保全又は自然環境の保護及び整備」、社会基盤整備では「国土の利用、整備又は保全」、政治・経済分野では「国政の健全な運営の確保」「公正かつ自由な経済活動の機会の確保及び促進」などが含まれます 。さらに「国民生活に不可欠な物資、エネルギー等の安定供給の確保」「一般消費者の利益の擁護又は増進」といった国民生活に密着した事業も対象となっています 。
参考)https://biz.moneyforward.com/accounting/basic/23951/

 

これらの23事業分野に該当する活動であっても、「不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与する」という要件を同時に満たす必要があり、特定の個人や団体のみに利益をもたらす事業は認められていません 。内閣府公益認定等委員会が公表する「公益認定等ガイドライン」には17の事業区分ごとに詳細なチェックポイントが示され、実際の認定判断において参考とされています 。

公益財団法人設立の手続きと必要書類

公益財団法人の設立には二段階のプロセスが必要で、まず一般財団法人として設立登記を行い、その後に内閣府または都道府県に対して公益認定申請を行います 。一般財団法人設立時には300万円以上の金銭または不動産等の財産拠出が必要で、設立者は1人でも複数人でも可能です 。
組織体制として理事3名以上、評議員3名以上、監事1名以上の役員選任が必須であり、三親等内の親族または同一法人等の関係者が理事総数の3分の1を超えてはならない制限があります 。評議員や監事についても同様の制限が適用され、法人運営の透明性と独立性が確保される仕組みとなっています 。
定款作成では内閣府が公表する「公益認定のための定款について」を基本とし、設立する財団の特有事項を追加して作成します 。専任職員の配置や専用事務所の設置については法人の事業規模によって判断され、年間数人への奨学金給付程度の小規模事業であれば常勤職員は必ずしも必要ではありません 。公益認定申請時には詳細な事業計画書、収支予算書、定款などの提出が求められ、審査期間は通常数か月から1年程度を要します 。

公益財団法人の税制優遇措置と運営制約

公益財団法人は公益目的事業について法人税が非課税となる大きな税制優遇を受けています 。ただし収益事業を実施する場合は、その収益に対して通常の法人税が課税され、34分野の指定された収益事業のみが実施可能です 。収益事業の範囲には物品販売業、不動産貸付業、製造業、運送業、印刷業、旅館業、興行業、技芸教授業、駐車場業、労働者派遣業などが含まれます 。
参考)https://job-medley.com/tips/detail/37516/

 

寄附金に関しても優遇措置があり、認定・特例認定NPO法人とともに「公益法人等」として扱われ、寄附者は所得控除または税額控除を選択できます 。法人への寄附についても損金算入の優遇措置が適用され、社会貢献活動への資金調達が促進される制度設計となっています 。
参考)https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001470659.pdf

 

一方で厳しい制約も存在し、遊休財産の保有制限により各事業年度末の遊休財産額が公益目的事業費用額を超えてはならない規定があります 。公益目的事業の収入が実施費用を超えない収支バランスの維持も求められ、過度な利益蓄積は禁止されています 。これらの制約により公益法人は営利追求ではなく社会貢献に専念する運営が義務付けられています 。
参考)https://www.kaonavi.jp/dictionary/koekizaidanhojin/