
根抵当権抹消手続きにおいて、まず押さえておくべき基本的な必要書類は以下の4点です。
これらの書類のうち、登記申請書以外の3点は完済時に金融機関から送付されます。登記申請書は法務局で取得するか、司法書士が作成します。
特に注意すべき点として、金融機関から送付される書類の名称は統一されておらず、「根抵当権解除証書」「解除証書」「弁済証書」「解約証書」など様々な名称で呼ばれます。また、契約書に「根抵当権を解除しました」という文言とハンコが押されているもので代用される場合も多いため、書類の内容を確認することが重要です。
💡 実務上の重要ポイント:金融機関から送付される書類に不動産の記載がない場合は、申請書だけでなく登記原因証明情報にも不動産の記載が必要になります。
根抵当権抹消登記申請書の作成には、以下の記載事項が必須となります。
登記原因と消滅日
登記原因証明情報から抜き出して記載します。消滅の原因として「解除」「弁済」等を記載し、具体的な日付を明記します。
例:令和〇年〇月〇日解除
当事者情報
金融機関の情報は必ず最新のものを使用し、付属の登記簿や委任状で確認する必要があります。
不動産の特定
根抵当権抹消の対象となる不動産を正確に記載します。登記原因証明情報や契約書で確認しますが、不動産の記載がない場合は別途対応が必要です。
抹消対象の根抵当権特定
登記簿に記載された順位番号や受付番号で特定します。
📋 申請書不備の対応:申請書に不備があった場合は法務局より連絡があり、法務局に出向いて「補正」という修正作業が必要になります。
金融機関から送付される書類は、根抵当権抹消手続きの中核をなす重要な要素です。
登記済証(抵当権設定契約書)
根抵当権設定時の契約書で、登記済証を兼ねる場合があります。この書類により、契約当初の内容と現状を比較し、不動産の所有者や住所に変更があれば追加手続きが必要になります。
金融機関の資格証明書または会社法人等番号
金融機関の法人番号記載書類が必要で、有効期限(発行日より3ヶ月以内)に注意が必要です。会社法人等番号は12桁の数字で、ネット上で調べることが可能です。
委任状
金融機関から司法書士への委任状で、根抵当権抹消登記を代行することへの承諾書類となります。
🏦 金融機関書類の特徴:金融機関によって書類の様式や名称が異なるため、内容の確認が重要です。特に、解除証書の代わりに契約書への記載で済ませる金融機関も多いのが実情です。
根抵当権抹消登記にかかる費用は、主に以下の3つの要素で構成されます。
司法書士報酬
不動産1件あたり1万5,000円~3万円(別途消費税)が目安です。不動産の件数や書類の枚数によって変動します。
登録免許税
登記申請する不動産1件につき1,000円の登録免許税が発生します。これは法定費用のため全国一律です。
その他雑費
登記簿謄本の発行手数料や書類郵送費として2,000円~3,000円程度が必要です。
💰 費用の総額目安:不動産1件の根抵当権抹消登記を司法書士へ依頼した場合、18,000円~34,000円程度が目安となります。
自己申請の場合の費用削減
司法書士に依頼せず自己申請する場合は、登録免許税1,000円と雑費のみで済みますが、書類作成や手続きの知識が必要になります。
根抵当権者である法人が清算結了している場合の抹消手続きは、通常の手続きと異なる特殊な対応が必要となります。
清算結了法人の場合の必要書類
手続きの注意点
清算結了後の法人名義の根抵当権抹消では、清算人が法人を代表して手続きを行います。この場合、清算人の権限を証明する書類が追加で必要になります。
登記原因の特殊性
清算結了法人の場合、根抵当権の消滅原因が通常の「弁済」「解除」とは異なる場合があり、法人の解散・清算手続きとの関連性を明確にする必要があります。
⚖️ 実務上の課題:清算結了後相当期間が経過している場合、書類の保存状況や清算人の所在確認が困難になるケースがあります。このような場合は、裁判所への申立てが必要になることもあります。
時効による消滅との関係
根抵当権の付従性により、被担保債権が時効消滅した場合の根抵当権抹消についても、清算結了法人の場合は特別な考慮が必要です。