レントロール誰が作るのか不動産管理会社オーナー業者が作成

レントロール誰が作る基本知識

レントロール作成の主体となる3つの立場

レントロールの作成者は、物件の管理形態や取引の目的によって決まります。最も一般的なケースは、不動産管理会社による作成です。オーナーが賃貸物件の管理を管理会社に委託している場合、管理会社は月に1回程度の頻度でレントロールを作成し、物件オーナーに提出することが標準的な業務となっています。
次に多いのがオーナー自身による作成です。特に自主管理を行っているオーナーや、投資対象物件の分析を目的とする場合に見られます。ただし、不動産投資にあまり力を入れていない方（特に相続などで所有することになった方）の中には、レントロールを持っていない、作成していないという方もいらっしゃるのが実情です。
三つ目が不動産仲介業者による作成です。収益物件の売買において、購入検討者の検討資料となる役割があり、「家賃明細表」とも呼ばれるレントロールは、売主側が作成することが基本となります。具体的には、売却を仲介する不動産会社が該当します。

レントロール作成義務と法的位置づけ

重要なポイントとして、レントロールの作成は法令や規則などで決まっているものではありません。そのため、公式に決まった書式も存在せず、作成するかどうかはオーナーの判断に委ねられています。特に個人が所有するアパートといった小規模物件の場合は作成していないことも少なくありません。
この自由度の高さが、レントロールを作る不動産業者によって記載内容や形式がさまざまになる理由でもあります。法律による定めがないため、各社が独自の項目設定や表現方法を採用しており、統一性に欠ける現状があります。
しかし、実際の不動産投資や管理業務においては、レントロールは必須のツールとして位置づけられています。物件の現況確認から収益性向上、将来的な収益見込み判断まで、幅広い用途で活用されるため、作成しない選択肢は現実的ではありません。

レントロール管理会社による作成プロセス

管理会社がレントロールを作成する場合、物件オーナーにとって物件状況の確認・収益性向上のための重要な報告資料となります。作成頻度は月1回程度が標準的で、現況確認だけでなく賃料未収状況なども把握することで、将来的な収益見込を判断する材料としても活用されています。
管理会社による作成の最大のメリットは、専門知識に基づく正確性と継続性です。入居者情報の更新、契約条件の変更、空室状況の反映など、日常的な管理業務と連動してレントロールが維持されるため、常に最新の状態を保つことができます。

また、管理会社は複数の物件を扱っているため、同一エリア内での相場観や市場動向を踏まえた分析も可能です。これにより、単なるデータ整理を超えた戦略的な資料として、オーナーの意思決定をサポートする役割を果たしています。

レントロールオーナー自主作成の実態

オーナーが自分でレントロールを作成するケースは、主に以下の状況で見られます。まず、自主管理物件の場合です。管理会社に委託せず、オーナー自身が入居者対応や物件維持管理を行っている場合、当然ながらレントロールも自作する必要があります。
次に、投資判断目的での作成があります。新たな物件の購入を検討する際、既存の物件ポートフォリオとの比較分析や、投資効率の検証のためにレントロールを作成することがあります。この場合、管理会社が作成するものとは異なり、投資家独自の視点や指標が反映される傾向があります。

しかし、現実的には多くの所有者が管理会社に委託しており、特に複数の物件を所有している投資家の場合、一つ一つレントロールを作成している時間的余裕がないのが実情です。そのため、自主作成よりも管理会社への委託が選ばれることが多くなっています。

レントロール仲介業者作成時の注意点

不動産売買の場面において、仲介業者がレントロールを作成する際には特別な注意が必要です。なぜなら、購入検討者の投資判断に直接影響を与える重要な資料だからです。作成するのは売主側であるため、売却を有利に進めたいという動機が働く可能性があります。
仲介業者は、元付けから入手したレントロールをそのまま提供するケースと、自ら作成して顧客に提供するケースがあります。どちらの場合でも、正確性と客観性の確保が重要な課題となります。特に、賃料設定が市場相場と乖離していないか、空室期間の表記が適切かなど、細かな検証が求められます。
また、仲介業者が作成するレントロールは、しばしば過度に楽観的な数値が記載される傾向があります。これは意図的な操作というよりも、売却を成功させたいという心理的バイアスが働くためです。購入者側は、この点を十分に理解した上で、第三者機関による検証や独自の市場調査を併用することが重要です。