省エネ法特定事業者一覧と指定制度について

省エネ法特定事業者一覧と指定制度について

省エネ法において特定事業者に指定される条件や義務、特定連鎖化事業者との違いなどについて詳しく解説します。エネルギー管理義務や中長期計画の提出は必要でしょうか?

省エネ法特定事業者一覧と指定制度

省エネ法特定事業者制度の概要
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特定事業者の指定基準

年間エネルギー使用量が原油換算で1,500kl以上の事業者が対象

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事業者区分と特徴

特定事業者、特定連鎖化事業者、認定管理統括事業者に分類

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主な義務内容

エネルギー管理者選任と中長期計画書の提出が必要

省エネ法特定事業者の指定基準と対象条件

省エネ法における特定事業者とは、事業者全体のエネルギー使用量(原油換算値)が年間1,500kl以上の事業者を指します。この基準は、工場や事業場などすべての施設におけるエネルギー使用量の合計で判断され、電気、ガス、石油などの各種エネルギーを統一的な単位で評価するための指標として原油換算値が用いられています。
参考)https://ene.or.jp/uncategorized/energy-saving-duty/

 

特定事業者の指定は事業者単位で行われ、通常1つの法人が1つの事業者とみなされるため、子会社や関連会社は独立した法人として別々に扱われます。エネルギー使用量が基準に達した場合、事業者は国に届出を行い、特定事業者としての指定を受ける必要があります。
参考)https://tanso-man.com/media/energyconservationlaw-designatedfactory/

 

不動産業界においても、オフィスビルや商業施設の管理・運営を行う事業者で年間1,500kl以上のエネルギーを使用する場合は、特定事業者に該当する可能性があります。特に大規模な不動産開発や複数の物件管理を行う事業者は、この基準に達することが多く注意が必要です。
参考)https://www.hacobell.com/media/energy_saving

 

省エネ法特定事業者と特定連鎖化事業者の違い

特定連鎖化事業者は、フランチャイズチェーン事業などの本部とその加盟店との間の約款内容が経済産業省令で定める条件に該当し、加盟店を含む事業全体のエネルギー使用量が年間1,500kl以上の場合に本部が指定を受ける制度です。
参考)https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/enterprise/factory/procedure/

 

特定連鎖化事業者の指定条件には、本部が加盟店に対してエネルギー使用状況の報告を求められることと、加盟店の設備(空調、冷凍機器、照明等)について機種や性能、使用方法を指定することが含まれています。コンビニチェーン本部などが典型的な例として挙げられ、加盟店全体のエネルギー使用量を本部が統括管理する仕組みとなっています。
認定管理統括事業者は、グループ企業の親会社等がグループの一体的な省エネ取組を統括管理する者として認定される制度で、平成30年度の省エネ法改正により新設されました。この制度により、グループ企業全体での効率的な省エネ管理が可能になっています。
参考)https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/enterprise/factory/renkei-nintei/

 

省エネ法特定事業者のエネルギー管理義務

特定事業者に指定されると、エネルギー管理統括者とエネルギー管理企画推進者をそれぞれ1名選任し、本社の所在地を管轄する経済産業局に届け出ることが義務付けられています。これらの管理者は、事業者のエネルギー使用状況を把握し、効率的な利用を推進する重要な役割を担います。
参考)https://open-insight.net/blog/technology/specific-business-operator-energy-conservation-law/

 

エネルギー管理統括者等は、原則として特定事業者がそれぞれ別の者を選任しなければなりませんが、承認基準を満たし、かつ経済産業局長がその必要性を認めた場合には、複数の事業者で同一の者を選任することも可能です。また、エネルギー管理統括者の選任または解任については、経済産業省令で定めるところにより、経済産業大臣に届け出が必要です。
参考)https://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/sho_energy/senkainin.html

 

個別の工場や事業場等の単位でエネルギー使用量が1,500kl以上である場合は、第二種エネルギー管理指定工場等として、さらに3,000kl以上の場合は第一種エネルギー管理指定工場等として指定を受け、エネルギー管理者または管理員の選任も必要となります。

省エネ法特定事業者の中長期計画書と定期報告義務

特定事業者、特定連鎖化事業者、認定管理統括事業者は、毎年度7月末日までに中長期計画書を提出することが義務付けられています。この計画書は、判断基準に基づくエネルギー使用合理化の目標達成のための中長期(3~5年)的な計画を作成し、事業者の主たる事務所所在地を管轄する経済産業局および事業所管省庁に提出する必要があります。
参考)https://ene.or.jp/uncategorized/energy-saving-plan/

 

定期報告書についても毎年度の提出が求められ、エネルギー使用状況や省エネ取組の実績などを詳細に報告する必要があります。これらの報告義務により、事業者は継続的な省エネ活動の実施と成果の検証が求められています。
省エネ取組の優良事業者については、中長期計画の提出頻度が軽減される特例措置があります。直近過去2年度以上連続でS評価を受けた事業者は、翌年度以降、最後に提出した中長期計画の計画期間内(5年が上限)においてS評価を継続している限り、中長期計画の提出を免除されます。
参考)https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/enterprise/factory/report/

 

省エネ法特定事業者の意外な評価制度と未来展望

省エネ法では特定事業者に対してクラス分け評価制度が導入されており、S、A、B、Cの4段階で事業者の省エネ取組が評価されています。Sクラス事業者には☆マークが付与され、優良な省エネ取組事業者として公表される制度があまり知られていない特徴的な仕組みです。
参考)https://www.teitannso.jp/article/16234011.html

 

近年の省エネ法改正では、従来の省エネ対策に加えて非化石エネルギーへの転換等を重視する方向で規制が強化されており、特定事業者は化石エネルギーへの依存度低減も求められるようになっています。この動向は、不動産業界においても太陽光発電の導入やグリーン電力の調達など、新たな取組が必要になることを意味しています。
さらに、産業トップランナー制度(ベンチマーク制度)により、業種別の省エネ目標基準値が設定され、業界全体での省エネ競争が促進されています。これにより、特定事業者は同業他社との比較評価を受け、より高度な省エネ技術の導入が求められる環境が整備されています。
参考)https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/enterprise/factory/support-tools/