ストックオプションと新株予約権の違い

ストックオプションと新株予約権の違い

ストックオプションと新株予約権は同じものと思われがちですが、実は付与対象者や発行目的に重要な違いがあります。投資判断や企業分析において、この違いを正しく理解することは重要ではないでしょうか?

ストックオプションと新株予約権の違い

ストックオプションと新株予約権の基本的な違い
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付与対象者の範囲

ストックオプションは役員・従業員に限定、新株予約権は一般投資家も対象

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発行目的の違い

ストックオプションは報酬・インセンティブ、新株予約権は資金調達も含む

⚖️
法的位置づけ

ストックオプションは新株予約権の一類型にあたる

ストックオプションと新株予約権の法的関係

ストックオプションと新株予約権の関係について理解するには、まず法的な位置づけを明確にする必要があります 。
参考)https://paradigm-shift.co.jp/media/stock-acquisition-right/

 

新株予約権は会社法第236条以下で規定される法的な権利で、将来一定の条件で株式を取得できる権利の総称となります 。一方、ストックオプションは新株予約権の一類型であり、企業が役員や従業員に対して付与する無償または有償の新株予約権を意味します 。
参考)https://soas.co.jp/%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%AA%E3%83%97%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%81%A8%E6%96%B0%E6%A0%AA%E4%BA%88%E7%B4%84%E6%A8%A9%E3%81%AE%E9%81%95%E3%81%84%E3%82%92%E5%BE%B9%E5%BA%95%E8%A7%A3/

 

つまり、新株予約権という大きな枠組みの中に、ストックオプションが含まれているという関係性になります 。この法的な位置づけの違いが、実務上の取り扱いや税務処理にも影響を与えることになります 。
参考)https://www.freee.co.jp/kb/kb-ipo/stock_option/

 

ストックオプションの付与対象者と制限事項

ストックオプションの付与対象者には明確な制限があります 。ストックオプションは主に会社に所属する取締役や、社外の協力者に対しての報酬として付与されるものです 。
参考)https://keiyaku-watch.jp/media/kisochishiki/stock-options/

 

具体的な付与対象者は以下のとおりです。

  • 会社およびその子会社の取締役、執行役、監査役
  • 従業員(正社員、契約社員を問わず雇用契約のある者)
  • 外部協力者(顧問、専門家、社外高度人材など)

特に税制適格ストックオプションの場合、付与対象者は発行会社及び100%子会社の役職員に限定されており、より厳格な要件が設けられています 。
参考)https://biz.moneyforward.com/ipo/basic/12687/

 

新株予約権の発行目的と活用方法

新株予約権は、ストックオプションのように付与する対象を限定せず、一般投資家や企業でも取得できるという特徴があります 。
参考)https://www.nihon-ma.co.jp/columns/2022/x20220302/

 

新株予約権の主な活用方法は以下のとおりです。

  • 資金調達手段:投資家からの払込みによる資金確保
  • 敵対的買収の防衛策:買収者の持株比率を希薄化する対策
  • ストックオプション制度:役員・従業員のインセンティブ報酬

新株予約権は安全な資金調達が行える点が大きなメリットで、権利行使されれば追加の資金調達が可能となり、行使されなくても発行時の払込金は確保できます 。
参考)https://leveragesma.jp/article/1777/

 

ストックオプションの税制適格と非適格の違い

ストックオプションには税制適格ストックオプション税制非適格ストックオプションという重要な区分があります 。
参考)https://www.soico.jp/nonqualified-stock-option/

 

税制適格ストックオプションは、以下の厳格な要件をすべて満たす必要があります。

  • 付与対象者の範囲(役職員に限定)
  • 発行形態(無償発行)
  • 年間行使限度額(1,200万円以下)
  • 権利行使価額(時価以上)
  • 権利行使期間(2年~10年以内)
  • 保管委託の義務

税制適格の場合、権利行使時の課税がなく、株式売却時のみ譲渡所得として約20%の税率が適用されます 。一方、税制非適格の場合、権利行使時に給与所得として最大55%、売却時に譲渡所得として約20%の二重課税が発生します 。
参考)https://engagement.stockoption.cloud/articles/article03

 

ストックオプション発行手続きの実務上の留意点

ストックオプションの発行には、会社法に基づく新株予約権の発行手続きが必要となります 。
参考)https://j-net21.smrj.go.jp/qa/org/Q0217.html

 

基本的な発行手続きは以下のとおりです。

  1. 募集事項の決定(取締役会または株主総会)
  2. 募集事項の通知・告知(公開会社のみ)
  3. 申込みおよび割当て
  4. 新株予約権原簿の作成
  5. 新株予約権発行の登記(割当日から2週間以内)

非公開会社の場合は株主総会での特別決議が必要となり、公開会社では取締役会決議で足ります 。また、有利発行に該当する場合は、株主総会で取締役から株主に対して有利発行を行う理由の説明と特別決議での承認が必要です 。
参考)https://www.authense.jp/professionalinsights/bt/companies-act/49/